加藤のメモ的日記
DiaryINDEXpastwill


2009年07月04日(土) アメリカ帝国の衰亡

―ところで、ブッシュは映画『ブッシュ』を見たんでしょうか?

「見たと思う。映画公開の後で行われたインタビューでブッシュは映画『ブッシュ』のラストシーンとまったく同じせりふを言ったしまっているから」

―それは12月1日のABCテレビ、チャーリー・ギブソンのインタビューですね。「あなたは歴史においてどのように評価されると思いますか?という質問に「歴史になるころには死んでるよ(だから歴史的な評価は気にしない)」と無責任に答えた。それは映画『ブッシュ』の最後のセリフでした。

「ブッシュは映画のブッシュを模倣したんだ。きっとブッシュはジョジュ・ブローリンが演じる自分を気に入ったんだろう。ジョジュのブッシュは本物よりもずっとハンサムで、感情移入できるキャラクターだからね(笑い)」

―ブッシュは自分がしたことを将来謝罪するでしょうか?

「しないだろう。彼はまったく本を読まないから、自分を客観視できないんだ、だから映画では夢の中で父親に叱らせたた」

―本を読まなくても、せめてベトナム戦争に行けば現実を学ぶことができたと思いませんか?それに父親の影を断つこともできた。あなたのように。

「ハハハ(笑い)。俺はベトナムに行ったせいでで大学も中退し、タクシーの運転手くらいしか職がなくて苦労したがね。それでも実際の戦場で何が起こるか、殺し殺されることを体験することができた。本物の戦争を体験したものは戦争を避けるようになる。だからブッシュの父も、パウエル国務長官もイラク攻撃に反対した。それを蹴散らして戦争に突き進んだのはベトナムの兵役を五度も逃げたチェイニーやラムズフェルド国防長官などの実戦経験のない連中だ。彼らは口先だけの安楽椅子愛国者だよ」

―確かに戦争体験は戦争を止めようとするが、アメリカ国民はなぜか、戦争を知らない連中の戦意高揚に乗ってしまう。

「ベトナム戦争は、戦場を知らないジョンソンやニクソンが泥沼化させたもので、戦争の英雄マクガヴァンが72年に大統領に立候補してベトナム戦争に反対した時も、国民はなぜかニクソンのほうを選んだ。いつもこうだ。04年の大統領選にケリーが立候補したときはひどかった。ベトナムから逃げたブッシュの陣営はケリーがベトナムの戦争で活躍した事実を否定するデマを流した」



……………

「マネーはますます実態からかけ離れて取引され崩壊した。それはアメリカだけでなく世界中の貧しい人々をさらに貧しくする。しかしウオール街の連中は責任をとらない。逆に何十億ものボーナスをもらう。これがアメリカだ」


「しかしオバマがアフガニスタンでタリバンに勝つと約束したことは賛成できない。アフガニスタンはベトナムと同じ泥沼だ、オバマにはアフガンからも撤退するガッツを望む。アメリカはもう世界の警察である必要はない」

―あなたは今も反逆者ですね。

「ハハハ。今の世の中みんな体制寄りになってしまった。リベラルだ左派だと呼ばれている連中も中道にすぎない。本当の左派は存在しない。日本も同じだろう。戦後ずっと自民党一党支配だ。左はどこに行っちまったんだ」

―さあ?でも一つ面白いのは、ブッシュ政権に追従してきた日本の政治も、ブッシュみたいなお坊ちゃんばかりが仕切っているんですよ(笑)


  ………………


『プラトーン』『ウォール街』で米国の真実を描いたオリバー・ストーン監督の最新作が公開される。父へのコンプレックスから大戦争を引き起こしたダメ男、ブッシュと、それを8年間も支持した米国民の心理とは。没落するカウボーイの国の「掟」が今、明らかに。

『ブッシュとウォール街とアメリカ帝国の衰亡』



オリバー・ストーン監督独占インタビュー
インタビュアー 町中智浩 映画評論家

週刊文春 5.21


加藤  |MAIL