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2012年01月27日(金) |
【Works】あめの帰るところ ドラマCD発売 |
*画像の無断転載、複製等はご遠慮ください。
本日『あめの帰るところ』ドラマCDが発売いたしました。
すでに手元に届いているかたもいるようで、 感想などいただいています。ありがとうございます。
改めてお知らせいたしますが、特典小冊子の音声は、 公式サイトでご購入いただいたかたには、 PCで聴けるデータもダウンロードできますので、 あわせてお楽しみいただければ幸いです。
もともと音声になることを知ったうえで書いているので、 声として楽しんでいただける部分もたくさんあると思います。 千歳の「こしょこしょ」と小悪魔チックな「…楽しい」が好きです。
ツイッターでも話したのですが、 ドラマCDはジャケットの挨拶に書いたとおり、 「沈黙」を再現したくて朗読CDにはしませんでした。
だから後半、能登の心情描写に邪魔されないぶん、 原作で「“ちいさん”より“あめちゃん”がいい。戻ってきてほしい」と、 思わせてしまった読者さまにも、ちいさんの哀しみが伝わると思います。 あめちゃんとちいさんが、別人ではないことも。
これが音声のよさで、わたしが目指したところでもあります。 千歳と一緒に「先生のばか」って怒っていただきたいです。
正直を言うと、シナリオの修正作業はとても辛かったです。 ふたりが過ごした時間をもっと音にしたい、 ただの記憶喪失の話なんかじゃないんだ、 わたしが売れてる作家なら、 ふたりをきちんと二枚組で再現してあげられただろうに、 と、悔やみ続けました。
挫けそうになるたびに、 これはもうわたしの作品じゃなくて、読者さまのものなのだから、 裏切らないためにがんばらなくては、と気持ちを奮い立たせてきました。
でも日野さんと梶さんと、 担当さんと、そしてご尽力くださったみなさまのおかげで、 結果的にとても素敵な一枚ができたと思っています。
モノローグとセリフは、もちろん通しで録音しています。 千歳の過去回想のモノローグとセリフの演じわけをはじめとして、 とても難しいシナリオだったので、 演技力の高いおふたりにしか頼めないと思っていました。 その信頼にこたえて、 おふたりとも、本当に涙をこぼしながら演じてくださいました。 思い出ごと、わたしにとって大切な宝物です。
能登が「(秋津先生に)殴られた」って、 からっと言うところは、能登らしくて笑ってしまいます。 千歳の「しーっ」は、かわいくて好きだし、 「俺は、生きてていいんだなって、思って」って涙ぐむところは、 自分が想い描いていたとおりなのと、 千歳の気持ちが伝わってくるのとで、一緒に幸せな気持ちになります。 そのあと能登が「あの子じゃない…っ」って嘆く場面は、 再現していただいて余計に大切なシーンになりました。 秋津も東條さんにお願いしたかったので、演じてもらえて本当に嬉しくて、 「殺した〜い…」と言われてる能登が羨ましいです。
あと終盤の、新幹線と京都での能登と千歳の応酬のような場面は、 執筆中には“ここで能登がこう言うから、千歳はこうこたえて”と、 頭で考えながら書いてしまうので、うまく客観視できません。 だから声で見せていただいたことで「こんなに辛いやりとりだったのか」と、 理解できたのが新鮮でしたし、勉強になりました。 一度も噛まずに演じてくださったんです。圧倒されました。
すべてがとても貴重な体験になりました。 お誘いくださったアスコルトさまに、心から感謝いたします。 本当にありがとうございました。
原作を支えてくださっていた読者のみなさまと、 声優さんのファンとして初めてこの作品に触れてくださったかたの、 お気持ちを傷つけない作品になるよう、祈っています。
大事に、どこまでも大事につくりました。 ふたりの幸せを、すこしでも感じていただけますように。
あさ。
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