「切手、いるか?」 父に聞かれるが、私は切手を収集する趣味はない。切手は使うものだと思っている。コレクターの父から貰って、使ってしまうのでは申し訳ない。 「いらない」 「・・・何が欲しい?」 「別に何も」 「栗か」 「は?」 栗?栗ってなんだ? 「お父さんは、いつまでもいないんだよ。お前に何か遺してやりたい。栗なら喜ぶのか?」 私は栗が好きだ。好きだが、それを遺されても困る。 何せ父には前科がある。姉が車を購入する際、少し援助したらしい。姉だけでは妹に悪いと思ったのか、その金額分のケーキを買うと決め、毎日ケーキをお土産にしていた時期があったのだ。勿論、気付いた時点で止めて貰ったが、私が「栗なら嬉しい」と言おうものなら、多分、明日から毎日、甘栗を買ってくるに違いない。 今でも週に一度は栗を買ってくるのだ。父の部屋には、既に甘栗が4袋もある。 そして父のおやつのプリッツは6箱もあった。 どうして、こう凝り性なのか。 そんな父に私は似ていると、母は言う。 父に似るのも、母に似るのも、ちょっと考えてしまう。
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