われ想う
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2002年08月14日(水) 鉛筆

昨夜仕事帰りに、思いもかけない人と出会した。
それは、私が以前働いていた職場で、一番信頼を寄せていた人。
上京して、もう一度学生になることや、これからの不安。それでも諦めきれない夢。
それはそれはいろんなことを、少ない言葉で解ってくれる人だった。
その人が、目の前に突然現れた。
この広い東京で、しかも新宿のデパートの一角で(苦笑)、3年半前と変わらない姿で。

仕事中は、どんなことがあっても名字で呼ばれていた。
お酒の席や、ビジネスとは離れたところでは、名前に「ちゃん」付けだった。
昨夜会ったその人は、私を名字に「さん」付けで呼んだ。
他愛もないことだ。数年振りに会った以前の同僚に呼びかける、当然の結果だ。
でも、その小さなことが、着実な時間の流れを感じさせた。

ひとまずの目標は叶って、今は仕事をしていること。
署名原稿も、一度だけれど書かせて貰えたこと。

相変わらず、バタバタとしていること。
お盆休み返上で、来年のスケジュール調整のために上京したこと。

「変わらずお忙しいんですね」と、私が言い。
「忙しそうにしてて、僕も嬉しいよ」と、その人が言い。

「また、遊びにおいで」という言葉と一緒に、添えられたひと言。
「あんなに楽しそうに仕事を補佐してくれたのは、○○さんだけやったなぁ」。



帰宅後、ペン立てから一本の鉛筆を取り出す。
それは仕事の最終日。5日後には東京へ行きます、という日に貰ったものだった。
四角くて薄っぺらい扁平な形をした、とても綺麗な鉛筆。
「こんな鉛筆書きにくいわ・・・と思うやろ? でも持ってみると、緻密にデザインされてて
どんな角度で持っても疲れへんし、痛くならんの。そういう人に、持っておいて欲しいから」
回りくどい言い方をするなぁ・・・と当時の私は思ったもんだが(苦笑)、
物事の考え方はひとつじゃないんだよ、
自分の想像とは違って、実はもっと奥深いものかもしれないよ、
そしてそうなるためには、しっかりとした基盤がないと駄目なんだよ、
ということを、この鉛筆を見ると思い出すのだ。



まったく変わってなかったからすぐ解った、と彼は言っていた。
ちょっと嬉しかった。会えてすごく嬉しかった。

そして、あぁ私はあの人が好きだったんだなぁ・・・と、確信した。


睦月 |MAILMy登録