甘えた関係

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2001年12月12日(水)
奇絶の舞台


12日の夜、人間を殺した夢の続きをみた。

はじめてその夢をみたのは一年くらい前。
その一年前の夜にみたときのなかでは、あたしを知らないオトコノヒト(たぶん。その人の顔の部分は黒く塗りつぶされていた)に襲われていて、その人を殺していた。
方法は、何だったのか、分からない。
たぶん、ナイフみたいなものだったと思う。
絞殺ではない。毒殺でもない。突き落としたりとか、そういうのでもない。
何か光沢のあるもので、あたしは、相手を刺していた。
相手の左胸の下の部分を。
オトコノヒトを殺したあたしは、とりあえず、安堵の息を吐いて、それから、その死体を、丁度破れている自室の壁のなかに隠した。

一年くらい経ったあとの今日、あたしはまたその夢をみた。
それは不思議なのか当たり前なのか判らないけれど、夢のなかの時でも一年経っていた。
あたしはなぜか、おかしなことに、一年前殺して壁のなかに隠したオトコノヒトの髪の毛を切らなくてはいけないと思っていた。
そうしなければ、あたしが殺したことがバレてしまう、と。
そこが夢のおかしさなのだけれど、夢のなかのあたしは真剣。
しまったオトコノヒトを出すために、一年前隠した壁の部位を隠すためにに置いていた家具を移動させた。
壁紙は、くろずんでいて、剥がすために触ったらなんかしめってべちゃっとしていた。
ふやけているから、ビリビリに周りがやぶれないようにそーっと剥がしていくにつれて、だんだんと、くろずんだ人体がみえてきた。
「なにをしているんだ?」
いきなし、そこにおとーさんがはいってきた。
もう、イイワケもできない状態。
どうしよう、と思ったけれど、すぐに、
「あたし、人を殺したの。一年前に。」
そして一気に、
「だって、その人、あたしを襲ったのよ。怖かったんだもの。」
「なんで気づいてくれなかったの?あたしが人を殺したことに。」
するとおとーさんはすぐに言った。
「わかった。ビニールのシートを買ってこよう。」

そこで目覚めた。
あたしは、寝起きはいつも貧血状態だけれど、その日は特にひどかった。
身体が動かなくて、仕方なくしばらく横になっていた。
そして、あたしは、夢の続きを見ようとした。
情景を思い浮かべながらすぐ眠れば、たいてい、見れるから。
なぜかというと、次の夢からは、もう、それは悪夢ではなくなる予感がしていたから。
夢のなかのあたしにはもう味方がいるのだ。
おとーさんはたとえあたしが現実で人を殺して自室の壁のなかに死体を隠していたしても、あたしの味方をするだろう。
あたしを支援し、そして、被ってくれるだろう。

あたしはこういう人間。

ちなみに、あたしの自室には、あたしの背の丈のとこから床まで壁紙がやぶれている部位があって、そこは今、タンスで隠してある。
といっても、宅はマンションなので、壁の厚さを考えたら、そこに死体(しかも成人したあたしより背の高いオトコノヒト)を隠すのは無理。
けれど、一年くらい前、あたしはホンキで考えたときがあったのだ。
ま、殺したらそこに死体を隠せばいいか、と。
そう考えついたのはほんの一瞬だったけれど、一瞬だけでも、ホンキだった。
まぁ、すぐに構造的に無理だって気づいて、他の場所を探していたのだけれど。
一年前、その夢を見たとき、ひどく怖かった。
とうとうホントにやってしまった、って思ったから。
人間、80年くらいもう生きれるわけで、あたしはまだ19歳。
4分の1にもまだ辿り着いていないのに、幾度となく殺意を持ったことがある。
ならば、あたしが、この先、誰も殺さないという保証は?
そんなの無いし、なんか、自分で言うのもなんだけれど、あたしは人を殺すかもしれない。
その可能性は、少なくとも、家族のなかで比較級ではなく最上級を使ってしまえるくらい。
だから、ひどく怖かった。
とうとう殺しちゃったって思って、でも、どこかで、少し安心をしていた。
その安心の理由は、すごく愚かで、これでもう殺さなくて済むなぁ、だった。
一年前の夢で思ったことは、あたしはこの先誰かを殺す可能性が高くて、殺すなら相手はたぶんオトコノヒトで、ナイフであたしはそれを殺す。
で、一人以上は殺さないだろうなぁ、ってくらい。

現に、あたしは、人を刺したことがある。
一年前の夏の終わりに。
安全ピンで、オトコノヒトの手首に、根元まで、深々と刺した。
あたしは声をあげなかったし、その相手も声をあげなかった。
バカみたいに、刺しこまれていくピンを、二人して、見つめていた。

あたしのなかの殺意が、いつも、
「殺さなくちゃいけない。」
なのが、これがまた、甘えているトコロなのだけれど。

□ごはん
朝:なし
昼:なし
夜:なし

■音楽・本・映画
・「マドンナ古文単語230」(萩野文子)

□明日の予定
・大学に行く。
期間外後期試験の週にとうとうはいったから、休むのは禁止。

■メル
・とくになし

□会話
・よくおぼえてない


■睡眠時間
・2時間
13日の4時から6時くらいまで。
続きを見そうで、もう怖くはない続きなのだろうけれど、でも、眠るのがひどくこわかった。
馬鹿みたい。

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