われ想う
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以前お世話になった方の奥様が亡くなられた。
「ほんの少し留守にします」という一言を残し、 静かに奥様の幕が下りるのを見届け、 「春一番が吹いたので」という言葉とともに、今日から仕事に復帰された。
普段あまり感情を出さず、電話口でボソボソ喋る人。 今日の受話器の向こうの声は、明らかに「明る」かった。 何だか胸がツンとした。
届け物に出た先で、風がひょうと吹く。 呼ばれたわけではないが、居ても立ってもいられずに振り向いた。 もちろん、そこには誰もいない。
いなくなる。
それが現実味を帯びたときだけ、自分勝手に思い出して振り返る。 笑顔どころか、影形さえ、そこには無いのにな。 いや、単なる「無い」じゃない。その「可能性が無い」のにな。
ほんと、勝手なもんだ。
♪non
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