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2006年11月22日(水) 財政破綻した夕張市

夕張市再建案に市民ら悲鳴・怒り 「出るも残るも地獄」

360億円を約20年で返済する――財政破綻(はたん)した
北海道夕張市がまとめた財政再建計画案が、波紋を広げている。
厳しい再建案に、地区ごとに連日開かれている説明会では、住民の不満が相次ぐ。
しかし、「第2の夕張」を防ぎたい総務省は、計画をさらに削り込む構えだ。
そのなかで、映画祭復活を手がかりに、再生を目指す動きが出てきた。

■月給3割減・バス代4倍…

 「住民追い出し計画だ」「この通りにやったら私たちは死んでしまう」。
18日から毎日、地区ごとに開かれている住民説明会では、
住民の怒号や悲鳴が渦巻いた。

 市職員の男性(32)は「出るも地獄、残るも地獄だ」と感じている。

 市の再建案では、月給が平均3割削減される。

 妻(35)と中学1年の長女(13)、長男(1)の4人暮らし。
妻は妊娠中だ。毎月の出費が約26万円に対し、月給は約24万円。
不足分はボーナスで埋めていたが、そのボーナスも半分になる。
「数年後にこうなると言われれば準備もできるが、来春からでは無理だ。
死刑宣告だ」

 生まれ故郷を離れたくない。「転校するかも」と子どもに伝えると、
「友達と離れたくない」と泣かれた。

 市は、約270人いる市職員を4年間で70人にまで減らす計画だ。
事前にささやかれた「肩たたきではなかなか減らない」という予測は、
退職時期が遅れるほど退職金が減っていくスライド案の導入で吹き飛んだ。

 市民生活も直撃する。

 病院の行き帰りのバスは70歳以上の高齢者では一律片道200円で乗れるが、
補助の廃止で最高4倍以上に跳ね上がる。市民税、固定資産税、
軽自動車税も軒並み増税。入湯税150円が新設され、
ごみも有料化、保育料も上がる。

(一部省略)

■総務省「もっと厳しく」

 住民から「血も涙もない」と抗議が上がる財政再建計画案だが、夕張市を
指導する立場の総務省は「全国最低水準」を求め、なお切り込む構えだ。

 菅総務相は21日の記者会見で、住民から不満の声があがっていることに
「それなりの厳しいことは必要だ」と反論した。総務省幹部は
「ゴーサインを出したわけではない。もっと削れる所はあるだろう」と言い切る。

 財政再建団体の制度が1955年度に創設されて以来、
適用された市町村は880を超える。夕張の財政破綻は特殊な事件ではない。

 とは言え、360億円という赤字額は突出する。
「第2の夕張」の出現を阻止するため、破綻法の整備を急ぐことが
至上命題となっている総務省にとって、「見せしめ」(幹部)ともすべき
夕張市を指導する手綱を緩めることはできない。

 だが、総務省に不信感を抱く自治体もある。

 5年前に財政再建団体を脱したばかりの福岡県赤池町が合併して誕生した
福智町の財政担当者は、夕張の案に衝撃を受けた。
小学生以下の子どもにも、いずれ負担を強いることになるからだ。

 赤字額を考えれば、厳しい内容も当然だと思う。
でも、こう思わずにはいられない。

 「総務省はそこまでやらせるか。地域を壊していいのか」

(一部省略)

〈夕張市の財政破綻〉 炭鉱で栄えた夕張市は60年の人口が約12万人だった。
相次ぐ閉山で住民が流出、「観光の街」への転換を図った。
だが、遊園地やスキー場への客足が伸びず、観光施設の人件費がかさみ、
05年度決算で赤字が約257億円に。今年度分を加えると、
財政再建団体になる来春の累積赤字は約360億円になる見込み。
現在の人口は約1万3000人。

(朝日新聞 2006年11月22日09時51分)


その他関連ソース:
毎日新聞11月18日:破たん・夕張再建:市民負担増の試算結果 新天地探すしか… /北海道
朝日新聞11月17日:財政破綻の夕張市、老人ホーム閉鎖へ 市内唯一
 市は老人ホームのほか、図書館や美術館、市民会館など
17の公共施設の休止・廃止も決めた。


朝日新聞11月14日:夕張市、職員半減へ 小中学校11→2校に
■夕張市職員、08年度で半減――給与は3割カット/再建計画骨格
財政再建団体に移行する夕張市の再建計画の骨格が14日、明らかになった。
約270人の市職員は08年度末で半減、給与も3割削減し、
全国の同規模自治体で最低水準にする。
市民税、固定資産税、軽自動車税なども引き上げる。
さらに七つある小学校と四つある中学校を、10年3月までに各1校ずつにする。


朝日新聞11月05日:夕張市、迫る「最低」生活

-----------------------------(引用終了)----------------------------

年間一人当たり約10万円の負担増となるそうですが、

1年だけの10万増ではなく、それが20年以上続くわけですから、

引越せる余力のある人は徐々に市外へ引越し、

引越せる余力すらない高齢者などが残り、

残った人の負担がさらに増える→さらに人口が減る→

残った人の負担が増える→さらに・・・という悪循環が起こります。

(破綻前から夕張市の人口は毎月500人ずつ減っているそうです。)

財政悪化は炭鉱の廃止に伴う過疎化による税収減もありますが、

景気回復策と称して借金を重ねながら、公共事業を繰り返して来たツケがあります。

1979年から2003年まで6期市長を務めた中田鉄治氏は、

「分不相応の投資をしなければ、夕張市は再生しない」とし、

80年 「石炭博物館」 14億8300万円
83年 遊園地     32億3000万円
85年 めろん城     6億5000万円
88年 ロボット大科学館 8億5000万円

「観光」目当てに維持費のかかる採算の合わないテーマパーク

いわゆる箱物を次々に建設しました。

しかし、夕張市以外にも過疎地のテーマパークのほとんどが、

失礼ながら、一度遊びに行けば、もう満足といったものばかりで、

そのようなテーマパークのほとんどが経営破綻しています。

同じテーマパークでもディズニーランドやUSJは連日大盛況。

日本のテーマパークが巨大な箱物で、

そこにさえ存在すれば、お客が来るだろうという単発的な甘い発想に対し、

外資系テーマパークは、お客さんをいかにして楽しませるという

アイディアやホスピタリティといったソフト面を重視して、

お客さんに夢や物語を与える工夫をしています。

当然のことですが、お客さんを楽しませるすべを知っていないと

消費を伸ばすことはできません。

いかにお客さんを呼び込むか楽しませてリピーターを増やすかという工夫もせず、

これがダメなら、次はこれと次々に浅はかな考えで、

負債による借金を重ねながらも公共事業に手を出した結果、

夕張市は財政破綻してしまいました。

憲法で認められる全国一律の生存権を保障するためとか、

国土保全のために最低限度の維持管理のために税金を使ったり、

地方に補助するなら問題はありません。

国家として最低限度の環境保全は必要だから財政が苦しい地方に対する

補填は必要に決まっていますが、

問題なのは、無駄な投資にも関わらず、

所得分配のためだけに交付税を使って無用なインフラを整備するところです。

本来、国税を使った交付税は最低限度保障か、

将来の確実に財政規模を拡大するための投資目的でおこなわれるべきなのですが、

所得分配のためだけの交付税ばらまきは財政破綻のもと。

夕張市は破綻するべくして破綻してしまったと言えます。

 現在、市の税収が約10億円に対して、

公務員人件費が約25億円というのも本末転倒ですが、

しかも市職員の7割以上が市外の長沼や岩見沢に住んでいるそうです。

来年度から市職員数を削減するということですが、

老人ホームを廃止する前に他に削れるところがあったのではないでしょうか。

『住民サービス・ここが一番、日経新聞社.1999』という書籍では、

夕張市の財政破綻問題はその時点でも書かれておりました。

そのような地方自治体の予備軍が他にも挙げられていますが、

これから先の人口移動は住みやすさに向かっていくのではと書かれてあります。

つまり雇用や年収の問題だけでなく、政治や経済・住環境の安定した

自治体に人々が移動する時代が来るのではと結論付けてあります。

つまり可処分所得が多く確保され、

税金の安い・高い住民サービスの受けられ・犯罪の無い

そんな都市に人々が移動するということです。

実際、以前は「国」単位でやっていた福祉、高齢化事業が、

市町村単位に切り分けられてきており、

道路を挟んだ向かい側のこちら側とあちら側で、

受けられるサービスが違ってくるというのはもう始まっており、

地方地域格差は今後どんどんひらく一方で、

第2第3の夕張市になる市町村がまだまだ出てくると予想されます。

高度成長期やバブル景気の頃から地方地域格差は存在しましたが、

現在の地域地方格差は少子高齢化や過疎化など非常にアンバランスなものとなり、

地方地域格差の拡大によって、

今までに想像していなかったようなリスクが発生するという事を、

夕張市は私たちに提示しているのではないでしょうか。



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