+++ Rip Stick +++

2001年10月18日(木) 彼があたしにくれるもの。



何度も言う様ですが、彼は借金大魔王。


前に某バンドマン(彼絡みでは無く)が
「バンド業界、インディーズで売れてるバンドとメジャーで売れてないバンドが一番貧乏なんだよ」
と言っていた。
彼らはインディーズとメジャーを言ったり来たりしてる人達だから実感してるんだろう。



だがしかし。



売れて無くても金は無い。


お金が無いくせに色々お金がかかることをやりたがる。
それがバンドの活動へ繋がる事なら、何でも。


なので、あたしは彼から何かプレゼントを貰った事なんて殆ど皆無。



その彼が唯一あたしにくれるのはカセットテープだったりMDだったり。



一番最初にくれたのは、カセットテープだった。
新しいメンバーと初めてスタジオで音出しした時に録ったもの。
まだまだ荒くて不慣れな印象はあったけれど
彼がやろうとしてる音楽というものがしっかり伝わるのもで
「良いメンバー見つけたね」
と言ったら、彼は本当に溶けそうな位の笑顔で
「いつか、落ち着いたら結婚しようか」
と言ってくれた。
今となっては言った本人も忘れてるだろう言葉。
あたしの思い出のカセットテープ。


二回目は、山に篭ってレコしたものに手を加える前に落としたMD。
貰ってから2日位した時に電話で「あれ、聴いた?」
と聞くので「ご免まだ全部聴けてない」と言ったら
「なんだよ〜感想聞きたいのに〜」と言われた。
あたしに意見を求めてくれる事が嬉しいと気付いたMD。

そうしてレコの度にあたしの手元には、彼が作った音が増えていく。

何年もそんなやり取りを続けてて、あたしは毎回違う事なんて言え無いんだけど
彼は毎回あたしに「どうだった?」と聞いてくれる。

そんな事がとても嬉しい。




どんなにお金をかけて
どんなに遠い所まで行って買ってくれた流行りモノなんかより
あたしには彼がくれるその音が、一番の贈り物なのです。






 < 前  目次  次 >


ゆえ [MAIL]

My追加