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2004年11月23日(火)
「海猫」は60点

「海猫」森田芳光監督 伊藤美咲 佐藤浩市 中村トオル 三田佳子 白石加代子 深水元基 ミムラ あお井優 小島聖
昭和50年代の北海道漁村。昔気質の残っている田舎で、けなげに頑張るロシアのあいのこの美しい若嫁。そして暴かれる三角関係。まるで一昔前の昼のメロドラマだ。でも丁寧につくれば傑作になる可能性はあった。本格推理小説の中には「閉ざされた山荘の中での密室殺人」という物語がくり返し描かれ、決して駄作ばかりではないということがありうるように、「閉ざされた環境の中での三角関係」というのはくり返し描かれるべき日本映画の永遠のテーマだろう。舞台設定、美術は素晴らしい。脇役は白石加代子を筆頭に堅実。だとすると、問題は主演俳優である。男優のほうは可も無く不可も無い。女優は問題である。些細なことだが、女優の目は青いはずだし、セリフでも明確に言われているのに黒いままというのはいかがなものか。いや、そんな事ではない。伊藤美咲、雰囲気だけはあるが、もっと上手い俳優にすべきではなかったのか。雰囲気だけを出そうとする女優への演技指導はつまりは「キャストミス」という事なのではないか。伊藤美咲がどんな気持ちで仲村トオルに走ったのか、そのもっとも大事なところを雰囲気だけで撮って貰ってはたまらない。つまりはこの作品は官能美溢れたメロドラマであり、映画作品としてはすぐ消え去るべきものである。ただし、伊藤のだらしない弟役、深水元基は収穫。