加藤のメモ的日記
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今、橋下さんは慰安婦に関する発言の問題で大変なことになっています。米軍に「風俗を活用してほしい」といった、ということも問題になっている。風俗業の活用を提言する橋下さんであれば、遊女について大っぴらに描いた物語が多い文楽にどんどん補助をしてもよさそうなものだのに……と思うのですが、長い伝統を持つ「文化」と化した文楽の姿を見て、橋下さんはカチンときたのかもしれません。伝統の上にあぐらをかいているのではないか、と。
また橋本さんは、もしかすると「遊女のかなしみ」を見たくなかったのかもしれない、とも思うのです。日本の風俗業が、外国人にも積極的に「活用」してもらうべき産業なのだとしたら、そこで働く女性たちは、決して「望んでなどいないのに、仕方なくこの仕事に就かざるを得ない」とか、「本当ならば違う仕事をしたいのに……」などと思っていてはならないはず。「私は、自分がやりたくてこの仕事をしているんです!」という女性が多いと思っておられるから、橋下さんは自信を持って「風俗業の活用」をすすめるのではないか。
「曽根崎心中」でも「心中天の網島」でも、遊女は悲惨な運命に翻弄されます。別に死ななくてもいいのに、若いみそらで男と一緒に死んでしまうのは、「生きていたってしょうがない」と、彼女たちが思っていたからではないか。かってあった彼女たちの「かなしみ」を芸術に昇華させ、保護する日本は粋な国だと思う私。しかし彼女たちのような思いをする女性は、、文化的な国であるはずの日本からは、今後出てこないでほしいものだと思うのでした。
酒井順子
人間は所詮世代的にしか生きられないのだろうか。慰安婦と風俗は一緒にできない
毎日のようにネットには、橋下徹日本維新の会共同代表の「慰安婦に関する発言」が話題になっている。これも案外、世代的なものかもしれない。橋下君のような若い人には、セックスとか売春とかいうものに罪悪感が少ないのではないか。風俗嬢の中には、「仕事を楽しんでいる」向きもあるとか。
ボクらは今でも「苦界に身を沈める」という考え方が、まず頭をよぎる。しかもそれが国家やその出先機関の強制であれば、すでに人間の根源的な尊厳や自由を侵す犯罪になる。ボクは1970年代に、「11PM」でインタビューした従軍慰安婦の言葉を、今でも忘れていない。彼女らと風俗嬢を一緒にすることだけは、橋下君、絶対にしてはいけない。
大橋巨泉 『週刊現代』6.15
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