日々あんだら
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| 2004年12月24日(金) |
4年ぶり2度目(阿鼻叫喚編) |
(前回の続き)
更衣室を出て会場へ向かう。 不思議なことに化粧をしてウィッグをつけると、自分のキャラが変わってしまったような気分になる。
…女装マニアの気持ちがわからないでもない。
エレベーターは幸運なことに無人だった。 誰か乗っていれば、我々もその人も不幸になったことだろう。 だが、前回と違って8人で女装しているせいか、不思議と怖くも恥ずかしくもない。
エレベーターの中は一種異様な世界だった。 一人まともな格好をしている幹事が、居心地悪そうにしている。
6Fに上がり、裏口から会場の袖へ向かう。 「あらー、かわいいわねぇ」 クローク係のおばちゃんの言葉に、うそつけっ!!と心の中で返す。
しかし、その頃には全員内股で歩いていたのだった。(笑)
会場の袖に到着する。 知っている人たちが話す声や笑い声が聞こえる。
「では、次のゲームの準備が整いました〜」 会場司会をしている先輩のアナウンスが聞こえた。 「では入っていただきましょう!『美少女コンテスト』!!」 会場を埋め尽くすおじさんたちから歓声が上がる。
「じゃあ、若い人から入ってって」 幹事の声に意を決して(こんなに「意を決する」という言葉がぴったりな状況が他にいくつあるだろうか)会場へ踏み込んでいく一番下っ端な僕。
僕が会場に入った瞬間、
< b>歓声が絶叫に変わった。
スポットライトが僕を正面から照らす。 ここでびびったり恥ずかしがったりすると負けである。 僕が恥ずかしがると場が白け、後に続く7人も入りにくくなってしまう。
勇気を奮い起こし、目の前に座っていた副支社長に投げキッス!
そのままステージの上に進み、会場全体に向かって両手で投げキッス!!
間違いなく、その時の僕には何かが憑いていた。 脚はもちろん内股である。
後から続く7人もステージ上に上がる。 例のN先輩(めっちゃかわいくなった人)が上がると、おじさんたちからどよめきが起こった。 なんせ斜め45°の上目遣いである。
…くっそー、あれは真似できんな。
会場司会をしていた先輩(同い年・女性)がマイクを持ってステージに上がってくる。 「ではインタビューをして行きましょう!」 一番端の僕に近寄ってくる。笑顔が微妙に引きつっているように見えたのは、僕の被害妄想だったのか。
「お名前は?」 化けるのにいっぱいいっぱいで、準備していなかったインタビューに 「…hide子でっす♪」 と答えるのが精一杯な僕。 一番前のテーブルに座っている先輩(この人も同い年・女性)とさっきからチラチラと目が合う。 得意な右目ウインクを返す。あ、目をそむけられた。(※左目は苦手)
「じゃあなにか一言アピールをお願いします」 僕に向けられる携帯カメラの列を意識しながら、 「今夜の皆さんの夢に出ないことを祈ってますぅ」 そう答えるのが精一杯な、アドリブに弱い僕。
…だから一番手って嫌いなんだ。
他の7人も順番にインタビューに答えていく。
「お名前は?」 「キャサリンで〜す。(はぁと)」 誰なんだ、お前は。
「チャームポイントはなんですか?」 「この120cmのバストです」 うわっ、いつの間にか詰め物してるっ!! 「巨乳好きの人は私に投票してねぇん♪(ぷるるんぷるるん)」 …揺らし方の練習までしてやがった。
「みなさんにアピールをお願いします」 そう振られた別の先輩は 「じゃあ、ちょっとだけよ」 そう言って毛むくじゃらの脚を見せつけながら、スカートを少しずつずり上げる。 …手つき(だけ)エロいから。 下に履いていたパンツは青いチェックのトランクスだった。 「スカートと柄が似すぎててわかりませんねー」 司会のツッコミが入った。
そして最後はN先輩である。 向けられる携帯の列は僕の比ではない。 マイクを取ったN先輩は 「○○(会社名)のNでございます」 そう言って最敬礼する。目線は前。
…思いっ切り営業に行った時の挨拶ですがな。
しかしおじさんたちは大ウケなのであった。
「3万でどうや!!」 品のない野次が課長から飛ぶ。 「安いんだよ!オヤジ!!」 睨みつけるN先輩。これが世に言う「無礼講」だ。(笑)
一通りインタビューが終わると、 「では投票の前に、1人ずつ歩いてもらいましょう!」 司会がそう言う。
もちろん「ステージの端から端まで一往復歩いてもらいましょう」という意味なのだが、 事前打合せもないまま、テンションが上がっている、否、何かが憑いているhideである。
やおらステージを降りると、会場中の各テーブルを回り始めてしまった。 一番手前のテーブルにいた副支社長に握手する。 次のテーブルの部長の隣に座ってしなを作ってお酌する。 課長には抱きついて「私に投票してぇん」と耳元で囁き、「わかった、わかったから!!」と絶叫させる。 最後のテーブルに座る課長代理にキスしようとしたら思いっきり拒否された。
会場中を絶叫の渦に巻き込み、満足してステージに戻るhide子。(笑) それを見た司会者が「じゃあ、他のみなさんも…」と言うや否や、他の7人も会場を回り始める。
ことここに至って、会場は阿鼻叫喚の地獄絵図と化したのだった。
さて、全員が一通り会場を回ったあと、いよいよ投票である。 まあ正直、そんじょそこらの女の子よりお肌が綺麗なhide子ちゃんである。 N先輩に負けるのは仕方ないとしても、他の6人に負けるはずがない。 2位は固いな。
「では、結果発表でーす!」 「まずは5位から」
まあ、6〜8位の順番を発表するのもかわいそうやしねぇ。
「第5位は…hideさん(仮)です!!」
な…なんですとーーーっ!!
ちょっと待て、じゃあこの化け物たち(失礼)の3人に負けたのか? おれ、そうなのか???
あまりのことに言葉をなくす僕。 ショックすぎてプレゼンターの支社長にキスする計画をすっかり失念していた。(笑)
優勝は当たり前のようにN先輩でした。 賞品目録授与の後、プレゼンターの支社長が一言。
「やっぱ見るなら遠目だな」
会場大爆笑。
ステージを降りて通路を歩きながらヅラを取るとみんな一気に素に戻った。 いつの間にかまた外股で歩いてるし。(笑) やっぱ女装してる時はみんなキャラが変わってたのね。^^
その後拭くだけコットンと洗顔剤で化粧を落として帰ったんですが… 家に着くころには顔がピリピリしてて、慌ててお風呂に駆け込むhide子、じゃなかった、hide。(笑) 女の子って大変やなぁ。毎日あんなことしてるんやもんなぁ。
ちなみに翌日、会社で女性2〜3人から、「かわいかった♪」との感想をいただきました。 それはウソやろ。^^;;;
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