金色の夢を、ずっと見てる

2006年10月22日(日) 奈良の件で考えた。

ここ最近、毎日のようにテレビで取り上げられてる、奈良の『妊婦18の病院で受け入れ拒否事件』(←いや別にこんな名前はついてないが)

ワイドショーなんかで見るたびに
「ひどいよねぇ、誤診だったんだ」
とか
「え、その間、医者は仮眠してたの?」
とか
「こういうニュースを見ると、お産って今でも命がけなんだって思うね」
とか、いろいろ話してたんですが・・・・・


こういう情報を見つけたのでご紹介。
奈良事件・詳細

・・・・・この情報が間違いなく真実であるという保障はないけど、これを読むと、テレビでの報道がちょっとかたよったものに感じられますね。確かに
『誤診があった』
『医者が仮眠してた』
『18の施設で受け入れを拒否された』
ってのはすべて事実なんだろうけど、だからって全責任がその病院にあるとは言えないような気も。

むしろ、不幸な偶然が重なってしまった結果なのではないかと。




ちょっと前に、私が愛読している絵日記サイト『言戯』さんでこういう日記があったんですよ。

『予約、危機一髪!』

これを読んだ時は、
「へ〜、宮城って産婦人科少ないのかな?私は別に予約とかした覚えないけど・・・・・あ、妊娠して通い始めてしばらくしてから“出産はどこで予定してますか?”って聞かれて“ここで産むつもりです”って答えたけど、もしかしてあれが予約みたいなもんだったのかな」
って思ったんですね。

で、妊娠したらやたらそれ関係のニュースが目に付くようになって、それで
「あぁ、今は全国的に産婦人科と小児科が不足してるらしい」
って事を改めて感じて(訴訟件数が群を抜いて多いので、なり手がいないのだそうです)
「でも熊本はわりとどこそこで産婦人科も小児科も見かけるような気がするな〜・・・恵まれてるのかなぁ」
なんて思ったわけです。


今日も、朝のニュースで冒頭の奈良の件を取り上げてて、次郎君とも話してたんですね。その時に次郎君が
「でもこれも、全部が全部医者が悪いわけじゃないと思うよ。運の悪い事が重なっちゃったんだろうなぁ」
って言って。

その後に、最初に紹介してた“詳しい情報”を見つけて。

いや、厳密に言えば、この『奈良事件・詳細』が本当のデータなのかって事もわからないですよ?私が自分で直接調べたとか聞いたってわけじゃない、いわゆる“二次情報”ですから。でもこれが事実なら・・・・それは、ワイドショーの報じ方がちょっと偏ってるというしかないでしょう。

そしてどちらかというと、本当の原因は、産婦人科医が少ないとか緊急事態に対応できる医療施設が少ないとかの“産科業界全体の危うさ”にあるのではないかと。


次郎君の話だと、夜間などの緊急事態に対応できる産婦人科がない県が、全国で8県だか9県だかあるそうです。で、そのうち4県が九州にあるんだって。(もちろん、その“8県だか9県”に奈良も含まれてます)

熊本は、産婦人科関係の緊急事態には熊本市民病院があります。NICUもすごく充実してて、出産に関する異常事態には手厚い対応が期待できるらしいです。

私が出産した所は比較的小さな個人の医院で、先生も1人しかいません。だからお産の時には助産師さんだけで先生は立ち会わないし(夜間とかで外来がない時なら立ち会うらしい。でも外来診療をやってる時間帯は、お産が終わってから、産後の処置の時だけ分娩室に来る)外来も、ちょっと混んでたら『ちゃんと予約して来てるのに1時間待ち』なんて事も結構ある。

それでも、『市内に産婦人科が1軒しかなくて、片道1時間かかるけどそこに行くしかない』なんて状況と比べれば、行ける距離に病院は複数あるし、小児科だって評判を聞いてから決めようかな〜なんて言えるぐらいに選択の余地がある。


自分は幸運だったと思う反面、こんなに不均衡が発生してるという事実自体が問題なんだろうなぁとも思います。


奈良の亡くなられた女性は本当に気の毒です。産まれた赤ちゃんだって、自分がきっかけとは言えないにしても、自分を産んだ時にお母さんが命を落としたという詳しい事実を知った時にどれほどショックを受けるか。

でも、その病院を責めるばっかりじゃなくて、もっと広い視野で考えなければいけない事があるんじゃないかなぁって気がします。少子化が問題視されてる今だからこそ、本当に安心してお産に臨める環境が必要なんじゃないの?


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咲良 [MAIL]

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