加藤のメモ的日記
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2022年05月07日(土) 「老いと病」に向き合った人たちは、あの時何を考えていたか

 松方弘樹 脳リンパ腫 享年74
「どんなに無様でもいいから、芝居がやりてえな」記憶が失われる恐怖と戦い続けた

「松方さんは60歳を迎えたとき、肉体の老いと映画人生の陰りを、最も感じたのではないでしょうか。自身がプロデュースした映画が軒並み失敗して莫大な借金を抱えた。私生活でも仁科亜希子さんと離婚して、財産も、子供の親権も全部失いました。その頃、杏林大学病院での健康診断で、医師に『生きているのが不思議なくらい悪い状態だ』と言われたそうです」こう語るのは晩年に松方弘樹さん(‘17年没)にインタビューを続けていた、『無冠の男 松方弘樹』の著者・伊藤影彦さん(60歳)だ。

60歳を機に、酒もタバコもやめた松方さんだが、2016年2月に頭痛を訴え入院。10万人に1人といわれる難病・脳リンパ腫が見つかる。脳リンパ腫は治療法は抗がん剤投与と放射線治療の二つで、激しい肉体的苦痛を伴う。伊藤さんは、本の出版を諦めかけていた。ところが3月、綺麗な文字で加筆修正された原稿が伊藤さんの元にFAXで届いた。「パートナーの山本万里子さんに口述筆記させて、送ってくれました。検査のため、脳に針を刺して細胞を採った直後だったそうです。松方さんの責任感の強さに頭が下がりました」

しかし、松方さんは脳リンパ腫の治療中に、脳梗塞を発症する。医師は付き添う山本さんに「回復しても、半身不随になります。役者としての復帰は無理でしょう」と秘かに伝えたという。「役者にとって大事なのは記憶だ」と常々語っていた松方さん。脳が病に蝕まれて記憶が失われる恐怖と戦い続け、何とか役者として復帰しようと懸命なリハビリを続けた。周囲に気づかれないようサングラスにマスク姿で、入院していた東大病院近くの不忍池の周りを


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