地徊営業日誌
目次|書きすてたもの|未定なもの
500字SS
ー花ー
地図を広げたまま筧は無言だった。その横顔を九娘は見つめる。戦は今だ終りを見なかった。 「どうした?」 背中にかかった重みに筧が問う。筧の背に持たれかかって九娘は天井を見上げた。 「一分でも一秒でもかまわん。少しでも長く生きろ」 人は九娘をおいてゆく。解っていても、それでも。 「当たり前だ。最期はそなたの膝で笑っていくと決めておる」 優しく残酷な約束をするこの男が 「爺はいらん」 「失礼な。ワシは爺になってもいい男だぞ」 愛しくて堪らない。
ああ、散る華を愛したのだ。
ー終ー
足りぬ…
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