| 2008年09月02日(火) |
『西洋骨董洋菓子店』アニメ化 |
※今日は、よしながふみさんの『西洋骨董洋菓子店』を読んだ事がある方、そしてすごく好きな方じゃないとわからない話だと思います。読んだ事ないし興味もないわって方はつまんないと思いますので、お気をつけて。
大好きなよしながふみさんの漫画『西洋骨董洋菓子店〜アンティーク〜』が、深夜枠でアニメになりました。首都圏では7月から始まってたこのアニメ、熊本では遅れて先週からスタートしたのですが……
正直、 「…うぅ〜〜ん(--;」 という感じです…。
これ、数年前にはタッキーと藤木直人さんと椎名桔平さんと阿部寛さんでドラマにもなりました。今にして思えば、キャラ設定が原作と同じなだけでストーリーはほとんどオリジナルってぐらい違うんですが、その時はまだ原作を読んでなかったので 「なんじゃこりゃー!!」 とはならずに、それはそれで楽しめたんですよね。結構好きでした、あのドラマ。後から原作を読んで 「あれ?ドラマはずいぶん違ったんだな〜」 と思ったぐらいで。
でもなぁ。実写になるドラマとは違って、アニメって絵がそのまま使われるでしょ?よしながふみさんの絵って、動かすのは難しいんじゃないかな〜とは思ってたんですよね。基本的にすごくシンプルだし、背景もかなり白い。話によっては、見開き2ページぶち抜きで『表情が微妙に変わる登場人物のアップが4コマ並んで、背景は真っ白』なんてページもあるぐらい。それをどうアニメで活かすのかと思っていたら…
背景が、フルCG…なのかな?なんか必要以上にリアルなんですよね。そこに、線が細くて色が淡いよしながさんのキャラが乗るから、なんかすごい違和感。判りやすくいうなら、写真の上にマンガのキャラクターを切り抜いてぺラッと貼り付けたような感じ。
OPとEDはすごくいいんです。OPは、ドールハウスみたいなアンティーク店内に、お店の常連さんも含めた主要キャラが原作そのままの絵で散りばめられていて、とってもおしゃれ。EDも、ジグソーパズル風でステキ。なのに、肝心のアニメ本編が微妙なんだよな〜…(落)
原作で拘ってる細かい点が結構端折られてるのも残念。展開が原作どおりじゃないのは仕方ないと思うんですよ。原作では、時系列を前後させながら描かれる日常の中に伏線がたくさん紛れ込んでいて、最後の方でそれが全部繋がって大きな出来事が起こるんですが、アニメではその展開は難しいんでしょうね。時系列に添ったストーリー展開になるみたいで、橘がケーキ屋をやろうと思う所から始まるんです。それは別にいいんだけど、話を妙なふうに端折るのはやめてほしい。
初回で、小野が橘にケーキを試食してもらおうとするシーンで 「そのお店の味はシュー・ア・ラ・クレーム(シュークリーム)で決まるから」 みたいな事を言ってたんですが、あれは原作では 「エクレアとアップルパイ、クロワッサンでその店の味がわかる」 だった。なんでそこを変える必要があるのか?
あと2話で、エイジが採用されるか否かのシーンで小野がまたケーキの試食を頼むんだけど、そこで差し出されたのもシュークリーム。しかも、採用面接で小野がゲイだとエイジに話す→それは気にしなかったけど、小野と橘のやり取りがなんか胡散臭かったので、エイジ「やっぱやめる」と帰ろうとする→小野「あ、じゃぁ良かったら試食してくれない?この彼(橘)甘い物が苦手だから試食の役に立たなくて」とケーキを差し出す→ケーキを食べたエイジがあまりのおいしさに雄々しく(笑)感動し、接客ではなくパティシェ見習いとして働く事を希望する…というのが原作の流れ。
しかしアニメでは、この『エイジが帰ろうとしたのを小野が呼び止める』というくだりが抜けてるのよ。採用面接の途中で、いきなりなんの脈絡もなく 「これ、試食してくれない?」 ってシュークリームを勧めちゃうの。しかも原作ではケーキだったのにアニメではシュークリームなもんだから、エイジが『ホワイトチョコ味のムース』とか『苺の味が濃い』とか『スポンジにシロップがしみてて』とか細かい事に気づいて、それを聞いた小野がエイジのパティシェとしての素質に興味を持つ、というくだりもすっぽ抜け。
へなちょこボクサーのサンダーと彼女の波子ちゃんのエピソードも、 「これに負けたら引退しろ」 ってジムから言われてる、最後になるかもしれない試合を、波子ちゃん見に行ってないし。試合も見に行かずにエイジと話しただけで、サンダーがボクシングを続ける事を受け入れるって違和感。彼女に水商売させて、妊娠もしてるのに、それでも彼女のためにボクシングをやめる事は出来ない…っていうサンダーのボクシングに対する想いは、試合を見てないと伝わらないんじゃない?
そもそも、このサンダーと波子ちゃんのエピソードは、ちゃんとエイジがアンティークで働き出してからの話なのよ。それをお店のオープン前の話しに詰め込まれちゃったせいで、『最後に1個残ってたケーキを 「ウェディングケーキの代わりだ」 と買って行く2人に 「タルトは少し温めてお召し上がりください!」 って声をかけるエイジ』のシーンも削られちゃったし。いい話だったのにな。
ドラマになる時と同じで、アニメになるのもやっぱり多少別物になっちゃうのはしかたないと思うんです。でも、原作で拘ってる細かい所とか、作品自体をおもしろくしてる小ネタなんかは変に手を加えずに活かしてほしいの。『NANA』はその点割とよくできてたと思うんだけどな〜。
なんか、好きな作品なだけに残念な所が多すぎる。まぁなんのかんの言いつつ多分毎週見ちゃうんですが(苦笑)
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