地徊営業日誌
目次|書きすてたもの|未定なもの
| 2012年11月10日(土) |
まっすぐ泳げなくなっていました |
こんばんは、気分転換に五年ぶりくらいに背泳ぎしたら気付かずにコース横断していて他人様にぶつかった小此木です。風邪引いたり新品のセル(お高い)を割ったり今週も通常運転でございました。
原稿も絶賛遅れております。いつも通りに。通りに。 冬コミ、何とか予定通り本出せるよう頑張ります…!
なのに爺様話です。本当は97トライアスロンでこっそりあげるつもりでしたあははは。爺様話ですけど。いつも通りの爺孫です、すみません。 後、この日記の最後にいただいたコメントにお返事させていただいております。 こんな辺境サイトを見てくださってありがとうございますww
*** 休日 ***
久しぶりの休日を迎え、三代目火影は自室の縁側でぼんやりと空を見上げていた。秋晴れの空には鰯雲が浮いている。頬に当たる風は夏の熱風と異なり、爽涼を運んでいた。 (そろそろ祀りの準備をせんとなぁ) キセルを灰皿に打ち付け、溜まった灰を落とす。煙草の量が増えていることを側近からチクチク言われているが、こればかりは減らせずにいた。気苦労の多い職務なのだから、これくらいは好きにさせてくれとも思うが、側近の言うことも一理ある。 「御身に何かあれば里がどうなることか……!」 切実な声で言われてしまえば、最近体力の低下を感じることが多いだけに、苦笑するしかない。 (やれやれ) そもそも、予定では今頃気楽な隠居をしていたはずなのに、何故こんなことになっているのか。そうこうしている内に、すでにあの日から両の指でも足りないだけの年数が経っていた。にも関わらず、己の存在にそれだけ里が依存しているということは、後進を育て損ねた己が不徳の結果だ。 それでもあの日を生き残った若き忍び達はほぼ全員一人前になり、あの子もついに下忍となった。 三代目が紫煙をゆっくりと吐きだす。 今年も残すは三ヶ月と少し。何とも忙しい年であったと思う。残り三ヶ月も、たいそう忙しいに違いない。何しろ、今年は初めてあの子のための誕生日会が開かれるのだ。 今や里で一、二を争う稼ぎ頭から渋々渡された招待状は、少女の手作りらしいかわいらしさで三代目の笑みを誘った。 「ヒミツですから!絶対にナルトに言ったらダメですからね?」 里の長に恐れもなく念押しした春色の少女は、すでに担当上忍とスリーマンセルの男子二人を尻に引いているらしい。笑いながら頷けば、ほっとした様子で胸をなで下ろしていた。 良い仲間は生涯の宝だ。それをあの子に与えられたことをうれしく思う。 物思いにふけっている間に近づいてきた気配に、三代目は煙草の火を落とした。 垣根が音を立てて揺れ、金色の頭がひょっこりと出てくる。三代目の姿を認め、ナルトが満面の笑みを浮かべた。 「じいちゃん!みやげ!」 どうだ、とばかりにナルトが手にしたビニール袋を見せる。元は白いはずのビニール袋は、泥で真っ茶色になっていた。中には泥がついたままのサツマイモがぎっしりとつまっている。 顔を含め全身泥だらけのナルトに、三代目が目元を和らげた。 「とれたか?」 半ば無理矢理垣根をかきわけて入ってきたナルトに、三代目が問う。にんまぁ、とそれはうれしそうにナルトが笑った。 「ばっちし!な、ヤキイモしていい?」 「かまわんぞ。落ち葉ならその辺に落ちてるのを使え」 三代目の庭には、赤や黄色に染まった落ち葉が大量に落ちている。庭師に泣かれたものの、片付けさせなくて良かったと三代目は思った。 意気揚々と腕まくりをしたナルトの肩に、ぽんと大きな手が置かれた。 「こーら。先に手洗ってきなさいよ」 音もなく現れたカカシがため息をつく。その手にもサツマイモの詰まったビニール袋を下げていた。 カカシの言葉に、ナルトが唇を尖らせる。 「いーじゃん、どうせ汚れるってば」 少しばかり甘えた口調のナルトに、カカシがため息をついた。 「そういう問題じゃなーいの。ほら、行った行った」 ナルトの手からビニール袋を取り上げ、カカシが背中を押す。頬を膨らませながらも、渋々ナルトは従った。 「じいちゃん!せんせーが全部食べないようみはってて!」 真剣に言いながら手を洗いに行くナルトに、三代目が声を上げて笑う。 「わかったわかった」 「お前の中のオレはどんだけ大食いなのよ」 笑う三代目とは逆に、カカシは肩を落とした。庭の隅にある蛇口で手を洗うナルトを見ながら、三代目が和やかにカカシに問う。 「して、芋掘りデートは楽しかったか?」 今日はカカシと芋掘りに出かけるのだと、ナルトは一週間前から大騒ぎだった。三代目の問いにカカシが肩をすくめる。二人そろっての休日に「芋掘り」という選択をされた時は落ち込んでいたくせに、今はどこか楽しそうだった。 「ええ、予想以上に。こんな健全なデートは初めてですよ」 「はっはっは。そうか」 冗談めかして答えるカカシに、三代目が楽しそうに声をあげる。ナルトを見守る眼差しはどこまでも穏やかだった。 「楽しかったなら良い」 ナルトがどうだったかなど、当人に訊くまでもなかった。楽しかったのだと嫌でもわかる。 空は秋晴れ。風は心地よく、ゆっくりとした時が流れていた。 「センセー、じいちゃん!落ち葉集めるってば!」 手を洗い終えたナルトがうれしそうに言う。 カカシと三代目は一瞬目を合わせると、肩をすくめて重い腰をあげた。
やがて秋空に芋が焼ける良い匂いが立ち上った。
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実は気付かれないように別名であげようかと考えてましたがそもそもこれカカナルじゃねぇよ爺様話だよ文章の書き方以前に中身で一発でばれるよ!という事実に気付きちょいと愕然と。まぁその前に終わらなかったんですけどね(駄目人間小此木)
実はもう一個、年齢操作で子カカ×オトナルを思いついたのですが、こちらは終了二時間前の布団の中(鼻水が止まらなかった)だったので当然間に合いませんでした。小此木はいつだってギリギリです。
では原稿してきます。頑張れ早割(呪文)
後コメントにお返事を。 グダグダ言い訳の後で申し訳ありません(汗)
える様
こんばんは、小此木です。 嫁、お手に取ってくださりありがとうございます! あれが嫁な話ですが、楽しんでいただけたのならうれしいですww 再録は…その、思うところありすぎまして(汗)……申し訳ないです…! でもそう言っていただけてうれしいですw コメント、本当にありがとうございました。
べに様
こんばんは、小此木です。 はい、ありがたく冬コミはスペース頂けました! 新刊は相変わらずおかしなことになっておりますが、お手に取っていただけるよう頑張ります。 どうも今回お送りさせて頂いた本の斜め方向に進化しそうな恐怖がありますが…その、見捨てないでいただけると(滝汗) べに様もどうぞご自愛くださいませ。 コメント、本当にありがとうございました!
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