加藤のメモ的日記
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2019年01月08日(火) 2018墓碑銘

●衣笠祥雄

キヌさんが背中で語ってくれたもの
どんな時もカッコいい先輩。それがキヌさんでした。捕手の道原佑行さんの引退後、キヌさんが引退するまでキャッチボールの相手をさせていただいた。「俺はキャッチャーを失格になった男だから、お前の苦労はよくわかる。辛くても頑張れよ」。そんな励ましの言葉が本当にうれしかった。

ランニングやストレッチといった一見簡単な練習も一切てをぬかないし、食事中でも話は野球のことばかり。そんな、ひたむきに野球に打ち込むキヌさん背中、かっこよかったなあ。(立川光男・野球評論家)

命日 4月23日 享年 71
きぬがさ・さちお/1965年、広島入団。2215試合連続出場を達成し、「鉄人」の名で親しまれた


●桂歌丸

真の姪噺家はアイデアマン
『笑点』のメンバー紹介で歌丸師匠が僕を「笑点のゴミ」なんて言うものですから「山田君をいじめないで」と手紙が来たそうです。「参ったよ」とよく苦笑いしていました(笑)。でも、それも僕を目立たたせるための工夫。今ではお約束の「山田くーん、座布団一枚差し上げて」の台詞も、師匠が発案したものの一つ。ただ座布団を運ぶだけじゃ目立たないから、面白くしようと常に気を使ってくれていたんです。僕の今があるのは、歌丸師匠の優しさのおかげです。(山田たかお・タレント)

命日7月2日 享年81
66年の番組開始から「笑点」のレギュラーとして活躍。2006年より司会も務めた

●野中広務

弱さを助け平和を愛した
野中さんは私の師匠だった土井たか子さんと同じ関西出身。戦争体験者同士仲が良く、私もその縁で社民党から初当選して以来、親しくしてもらいました。口論もしましたが、小さな政党や弱者の意見もよく聞いてくれる優しい人で。一貫して「平和は守れ。憲法9条は絶対守らなあかん」とおっしゃっていた姿が今も目に焼き付いています。

私にとって、真っすぐな正義感を教えてくれた土井さんが政治の母なら、戦争反対を貫いた野中さんは政治の父といえる人でした。

命日 1月26日 享年92
のなか・ひろむ/官房長官、自民党幹事長などを歴任。その手腕から「政界の狙撃手」と呼ばれた。

●津川雅彦 朝丘雪路

破天荒な夫を支えた妻の愛
津川さんは常識にとらわれず、自分の頭で考える人でした。大河ドラマ『葵徳川三代』で徳川家康を演じてもらった時のこと。家康が息子の秀忠を叱責する場面では、秀忠役の西田敏行氏の頬を尻でどついたんです。やられた西田も驚いたていたが、僕もびっくりした。本番で見せたアドリブだったそうです。台本にはないところで演技を膨らませていく。名優だったな。

ヨーロッパの古城が取り壊されると聞いて、津川さんがその場で買い取り、15億円かけて日本に移築したこともありました。そんな破天荒の彼を支えたのが妻の朝丘さん。津川さんが抱えていた億単位の借金を、自宅を売って返済するなど、本当に肝の座った人でした。

朝丘さんが先に逝ってしまった時、津川さんが「見送ることができて良かった」と語ったのは、長年の感謝の表れだったのかな。脚本家ジェームス三木

朝丘雪路 命日 4月27日 享年82
宝塚歌劇団退団後、女優として活躍。『11PM』のアシスタントとして人気を博した。

津川雅彦 命日 8月4日 享年78
『狂った果実』に出演で話題に。二枚目から悪役まで幅広い役柄を演じた。

●菅井きん

何気ない瞬間に見せる女優の品
2008年に僕が撮った映『ぼくのおばあちゃん』で主演していただきました。80歳を過ぎていらしたんですが「監督のやりたいように従いますから遠慮しないで」と。僕の要求にもとことん付き合ってくれて。印象的だったんpが、「私たばこを飲まないとやれないの」と、指でたばこを挟むその仕草。なんとも粋でセクシーな、女優の品がありましたね。また、夕食でステーキをぺろりと平らげる姿にも驚かされました(笑)。

黒澤明監督など巨匠との裏話もたくさん聞きながら3週間。僕には夢のような時間でした。俳優映画監督 榊 英雄

命日8月10日 享年92 すがい・きん/必殺シリーズ中村主水の姑役で人気を博すなど、名脇役として多くの作品に出演した

●樹木希林

死と向き合う強さがあった
初めて希林さんと会ったのは、映画「日々是口実」の顔合わせ。主要な役柄で希林さんが出演した最後の作品になります。撮影当時、体調の悪さは感じられませんでした。短い時間の中でスッと役を乗せる感覚と集中力。「ご飯食べてる?」なんて感じで皆を気遣い、場を和ませる振る舞い。振り返ると、自分の死と向き合いながらも、人への愛情を絶やさない、他の人には真似できない希林さんの「強さ」がそこに表れていたんだな、と。女優として限界まで仕事をして亡くなっていく。その生き様に、今も考えさせられるばかりです。
映画監督 大森立嗣(おおもりたつし)

命日9月5日 享年75 
きききりん 1961念女優デビュー「寺内貫太郎一家」などに出演。個性派女優として活躍した 


『週刊現代』12.29


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