金色の夢を、ずっと見てる

2007年11月08日(木) 飲んだら乗るな。乗るなら飲むな。

今日は、会社主催の安全運転研修というのに行ってきました。年に1回、自動車学校に出向いて教官に運転のチェックをしてもらうのです。うちの会社は車で外回りに出る人が多いからですね。

営業所の同い年の男の人と課長さんと3人で乗り合わせて自動車学校へ。他の営業所からも来てる人がいて、でも4日に分かれて実施されるので今日の参加者は全部で30人弱。それをさらに2班に分けて、講義と実技を交互に受けます。

私がいた班は前半が講義。主に、改正された(またはされる予定の)道路交通法についてだったんですが、そこで福岡の飲酒運転3児死亡事故の話が出ました。

昨年(2006年)の8月、福岡の海の中道大橋で起こった、市職員が飲酒運転で追突して前の車が海に落下、1歳・3歳・4歳の幼い子供3人の命が奪われたあの事故です。つい先日(6日)に論告求刑公判が行われ、酒酔いで最高の5年、死亡ひき逃げで最高の20年、併せて25年の求刑がされました。


日本の刑罰って、大小2種類あったら大の方が適用されるんですよね。アメリカとかは確か加算方式で
「1人殺して懲役30年だから、あなたは2人殺したから60年ね」
とかになるんだけど(あ、数字は適当です。信じないでね)日本は、例えば懲役20年と懲役5年、2つの罪に問われてる人は、大きい方を適用して最高でも20年ってのが一般的。

でも今回の事故(というか、ここまで来たらむしろこれは“事件”だと思う)は、飲酒と死亡ひき逃げ、2種類の量刑を併せた期間の求刑がされたっていう点でもすごく注目を集めてるらしいです。


子供3人を死なせておいて25年ってのが甘いか妥当かという事に関しては意見が分かれる所でしょうから、ここではそれは置いといて。


普通は、求刑の8がけ、つまり求刑より2割短いぐらいの懲役が判決として下される場合が多いんだけど、講義をしてくれた教官の話だと、この件はそうならないかも・・・という話が良く出るんだそうです。飲酒運転に対する厳罰化が進んでるし、最近は遺族の心情に配慮した判決も多い。今後の飲酒運転撲滅のためにも(言っちゃ悪いけど)見せしめみたいな意味もこめて、下手すると求刑より重い判決が出るかもしれない・・・というのが、自動車学校の教官やタクシードライバーなど、車の運転を生業とする人達の間で言われてるんだとか。


さらに、懲役が終わった後に行政処分もある、と。


運転してて違反したら、点数が付けられますよね。スピード違反で2点とか信号無視で2点とか。(あ、この点数も適当です。信じないでね) で、これって『持ち点が15点あって、捕まる度に引かれていって0点になったらアウト(免許取り消し)』とかよく言われてるらしいですが(特に年配の人にこう思い込んでる人が多いらしい)厳密にはそうじゃない。

持ち点は0からスタートして、違反の度に加点されていって15点になったら免許取り消し。でもそこから先も、違反に応じてどんどん加点は続くのです。

もらった資料によると、『酒酔い』で25点、『酒気帯び』で13点、速度違反や信号無視などの『基礎点数』と呼ばれるものが内容(罪状?)に応じて1〜25点、さらに死亡事故、傷害事故などの『付加点数』と呼ばれるものが内容に応じて2〜20点。

で、15点で免許取り消しになるんだけど、最終的に付けられた点数によって『欠格期間』というのが設けられる。その期間は改めて免許取っちゃいけませんよ、という期間です。これは、最終的な点数によって期間が決まるんですって。


これを踏まえて。


さっきあげた福岡の事故の今林被告。最終的に何点加点されたと思います?


こう問われて、私は単純に
「えーと酒酔いで25点で、基礎点数と付加点数がどっちもMAXでもプラス25点と20点だから、最大でも70点が限度なんじゃないの?」
と考えたんですね。






















驚くなかれ、87点もの加点をされたんだそうです。





考えてみれば、基礎点数も付加点数も、1種類じゃないんだよね。あの人の場合、酒酔い、多分速度違反もだろうし、死亡事故、ひき逃げ、救助義務違反、その後水を飲んでごまかそうとした証拠隠滅、友人が運転してた事にしてもらおうと頼んだりもしたらしいからそれも証拠隠滅?それら1つ1つの違反点数を足していくと、そういうとんでもない数字になるらしいです。


求刑が25年。仮にその通りの判決が出て、仮釈放とかもなく期間満了まで服役したら、出所時に今林被告は48歳。(まぁ実際には判決が何年になるかわかんないし、服役しても模範囚なら刑期がグンと縮まるらしいので、もっと若くして出てくるかもしれないけどね)

んで、その87点に対する欠格期間って、出所してからカウントされるんだって。つまり、出所後も何年か(もっと長いのかも)は免許を取れないんです。そう考えると、この人はもう一生車の運転はできないだろうね、って教官たちの間では言われてるんだって。

だって、その欠格期間が具体的に何年になるのかは教えてくれなかったんだけど、仮に5年だったとしても、上の年齢に5年足したら53歳。それからまた免許取りに自動車学校に通おうって思うか?直接の知り合いじゃないけど、飲酒で捕まって免許取り消しになった人がいるの。その人の欠格期間が確か1年だったんだよね。それを考えると、これだけの違反を犯して87点なんてとんでもない加点をされた人の欠格期間が5年ってこたーないだろうと思うけどさ。

それ以外にも、20年とか服役して40代で出所してきた人がそこからどんな仕事が出来るのかとか、少なくとももう福岡には住めないだろうなとか、身内からも縁を切られたりとかしそうだし友達も減るだろうなとか、当然結婚も多分無理だろうなとか、いろいろ具体的に考えてみると、へたすりゃ死刑になるより辛い人生が待ってるのかもしれない、彼には。

反省するしないではなく、そうやって辛い目にあわせる事も刑罰の一部なんだろうなーと思うと、案外甘い求刑でもないのかも。判決が出た後に遺族が損害賠償の請求訴訟を起こせば、状況が状況だけに億の支払い命令が出るだろう、とも言われてるし。


・・・・・・でも自分の子供がそうやって命を奪われて、その判決が懲役20年とかだったら、
「出所してきたら私が殺してやる」
ぐらいの事は考えるかもしんないなー。複雑だ。



最終的には
「飲酒運転はここまで人生狂わされる可能性があるから、絶対にしちゃいけませんよ。車で来てるって知ってて飲ませたり、飲んでる人に“ちょっと送ってよ”なんて依頼する事も罪になりますからね」
っていう話だったんですけどね。

福岡の事件は、知ってる場所だし自分にも小さい子供がいるしで個人的にも結果が気になる事件なので、思いがけない話が聞けてとても興味深かったです。

判決が出るのは来年の1月8日の予定。



あ、ついでに。

『自転車に乗る時はヘルメット着用』と『後部座席に乗る人もシートベルト着用』、この2つが来年6月までを目処に法制化されるらしいですよ。お子さんをお持ちの方は、今から慣れさせておいた方がいいかもしれないですよ?





講義の後は実技だったんですが、2年ぶりぐらいにマニュアル車を運転しました。楽しかったです。一緒に乗ってた人に
「本当に2年ぶり!?全然スムーズだよ、やるじゃん!」
と言われたのがちょっと嬉しかったり(笑)

でも教官には
「信号停車時の車間距離がちょっと狭いですね。前の車のタイヤが見えるぐらい、を目安に停まってください」
と注意されました。気をつけます。


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咲良 [MAIL]

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