地徊営業日誌
目次書きすてたもの未定なもの


2002年12月23日(月) 500字に挑戦!

500字SS

ー花ー

地図を広げたまま筧は無言だった。その横顔を九娘は見つめる。戦は今だ終りを見なかった。
「どうした?」
背中にかかった重みに筧が問う。筧の背に持たれかかって九娘は天井を見上げた。
「一分でも一秒でもかまわん。少しでも長く生きろ」
人は九娘をおいてゆく。解っていても、それでも。
「当たり前だ。最期はそなたの膝で笑っていくと決めておる」
優しく残酷な約束をするこの男が
「爺はいらん」
「失礼な。ワシは爺になってもいい男だぞ」
愛しくて堪らない。

ああ、散る華を愛したのだ。

ー終ー

足りぬ…


小此木 蘇芳 |HomePage