みのるの「野球日記」
==すいません、ちょっと宣伝です==

●『中学の部活から学ぶ わが子をグングン伸ばす方法』(大空ポケット新書)

新刊が発売になりました。
しらかし台中(宮城)の猿橋善宏先生の
指導法などが掲載されています。
詳しくは、大空出版HPをご覧ください。
http://www.ozorabunko.jp/book/gungun/

●『グラブノート』(日刊スポーツ出版社)
BBA梅原伸宏さんのグラブ本。構成を担当しました。
親指かけ・小指かけの結び方、グリスの入れ方など、
グラブをよりよくするための方法が書かれています。

*ツイッター始めました
@mino8989 です。

2003年02月13日(木) 筑川利希也、復活のマウンドへ(1) 穏やかな表情

 昨年の11月16日、半年振りに会った筑川は、ブレザーを着ていた。ベンチ外の応援部隊として、神宮球場に来ていた。

 明治神宮大会2回戦で、東海大は九州国際大に0−1で惜敗した。エース久保裕也が初回に失った1点を、打線が取り返すことができず、初戦で姿を消した。敗戦後、久保は涙を流し続けた。右腕で何度もぬぐっても、涙は溢れ出た。久保を囲んだ報道陣が、取材を行うのを躊躇ったほどだった。
 久保はバスに乗るため、球場の外へ出ると、父の姿を見つけた。2、3分もの間、久保は父の胸の中で泣き続けていた。

 その様子を筑川は5メートルほど後ろで眺めていた。
「来年、久保の分も頑張らないとね」と声を掛けた。
「来年は無理ですよ。4年まで投げられないです」
 そう言葉を返した筑川だが、表情に暗さはなかった。穏やかな表情を浮かべていた。でもそれは、試合に出場できない選手の表情に、勝負を争う舞台に立てない選手の表情に思えた。

 ふたりで話しをしていると、女子校生らしき二人組が筑川に声を掛けた。
「筑川くん、一緒に写真撮ってください」
 肯定も否定の意も見せず、筑川はカメラに収まった。
「相変わらず、人気あるね」
 そう訊くと、筑川の穏やかだった表情が崩れた。
「もう、昔のことはいい加減忘れて欲しいですよ」

 センバツの優勝から、もう3年が経とうとしている。


 < 過去  INDEX  未来 >


みのる [MAIL] [HOMEPAGE]

My追加