表身頃のココロ
ぼちぼちと。今さらながら。

2005年10月28日(金) バルケンホール / やなぎみわ /イサム・ノグチ 他 10月の展覧会

シュテファン・バルケンホール「木の彫刻とレリーフ」


バルケンホールの像は、大きく荒削りなノミ跡もはっきりとした像に着色されている。それが一本の大きな木から台座ごと彫り出されているのにびっくり。
一枚の板を彫った絵彫刻(?)も興味深い。
ごくごく普通の格好と表情の男女がたたずむ像が多く、それはそれでとても面白いのだが、印象に残ったのは、会場の奥まった場所に、ある種祭壇のように作られた“ピエタ”像だ。
他の像はすべて彩色され顔や衣装などきれいに塗り分けられているのに、ここでは黒一色(茶だったかな)で塗りつぶされているのだ。
ピエタ像の後ろの壁には“愛し合うカップル”というシルクスクリーン作品が展示されていて、他とはかなり違うテイストの空間。この辺に強く惹かれる。
展示室の終わり近くに展示してある2点のブロンズ像に新鮮な驚きがあった。木を彫るノミの跡が大きくはっきりしていたように、ブロンズでも同じように大きな手の跡が見て取れる。しかし、木の鋭角な跡と違ってとても柔らかな感覚で私はこちらの方が好きかもしれない。

(10/21 東京オペラシティアートギャラリー)


やなぎみわ「無垢な老女と無慈悲な少女の信じられない物語」


少女は無垢、老女は無慈悲という世の常識を逆手に取ったタイトルで描かれるは、“寓話”シリーズと“砂女(テント女?)”シリーズ。
“寓話”シリーズはグリムやアンデルセンなどの童話の一場面を切り取り、少女に老女の仮面を被せ、やなぎみわ流の解釈を施した一連の写真群。
本質は残酷で意地悪な童話の世界が圧倒的に迫り来る感じ。
女性ならほとんどがすんなりと入り込める世界だと思う。
また、ガルシア=マルケスの短編“エンディラ”に題材を求めた“砂女”(でいいのかな?)シリーズは、インスタレーション・写真・ビデオで表現され、私の中で立体的に像が結ばれ、ちょっと忘れられないものになってしまった。
結構好みだ。

(10/22 原美術館)


「ジグマー・ポルケ展ー不思議の国のアリス」


初めて名を聞くジグマー・ポルケ。
ヴェネツィア・ビエンナーレ金獅子賞を獲るなどドイツ・アート界の巨匠のみならず、今や世界で最も注目される画家の1人であるポルケ、日本の美術館初の個展だそうだ。
表題のシリーズ、“メネラオスの夢”シリーズ(ポストカードを買ってしまった)など結構気に入ってしまった。
先日読んでいた雑誌のジグマー・ポルケのインタビューが可笑い。
曰く“私の展覧会は日本におけるドイツ年の一環とされていますが、私はドイツのいかなる公的機関の助成も受けていません。彼らは全く協力的で無かったけれど、オープニングでは自分の手柄のように振る舞うでしょうがそれは真実ではない。”と。どうやらやんちゃなアーティストらしい(笑)。

(10/25 上野の森美術館)


イサム・ノグチ展

以前「イサム・ノグチ-宿命の越境者上・下」著ドゥス昌代という本を読んで、すっかりプチイサム・ノグチファンになっていた私。
読み物としても相当に面白かったが、内容を忘れ去る前に思わぬ所で作品の理解に一役買ってくれた感じでちょっとうれしい。
展覧会は、初期から晩年まで駆け足ながら順序よく作品が展示してある。
ブランクーシに師事していた頃の作品から、彼が生涯をかけてこだわったプレイランドがついに実現した北海道のモエレ沼公園まで(模型などで)展示してあり、ちょっと感激。
エナジー・ヴォイドはさすがの迫力。
そういえば、前に住んでいた家にはイサム・ノグチのあかりのバッタもんを使っていたんだった。

(10/4 東京都現代美術館)


中島宏展 −現代を生きる青磁−
散歩ついでに立ち寄った松濤美術館。
たまたまその時の企画展がこれ。
青磁に限らず焼き物に疎い私であるが、やさしい色合いや肢体、繊細なひび、現代作家の青磁の美しさに心からうっとりしてしまった。
(10/12 渋谷区立松濤美術館)


杉本博司展
今年見た展覧会の中で、ピカイチの面白さ!
素晴らしいので、備忘録として詳細を残しておきたい。
後でちゃんと・・。できるかな。
(10/28 森美術館)


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