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2004年08月26日(木) ■
「夕陽妄語�察彡�日新聞社 加藤周一

「夕陽妄語�察彡�日新聞社 加藤周一
朝日新聞月一の連載の単行本化7冊目である。2001年1月より2003年12月までが収録されている。単行本の帯にはこう記されてある。「ぶれない・流されない・こわばらない 20年間の定点観測が教えてくれる抵抗のかたち」なかなか的確なキャッチコピーだと思う。加藤周一の意見はずっと変わっていない。しかしこの20年間変わってきたのは日本と世界の政治状況であろう。「大勢順応主義」に陥りやすい日本のことをその文化の根本からずっと批判してきたのは加藤周一である。(ぶれない流されない)しかし彼の関心はいつも政治に向かっているのではない。むしろ、この数年間は「日本美術史序説」の完成に向けてアジアに散らばる仏像と日本との関連、あるいは雪舟の事、あるいは淋派の事、あらゆる美術を精力的に見ていた。(こわばらない)ただこの連載の三年間の途中でその研究を一時中断してまで取り組まねばならない出来事が起きたのだと、私はこの単行本の目次を見て気が付いた。2001年9月11日の同時多発テロに発する、アフガン征伐とイラク戦争、そしてそれを積極的に「支持」する日本政府と「改憲」策動である。9.11以降の28ヶ月で直接間接にこれらの事に関して言及しているのは、私見によれば20ヶ月にも及んでいる。長い連載の中これほどまでに具体的な政治状況にコミットしたのはなかったと思う。この連載の外では精力的に講演もこなし、反対宣言も幾つか出し、そして関連の本も書いている。1919年生まれの加藤周一氏であるから今年85歳のはずである。私は氏がこの連載中二回も紹介した木下順治作「巨匠」の事を思いだしている。老知識人は自分がそれを言いだせはナチスに殺される事が分かっていて自分の芸を披露する。その事がなによりも大切な自分の生きている証だったからであり、抵抗のかたちだったからである。失礼な事を充分承知しながらあえて言えば、私は日本を代表する知識人・加藤周一がこの老知識人のように「最後の闘い」に打って出ているのだ、と何度も何度も感じてたいた。