表身頃のココロ
ぼちぼちと。今さらながら。

2005年10月10日(月) 山形国際ドキュメンタリー映画祭(その2)

ドキュメンタリー映画祭二日目

「海岸地」Foreland
  [オランダ/70分]アルベルト・エリンフス、オウジェニー・ヤンセン

オランダのライン川沿いの村を7年間写し続けた記録。
川の水位が上がり下がりする繰り返しの年月中に、開発などにより確実に変化していく様を、美しい映像で綴る。
ナレーションや音楽を入れず、厳選された音のみで展開される鋭敏ながら暖かい印象。

「メランコリア3つの部屋」The 3 Room of Melancholia
  [フィンランド独デンマークスウェーデン/106分】ピルヨ・ホンカサロ

チェチェン紛争を巡り、それぞれの立場における幼い子どもたちの姿を追う。
・ロシアの士官学校の訓練や寄宿舎の子どもたち
・荒れ果てたチェチェンに暮らす子たち
・難民キャンプにおける子どもたち
この3つのパートから成り立つ。
廃墟となったチェチェンに住む子や難民キャンプの子らはもちろん辛い生活を強いられているのだが、ロシアの士官学校の子どもたちは恵まれているかというとさにあらず。貧しさのために志願する子がほとんどなのだ。
取り上げられるのは皆10〜12才の子どもたち。
時折この年代の素顔をのぞかせる愛らしい子らが、環境によって教育され憎しみや差別を植え付けられていく姿が痛ましい。それぞれのパートのラストに流れる音楽が私には耳障りに感じられたのが残念。

「ジャスティス」Justice
[蘭ブラジル/100分]マリア・ラモス

ブラジル、リオ・デ・ジャ・ネイロの裁判所や刑務所を舞台に、それぞれのケースにカメラが向けられる。
ロバート・ワイズマンのドキュメンタリーを手本とする(?)影響された(?)フィルムは、ワイズマンのアメリカとは違ってブラジル人の国民性とか司法制度とかを写しだしていて興味深いかも・・と思いながら、これはもう見飽きた気分に襲われる。
そういえば前にイランの女性裁判所のドキュメンタリーも見たなぁと思い出しつつ、途中でごめんなさい、会場を後にする。


 空いた時間、市内散策。
 やっぱり山形は良い街だぁ!
 中心地にある木の実町という地名にあこがれる。
 私は“山形市木の実町”に住んでいます、と言ってみたい。


「リハーサル」Rehearsals
  [スウェーデン/96分]ミハウ・レシチロフスキー

実際の3人の受刑者が、商業演劇に出演することになる。
演出家が実際に刑務所に赴きリハーサルを続ける。台本は多分あって無いようなもの。
それぞれの生育歴・信条(ネオナチだったりする)を語り、討論を重ねるのだが、それが舞台そのものとなるのだ。
・リハーサル風景
・各人のつぶやき告白証言
・本番の舞台
それぞれを入れ混ぜながら映画は進行する。
いかにもスウェーデン!といった感じである。3人の囚人は皆それぞれ若く美しい。
面白く見ていたのだが、次の「水没の前に」がどうしても見たい!上映劇場への移動時間もあり、終わり近く泣く泣く途中退場。先の映画に引き続きごめんなさい・・だ。

《後記》私が席を立った後、この映画が凄い展開を見せるという事を、ずいぶん後で知った。ショック!でもこの場合致し方ないと納得するしかない。

「水没の前に」Before the Flood
  [中国/143分]李一凡、イェン・ユィ

6〜7年前に「沈む街」という中国映画を見て以来、三峡ダム建設は少しばかりの関心事となっている。2009年完成すると世界最大のダムになるという。
現代を舞台にした中国映画ではそこここにその話題が取り入れられていて、中国人の関心の程が伺える。
この映画は、歴史的古都である四川省の奉節(フォンジェ)という町にカメラを向け、徐々に水位が上がり捨てられ壊されゆく町の様子を縦糸に、移転せざるを得ない住人の姿を横糸に綴られていく。
中でも印象的だったのは、ひなびた旅館を営んでいる老人の姿だ。日本人から見ると異常に自己主張の激しい中国人の中にあって、柔らかな物腰と常におしゃれを忘れずダンディ、しかもハンサム。終盤の舞いからすると若い頃は舞台に立っていたのかもしれない。その老人の旅館は違法建築のため、何度役所にかけあっても移転補償金が出ない。途方に暮れつつ移転先を探す日々。それでも生きていかなければならない。この老人のみならず切り捨てられた人は膨大な数にのぼる。
そんな各人の事情を描きながら、逞しいパワーも感じさせてくれる。
ダイナミックかつ繊細に綴られたこの映画に魅せられてしまった。

終わって外を歩いていたら、突然このふたりの監督に遭遇。思わず「謝謝!Good Movie」と、訳の分からぬ言葉を発しつつ思いっ切りの笑顔が自然に出ていた私。監督たちも、心からのとびきりいい笑顔で応えてくれたのだった。何だか「日中友好日中友好」などという言葉が頭の中でこだました(単純)。・・てな気分でホテルに帰った二日目なのだった。


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