白い木蓮の花の下で  

    〜逝くときは白い木蓮の花の下で〜

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引越し先 白い木蓮の花の下で


2002年01月12日(土) 捨てられた「彼」と素敵な「マダム」

先日、私が暮らしている貧乏長屋一帯で
「ちょっとした騒動」があったらしい。
↑らしい……というのは私が体験したのではなく家族から話を聞いたので。

長屋地帯のほぼ中央に位置する青空駐車場のフェンスに
見掛けない顔の黒いラブラドール・レトリバーの成犬が繋がれていて
なんとも言い知れぬ寂しげな声で鳴いていたのだとか。
状況的に見て、彼(オスなので彼と呼びます)は間違いなく捨て犬である。

彼は非常に躾の行き届いた毛並みの良い犬で
しかも、人懐っこくて、大切に養育されていたという形跡があり
それなのに腹ペコでドッグ・フードを与えるとガツガツ食べたのだとか。

貧乏長屋の住人達は「彼」の処遇について頭を抱えた。
警察に連絡するのは当然のことだが
しかし、警察で長期間、預かってもらうのはムツカシイし
かといって保健所に連れて行くには、しのびない。

しゃぁないから、とりあえず、うちに連れて帰るわ。

そう言って彼の身柄引受人になったのは
駅前で小さなスナックを営む、御年60歳になるマダムだった。
ちなみに、そのマダムも長屋の住人で
しかもマダムは癌闘病中のシベリアン・ハスキーのママンなのである。

狭い長屋の、狭い玄関先に、でっかい犬が2匹????

「犬を飼う」といっても、大型犬を飼うとなると
食費だって馬鹿にならないし、第一、散歩が大変である。
犬好き…動物好きの人間になら分かると思うのだけれど
動物を飼うというのは、ちょっとした覚悟が必要なのだ。
それなのに「しゃぁない」からって、どこの馬の骨とも分からない犬を
気前よく、勢いよく連れて帰っちまうだなんて。

格好イイよ……素敵過ぎるよマダム!

彼を捨てた飼い主に対して、怒りを感じない訳ではないのだけれど
まぁ、もう探しようもないだろうし
捕まえて文句の一つでも言える訳でもないので
その事については、置いといて。

人生もとい犬生、まんざら捨てたもんぢゃないなぁ〜
……と思った(もちろん私が思ったのである。彼の心は分からない)

飼い主に捨てられて絶望の雄叫びを上げていただろう彼だが
心熱きマダムの元で、きっと幸せな犬生を送れるだろうと思う。
今日はなにやらPHP誌に出てきそうな「ちょっといい話」だなぁ。
↑自画自賛してみたがPHP誌だと、もっと上品な文章になるだろう。

新しい犬生を歩みだした彼の幸せを祈りつつ
今日の日記はこれにてオシマイ。


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