地徊営業日誌
目次書きすてたもの未定なもの


2004年12月15日(水) がふ

つくばは遠かったです…そして未だ風邪治ちません…。すみません、もう少々色々お待ち下さい(汗)

復活までのお茶濁しに。昔日記で書いて消したものが出てきたので↓

*** 此岸 ***

ここはどこだろう。
目が覚めて、真っ先に思ったことはそれだった。
ぼんやりと霧が掛かった風景の中、強い花の匂いがする。何とはなしに己の手を見つめ、カカシは首を傾げた。
己の手はこんなにも小さかったろうか。
だが、その疑問もすぐに消えた。
ーーーー向こうにいる。
懐かしい気配が向こうに居た。なつかしい、という感覚にやはりカカシは首を傾げる。
懐かしい、はずなどない。いつも、自分たちは一緒に居たのだから。
花の香りに混じって水の香がする。耳を澄ませばわずかながら川の音がした。気配はその向こうにある。
花を踏みしめて歩く。柔らかな感触に下を見れば、踏まれた花はつぶれるでもなく、すぐに頭をもたげていた。
「………?」
まるで何事もなかったかのように咲き誇る花々に、カカシは疑問を覚える。
花というものは踏まれればつぶれたと記憶しているのだが、それは違ったのだろうか。
「違わないよ」
不意に声をかけられ、カカシは振り返った。霧の向こうで金色の影がゆらめく。囁くように影が告げた。
「足下を見てはいけない。こっちだけを見ておいで」
声に誘われるままに、足を踏み出す。足の下で、何かがじゃりと鳴った。
「ゆっくりと。振り返ってはダメだよ」
声はあの気配とは逆の方向にあったが、カカシは肩を軽く竦めて声に従った。この人のことを無視すると後がうるさいのだ。
少し進んだ先に川が流れていた。
「いらっしゃい。また道に迷ったのかい?」
川縁の岩の上に腰掛け、にっこりと男が笑う。その手には釣り竿が握られていて、カカシは溜息をついた。
「またさぼっているんですか」
「いや、さぼってはいないよ?僕はもう隠居の身だもん。さぼってるのはきーみ」
「……お主も十分さぼっておろうが」
男の向こうで老人が深い溜息をつく。その手にも釣り竿が握られていて、カカシは目を丸くした。里で一番忙しい男と、里で二番目に忙しい老人が何故こんな所で釣りをしているのだろう。
「あのね、ちょっと言いたいことがあるんだけど」
浮きが動くが男は気にしない。にっこり笑う男はどこか怒っていて、カカシは思わず身を引いた。引いた瞬間に両頬を思いっきり引っ張られる。
「……たかだか写輪眼ごときに何してやられてるわけ?君の師匠が誰だと思ってるんだい、僕だよ、僕。師の顔に泥を塗って恥ずかしくないわけ?あああん」
「いひゃいいひゃいっ」
「しかもあれだけ好き放題言わせて悔しくないのかい。おまけにあのガキ、君に怪我させただけじゃ飽きたらず僕のかわいいあの子を攫おうなんて……ふふ、いい度胸だよね〜。これはもう逆さ張り付けでクマとダンスの刑だと思わない?ふ、ふふ……たかだかうちはの長男ごときがえっらそうに……」
これ以上は伸びないだろう、というくらい面の皮を伸ばされ、カカシの目に涙が浮かぶ。男が何やら自分に怒っていることはわかるが、いったい何故怒られるのかがわからない。
びよん、と音がして手が放された。
「というわけでとっとと起きてあのガキしめといで。あんまり不甲斐ないと父さん子供の喧嘩に飛び出しちゃうぞ?」
痛む頬を押さえて、カカシが目を白黒させる。老人が大きく溜息をついた。
「これでも心配しているのじゃよ。悩むのも結構だがほどほどにせんとはげるぞ」
「??」
老人にまでわけのわからないことを言われ、カカシは混乱した。
しめる?悩む?
何の話だろう。
男が苦笑した。
「間違ったら父さんが一緒に謝ってあげるから、好きにしなさい」
その言葉にカカシが瞠目する。口を開ける前に視界が暗くなった。
「というわけでまたね」
それが何であるのか、数瞬のうちにカカシは理解した。大きな音を立てて体が水の中に沈む。
(ーーーーーーーーーーーーっっ!!)
心の中でありとあらゆる罵詈雑言を叫びながら、カカシは水の中に沈んでいった。

ここはどこだろう。
二度目の目覚めの際にもカカシはそう思った。冷たいと思ったら涙のみならず鼻水まで垂れてきている。
「……ぶっさいくな顔」
思わず溜息が漏れた。ナルトが思いっきり眉を顰める。ぐいと袖で顔を拭うと青い瞳がカカシを睨みつけた。
「だれのせいだってば」
「オレ」
簡潔に答えて手を伸ばす。小さな体はすっぽりと腕の中に収まった。
「ただいま」
手の中の温もりに安堵の溜息が漏れる。
「……こんな時まで遅刻すんなってば」
震える声でナルトは告げた。
おかえり、と。
カカシが目を伏せる。

ああ、この子の元に帰ってきたのだ。


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消す時に珍しく保存したものの、行方不明になっていた物です。…だったはず。うん(胸に手を当てて考え中)もし過去にこれと一緒のものがあったら笑ってやってください。
私はどうも四代目がカカシのパパしてるのが好きらしいです。

では寝ます。おやすみなさい。

元気になったら例の物をしようと企み中。


小此木 蘇芳 |HomePage