加藤のメモ的日記
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| 2016年04月21日(木) |
白人系大統領オバマ氏 |
白人系2月17日の参院憲法審議会で自民党の丸山和也議員がおかしな発言をして批判を浴びている。アメリカでは黒人の血を引くオバマ氏が大統領になっている、奴隷の子孫であるというのだ。この発言の真意がよくわからない。黒人差別の意図があったのか、奴隷の子孫でも大統領になれる国だという意味だったのか、それともただ何となくこんなことを言ったのか。結局、おざなりの陳謝をして幕引きになりそうだ。
そもそもオバマ大統領の実父はケニアからの留学生であり、アメリカ系の黒人奴隷の子孫ではない。丸山発言に差別の意図がなかったとしても、奴隷や黒人問題について無知のそしりは免れないそして、日本人全体がこの問題について無知であることの象徴でもある。
オバマ氏が大統領になった2008年、私は某大学で比較文化論の講義をしていた。ちょうどよい題材だと思って、新聞のコピーを学生に配り、オバマ大統領を黒人系だとすることに、君たちは疑問を感じないかと質問してみた。学生の一人が手を挙げた。黒人系ではなく、アフリカ系と言うべきではないでしょうか。そんなものおなじだろ。アフリカのサハラ以南の原住民は黒人じゃないか。
また一人が手を挙げた。オバマ大統領のお父さんがアジア系だと聞きました。それはお母さんの再婚相手。オバマ氏の継父の話だ。しばらくだれも手をあげない。やがて、一人がおずおずと手を挙げた。オバマ大統領は黒人系ではなく、白人系ではないでしょうか。その通りだね。正確には黒人系であると同時に白人系でもあるのだ。彼は白人・黒人の混血だからね。彼がもしケニアで大統領になったら、ケニア初の白人系大統領と呼ばれるだろう。アメリカでオバマ氏が黒人系と呼ばれるのは、アメリカでは大統領は白人が当然だという通念があるからだ。だが、ケニアから見れば逆になるのだ。アメリカ標準が世界標準ではないんだ。文化の相対性を学ぶことが比較文化論の眼目なのだよ。
今、私はオバマ氏は「混血」だと言った。しかし、テレビでも新聞でも「ハーフ」と言い換えている。「ダブル」という再言い換えさえ進んでいる。こんなところにもアメリカ標準、英語標準が表れているんだ。「混血」は忌まわしい言葉だけど「ハーフ」「ダブル」は美しい言葉だなんて、それこそ日本語という文化に対する差別じゃないか。現実に優勢な言語、劣勢な言語はある。私も便宜的にオバマ氏は黒人系大統領と言うよ。でも、それはアメリカ標準に過ぎないことは自覚していかなければならない。我々は、異文化についても自国文化についても無知なんだよ。
週刊ポスト3.11 現実のバカ
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