2007年03月15日(木)

車ぶつける

　アメリカにきて免許を取ってから数年。
超安全ドライバーとして誇ってきたのだけれど昨晩仕事から帰って、自宅近くの路駐エリアにバックで縦列駐車しようと試みていたところ、前方から対向車がやってきたので幅寄せしようと少し下がったところ

めきょきょ！！！

という鉄をつぶすような恐ろしい音と衝撃が走った・・・。

ぶつけた・・・というより、押しつぶした感が・・・。

その音は窓を閉めていてもわかったのか通り過ぎようとした対向車がびっくりして停まった。
で、顔面蒼白で呆然としている私にむかって
「車の持ち主がいないから、窓のところに自分の名前と番号を書いたメモを残しておくといいよ。」とアドバイス。
さらに
「ぼくがその車の持ち主だったら絶対そうしてほしいなあ・・」と、私がさもこれから当て逃げして知らん振りするのではないかと予想してるかのように皮肉っぽく言われた。

今まで自分が体験する車の事故は初めてなので、なにをどうすればいいのかわからず（←対向車のおっさんのアドバイス全然聞いてない）、かたっぱしから友人に電話した。

で、驚いたことに、ほぼ全員が口をそろえて「逃げなさい」という悲しいアドバイスをくれたのよ。。

お互いが起こした衝突事故などに対し、縦列駐車などだれも見ていないところで起きた傷などはほとんどの被害者が泣き寝入りするらしい。

とはいえ、かすり傷どころではなく

↑とりあえず証拠のために撮った写真

こんなに目立つのに逃げるってひどいよね・・。

ちょうど同時期に日本の友人が追突事故を起こして、相手方は怪我はなかったとはいえ車が大破してしまい、ものすごい罪悪感でさいなまれていて、これからは運転は十分に気をつけるという話を聞いたところだったので、余計に、当て逃げされて悲しんでる被害者のことを考えると、しらんふりするなんて言語道断。

とりあえず焦りながらメモを残して、小さい事故とはいえ初めてのことなので不安でもんもんとしながら次の日を待った。

翌日相手の出勤時間と思われる頃に電話がきて、ものすごく淡々と名前と連絡先を告げられた。
詳しいことは保険会社同士で対応するらしく、当事者たちは一切介入しないのがベターらしい。

本当は黒人のヒステリックなおばちゃんが怒鳴り込んできたらどうしよう・・！とか小心者の私は電話がきたときびくびくしてたのに、結構フレンドリーな女性の声で拍子抜けした。

その後、保険会社に連絡して詳細を告げるとあとは当人の保険会社同士で対応するので大丈夫です、と終わってしまった。
心配していたより案外あっさりですんごい勢いで肩の荷が下りたよ・・・。

しかもその後、相手方から
「本当にありがとう！！とってもナイスでした！！！」みたいな激励の連絡がきて、むしろ私がめちゃくちゃごめんなさいと謝るべきなのに、ちゃんと連絡した私は神！みたいな扱いされて、世間では当て逃げしてもしらんぷりする良心の痛みに苛まれない人間が多いんだなあ・・とちょっとあきれた・・。

別に自分が偽善ぶってるとか良い子ちゃんをひけらかしてるとかではなく、本当に常識のない人間が多いんだとびっくりした。
オーバーな話、そういう人はひき逃げしても同じ対応するのかな・・とちょっとぞっとしたけど。

ところで、この話を両親に伝えたとき、保険会社勤務の父親にものすごい詳しい事故にあったときの対応の仕方メールをもらった。
まず日本では普通すぐに警察に連絡するみたいだけれど、アメリカだとこの程度の事故で電話したら逆に迷惑だ！と怒られるらしい。

警察はよっぽど事故で怪我人が出ない限り、めんどくさくて腰を上げないらしい。
こういう小さいことは当人同士、否、保険会社同士でやってくださいな、というかんじ。

交差点でバイクと衝突する軽い事故を起こした友人からは、まず絶対に「ごめんなさい」を言わないこと、と口をすっぱくしてアドバイスされた。

今回のように私が１００％どう考えても悪い場合を除いて、お互い車に乗っていてお互いが何かしら被害を被った場合は警察もしくは保険会社が対応するまでに、極端な話、口をも聞かないほうがいいらしい。

もし「ごめんなさい」と一言でも言ってしまえば、１００％自分が非を認めたということになって後からすべての被害額を被るので、気まずいだろうけれど事故直後はとりあえず「体は大丈夫？」程度の体の心配をして、車の傷はあたかもそこにないかのように無視、とのこと。

状況を想像すると気まずい・・。がちょっと笑える。

今回のことで今後さらに超安全ドライバーの私が前代未聞のウルトラスーパー安全ドライバーの肩書きに付け替える決心をしたことは言うまでもない・・。（事故起こしといて昇進するとは・・）

今回別に車の事故における保険関連対応用語の英語を勉強いたしました。
あと、車は対・人間だとつよ～いけど、対・車だとめちゃくちゃ弱いことも知りましたよ。

歩く速度くらいで後ろに軽くバックしただけなのに、あのめきょっていう鉄のつぶれる音は怖い。
ちょっとプラスチックのペットボトルをつぶす時の音に似てます。

びびったのは、相手の車は見事に凹んだのに対し、自分の車が無傷だったことに生命力の強さを彷彿させました。（なんの？）

nari ｜MAIL