加藤のメモ的日記
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2013年04月03日(水) 記憶力

記憶は消えない。技術さえ身につければ、どんな時も意識の中から引き出すことができる。

毎日実行したいエクササイズ

通りを歩いていると、通行人の会話が耳に入ってきます。そういった言葉の端はしを聞いて意識的に捉え、しばらく頭に留める努力をしましょう。何ブロックか歩くうちに、ばらばらで何の繋がりもない文章を、こんなにたくさん聞くことができ、その上覚えられたということに驚くでしょう。すべては注意力と興味の問題です。このエクササイズの価値は「聞いて覚える」という一点のみです。

●エクササイズ 言われた言葉を思い出す

今日一日の間に人から言われた言葉を、正確に思い出す努力をしてみましょう。面白くて役に立つエクササイズです。ついさっき言われたばかりの言葉でも、繰り返せる人は少ないものです。その原因はほとんどが注意不足です。

●講演を再現する

講演や演説、テレビ番組などを全注意力を傾けて話を聞き、あとで、そのうちどれくらいを覚えているかを書き留めます。話の内容を振り返り、分析し、使われていた言葉を可能な限り再現してください。このエクササイズの価値は、聴覚と記憶力の訓練としてだけでなく、スピーチの名人になる手段としても優れているところがあります。

敬愛する教授の講義を長年聞いている学生は、その教授の話し方をだんだん身につけていきますし、上手なスピーチを聴いていると、聴く側の頭の中で、今までの自分のレベルをはるかに超えた表現力が培われていきます。文章や表現をそのまま再現したいという気持ちを持って話を聞くと、この傾向はとくに強くなります。言葉だけでなく、声の調子や表情までもできるかぎり正確に再現する訓練をすると、話術や表現力が自分の中で育っているのを実感できるでしょう。

●ヒンドゥー・メソッド

聞いたものを覚え、後から思いだす訓練法として最適なのは、神聖な教えや哲学を伝えるためにヒンドゥー教などが使っているメソッドです。彼らの素晴らしいメソッドは、「小さく始め、徐々に増やし、何度も復習する」ことが基調となっています。ヒンドゥー教の教えの伝授は、まず教師が生徒に向かって聖典の一行目をくり返すことから始まります。生徒はその一行を完璧に記憶し、言葉と意味の両方をしっかりと頭に焼きつけて、一つ一つの言葉が目の前に飛び出して見えるほど、理解している状態にします。一行目を前からも後ろからも復唱することができますし、どの言葉がどの位置にあるのかもわかります。

翌日、二行目を学び、一行目をおさらいした後に覚えたばかりの二行目を続けて二行まとめて頭に入れます。その翌日は三行目を覚え、最初の二行目をおさらいしたあとに三行目を付け加えます。このように、毎日一行ずつ増やし、常におさらいをし、新しく覚えた行と前日までの行をつなぐという形で進めていきます。

大切なのは、言うまでもなく「おさらい」です、これがあるために、生徒は前日までに覚えた行を何度も何度もくり返し、その旅に印象が深まっていくのです。また、繁雑にくり返すことで行と行の繋がりがスムーズになり、それぞれの行が前後の行としっかり結びつくという効果もあります。そのため、全体を一度の覚えたような感じになって、各行のバラバラの印象が一つにまとまります。

しばらくすると、一日二行、次は三行というふうに増やしていき、やがて信じられないような記憶力が身についていきます。しかしヒンドゥー教の教師は、徐々に頭をこの作業に慣らしていくべきだと考え、いきなり一日に多くの行を覚えようとすることは戒めています。この種の能力を鍛えたい人は、友人に手伝ってもらって作業するといいでしょう。最初の日は友人に一行目を読んでもらい、それがしっかり頭に入るまで繰り返します。翌日、一行目を復習し、二行目を覚え、次に二行まとめておさらいします。こんな調子で一ヶ月ほどは一日一行を守ってから、行数を増やしていくのです。

最初に取り組む素材として最適なのは、詩です。文体が魅力的でリズムがあり、興味深いテーマの詩を選びましょう。初日は友人に読んでもらった後、自分でくり返してください。このとき、すらすらと復唱できなければ、何分かしてもう一度読んでもらいます。完璧に頭に入るまで、それをくり返してください。そのあとも何回も繰り返し、完全に自分のものになったと思ったら、今度は後ろから読んでみましょう。単語の一つ一つが頭に浮かんで見えるほどしっかり覚え、コツさえつかんでしまえばさほど難しいことではありません。

二日目は、まず前日覚えた行を復唱し、初日と同じやり方で二行目を覚えた後、二行まとめて覚えます。三日目以降も、こんなふうにして毎日一行増やしていきましょう。何よりも大切なのは、おさらいだということを忘れないでください。単語そのものを覚えるだけでなく、述べられている内容を心の絵で見ることができるように、単語の意味を考えることも必要です。

最初から欲張らないようにしましょう。一日一行を続けていると、まもなく、それほど苦労せずに復唱できる能力が身につきます。一件、単純で簡単なエクササイズのように見えますが、見くびってはいけません。ヒンドゥー教の弟子たちは、聖書に匹敵するサイズの書物を暗記するために、このメソッドを学びます。「一度に少しずつ」「つねに復習」を守ってこそ、この技術は身につくのです。


記憶力を左右する、「鮮明な印象の記憶能力そのものを鍛えているのだ」ということを、忘れないでください。どんな能力も興味を持ち、使うことで鍛えられます。自分の中に眠るどんな能力を引き出す時も、これが秘訣です。イギリスの歴史家、マコーリーは、政治家のトーマス・ウォートンを評して「ウォートンは靴屋にまでファーストネームで呼びかけるのだから、とてもかなわなかった」と言っています。ナポレオンは顔と名前の記憶力に秀でていたおかげで、配下の兵士から慕われました。アリストテレスは、ずば抜けた名前の記憶力を持ち、アテネの政治家、ペリクレスは、アテネの全市民の名を知っていたといわれています。日本では田中角栄の記憶力は素晴らしく、一度会った人の名は決して忘れなかったといわれています。

名前を即座に思い出せる人は、人から好意を持ってもらうための強力な武器を手にしているということですから、この能力を鍛えるのは誰にとっても価値があるといえるでしょう。すべての知的能力や体の部分と同じように、名前の記憶力も鍛えることができます。もちろん、注意力と訓練によってです。名前の記憶力を鍛えるために最初に必要なことは、鮮明な印象を記憶することです。記憶力ほど素早く、いい加減な注意力に反抗するものはないからです。



『記憶力』


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