chikuの日記...chiku

 

 

この双つの眸に宿った闇と光 - 2006年11月10日(金)

*その何方で僕は未来を見つめるべきなのだろう。



読み終わりました。「アーカム計画」。
素晴らしい傑作です。これは、面白い。
私は基本的にラヴクラフトは彼の諸作品と一部のダーレツものしか読んだ事が無かったのですが(しかも食わず嫌いの類で。)、これは読むべきですね。
数々のクトゥルフ神話研究本などに例として名が挙がるのは「ロバート・ブロック」が有名だったからだけではなく、神話作品としても高い評価が下されていた証拠であったのだと確信が持てました。素晴らしい一冊です。
創元推理文庫さまはどうしてこれを絶版にしてしまわれたのか…叶うなら再販を望みます。ほちい。

以下ネタバレを含みます。まだ読んでない方は注意☆


さて、内容の方ですが、クトゥルフ神話もの(とりわけラヴクラフト神話乃至原神話と呼ばれる諸作品)を良く知る方も、クトゥルフ神話って何?な初心者の方でも楽しめるものだと思います。もちろん神話を良く読み理解している方の方が楽しめること請け合いですが、それはそれ。実際私も読んでない短編長編がいくつあるか知れませんし…それでも楽しめましたので全然大丈夫だと思いますヨ。
そして、第一章を読み終えた時点で感じるのは(解説の大瀧啓祐氏も語るように)、ブロックのラヴクラフトへの敬愛と崇拝。コアなファンならそれだけこの作品に愛を感じるのだと思います。素晴らしい。
面白さの由縁はブロックのラブクラフトへの愛だったのだから、面白い訳ですよね。
第一章はラヴクラフト的な典型的な「主人公の死」であるにも関わらず、その経緯や話の流れはブロック的で読んでて「次はどうなる?」とワクワクしながら読めました。ウェイヴァリーの死(失踪?)は私が初めて読んだ神話作品である「闇に囁くもの」のオマージュ風で心トキメキました。絶頂(早いな)。
ピックマンのモデルについてはまだ私が未読な為深く語ることが出来なくて申し訳ありませんが、それでもあらましを知ってるだけで全然楽しく読めましたヨ。
第一章があるお陰で、クトゥルフ神話を知らない方でもすんなり世界に入れるのじゃないでしょうか?
第二章は、第一章のジョブを交わしての右ストレートってトコでしょうか?名前の通り第一章「現在」の「その後」の話で、ほぼこれが本編って感じです。
ラヴクラフトがあまり描かなかった女性の主人公で、なじむまでちょっと掛かったのですが、一回入り込んだら結構すらすら受け入れられましたね。でも、なんか違和感があってなんだろうなー?と思ってたんですよね。…今思うとラヴクラフトと違って黒人や褐色肌、アジア人達への偏見が無かったんですよね。
やっぱりラヴクラフトは異常なほど白人以外の人種を嫌っていたのですね。そんなところも浮き彫りにされたり…
さて、第二章でいよいよナイ神父の登場です。めちゃカッコよくみえるのは正体を知っているからでしょうか?思ってたより普通に人間っぽくお話なさるのですねー。俗世もよくわかってらっしゃいました。
ブロックはエジプトやエジプト神話が好きなのは周知の事実ですが、それ故に「エジプトからやって来たナイアーラトテップ」に執着していたらしいですね。ブロックのナイ神父乃至ナイアーラトテップの描写は、いまやラブクラフトの提示するそれを凌いで、すでに定説と化しているのはやっぱりこの作品のインパクトが大きかったからでしょう。そうなるのも当たり前で、人の形を得たナイ神父は親しみやすさと不気味さはナイアーラトテップ作品の中でもピカイチですよ。
ストーリーそのものはやっぱり定番の「語り部」が死ぬところで終わります。しかし、それは第一章とは少し違う形で第三章に引き継がれる。
第三章は「その後」から四分の一世紀後(25年後ってことですかね)の話で、その途中はやっぱり所々ラヴクラフトのオマージュが散らばっていたので面白いっちゃ面白いのですが、第二章までの話とどう繋がってるのかいまいちわからずに読んでいましたが、ラストのラストにナイ(…だと思うけど)が再登場して全部話してくれた時点で解決します。
ラストはやっぱりバットエンドですが、いままでにあった「語り部乃至主人公が死ぬ」というものではなく、クトゥルフの復活とそれに伴った人類の絶望が描かれています。
はっきり言ってこれが出来るのはブロックだったからだと思います。現代の人間がこれをやってもただなまっちょろいものになりそうなものですが、ラヴクラフトの秘蔵っ子であり文通友であったブロックが描いたからここまで完成度の高いものが描けたのだと…そう思います。

久方ぶりに出会った面白い作品でした。



==========夜が明けて。

昨晩の興奮冷め遣らぬうちに、買って来ました「ラヴクラフト全集6」!
この巻は、「ランドルフ・カーターの陳述」「銀の鍵」「銀の鍵の門を越えて」「未知なるカダスを夢に求めて」の四作が入ってるんですよ!
えぇ!そうです!一人ニャルラトテップ祭しますよ!いぇい☆
ナイ神父とは違うニャルラトテップに会える(はずの)「夢の国物語」♪
さっそく読み始めようっと♪


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