地徊営業日誌
目次書きすてたもの未定なもの


2003年02月16日(日) 懐かしき

ごめんね〜すなおじゃなくって♪ゆめのな〜かならいっえる〜♪
………すみません、やはし少々疲れているようです。金曜に業務報告会があるのでそれまではこの調子なのでしょうか(汗)それも嫌だな…
ああ、それにしても眠い………今日は睡眠時間十分に取ったはずなのに何故!?


ばれんたいんでー爺婆↓


*** 愛の日 ***

人間がチョコに浮かれまくる一大イベント、バレンタインデー。
その日、そんなことには全く関係ない誉れ高き杜の一族、美しき化生達のすみかは恐怖のどん底に落とされていた。時折、派手に物が壊れるが聞こえる。
「……………」
「……………」
無言で九尾の一族は占められた扉の前に立っていた。扉の向こうは台所である。何やら爆発音やら異界の生き物の声やら骨をかみ砕く音やら更に何の音だかわからぬ音が聞こえてくるが、間違いなくこの誇り高き天孤の一族の台所であった。
「もう、もう私は耐えられませぬ……!!」
とうとう台所司が涙をこぼしつつその場から逃げ去った。台所を預かり、その仕事に愛情と誇りを持って遂行していた彼女にとってこの破壊音はさぞかし苦痛であったろう。一際派手な音がして扉の隙間から緑色の煙が吹き出した。
「…………………………」
深い、深い沈黙が落ちる。
「雪科様……」
一族No.2である年寄りの雪科に、残りの者達の視線が集まる。縋るような視線に雪科は無言であった。
今や彼女達の主は破壊神と化していた。当人としては作り手となるつもりなのだろうが、いかんせん希望と結果は一致していない。
雪科は大きく溜息をついた。
「……誰ぞ、婿殿を呼んできておくれ」
死期が少々早まるだけだ。こっそり漏れた呟きは誰もが聞かなかったことにした。


任務で雲の国にいたはずの筧は、目の前に現れた扉(緑の爆風付き)に目を瞬いた。
「後は任せた、婿殿」
とん、とその背中を雪科が押す。ワケが解らず筧は首を傾げた。
「敵襲の割には殺気がないが」
「少々お館様が機嫌を損ねられてな。悪いがお慰め申し上げて頂きたい」
「台所でか?」
「台所でだ」
しばし、無言で二人は見つめ合った。筧が溜息をつく。
この一族にそうそう勝てるはずもなかった。
「やれやれ……」
何があったと言うのか。というかそもそも任務はどうすれば良いのか。そんなことを考えながらも恐れなく筧は扉を開けた。かさりとポケットの中の箱が音を立てる。
まぁいい、と思い筧は再び吐息を漏らした。どのみち九娘には用があったのだ。


「何で出来ぬーーーーっっ」
ぼろぼろになった雑誌を睨んで九娘が叫ぶ。そこにはボール片手ににこやかに微笑む小娘の写真があった。
「何がいかんと言うのか」
雑誌に書かれた手順とにらめっこをし、九娘は唸った。周囲には茶色い物体が飛び散り、彼女自身汚れまくっている。
「むむ」
雑誌には『私にも出来る簡単チョコ作りv』のタイトル。手順を見た限りでは難しいことはないように思われた。
「むむ〜」
写真で実際にやってみせているのは年端もいかぬ小娘だ。この小娘に出来て己に出来ぬ等いい面の皮である。
むかついて九娘は雑誌を振り回した。
「出来ぬわーーーーーーーっっ」
「何が?」
不意に割って出た声の主に九娘が慌てて振り向く。振り回された雑誌を掴んで、筧は首をひねった。
「もしかしてチョコレートを作っていたのか」
「筧!」
九娘が不満そうに筧を睨みつける。
「せっかく内緒で作ろうとしたのに何故お主がここに居る!任務ではなかったのか?」
頬を膨らませて咎められ、少々遠い目で筧は状況を確認した。
台所中に飛び散った茶色い物体はチョコレートとして、何やら見たことのない生き物がいるのはどういうことだろう。取りあえず己の理解の範疇を越えた物は見えていないことにした。
「いったいまたどういう思いつきだ」
呆れきった筧の声に、九娘が唇を尖らせる。珍しく言い淀む九娘に筧は苦笑した。
「ワシとしてはうぬぼれたい所だがな」
この騒ぎが己のためだと。
九娘が目を丸くした。
「うわっ」
突如すりこぎで脳天を叩かれそうになり、慌てて筧は身を避けた。腰に手をあて九娘が怒鳴りつける。
「何故そこで遠慮する!」
今度は筧が目を丸くする番だった。ふん、と鼻息荒く九娘が睨みつけてくる。
筧は笑うしかなかった。
「それもそうか」
「わかればよい」
つん、と顎を上げて九娘が頷く。筧は九娘を抱き寄せた。
「ワシ以外におるはずもないのにな」
うれしそうに筧が呟く。九娘はそれには答えず、変わりにそっと微笑むと筧の唇を塞いだ。




「これと、これと、これっ!」
「はいはい」
その後台所司に台所使用を禁止された九娘の代わりに、自分用のチョコレートを作る筧の姿があった。


***

そもそもバレンタインデーなんかあるのかという疑問が常にあるのですが(笑)まぁそこはそれ、お祭りですし♪例えキリスト教徒でなくても菓子メーカーの陰謀でも楽しければ良いのですよ、楽しければ!何で婆様がチョコレート作ろうと思ったのかとか爺様の買ってきていたつつみはどうなったとか今回時間不足で書けませんでした。くすん。


小此木 蘇芳 |HomePage