::夢幻泡影 2002年05月23日(木)

無音の、白い世界。
上も下も右も左も、限りなく白くて。
自分さえも色を失ってしまいそうだった。



けど



それも、いいかな。




目を閉じて、だんだん色が薄くなって、
この白に呑まれて消える。
暗い暗い闇に呑まれるより、マシじゃない?




目を閉じてしまおう。
上も下も右も左も分からないこの世界で。



目を閉じて、いっそのこと呑まれてしまおう。



どうせ、悲しんで泣いてくれたりなんかするヒトいないし。



このまま消えて、無くなってしまえば。



この身体に刻まれた“約束”という呪縛も全て、消えてしまうんじゃないか?






ゆらゆら揺れて
白に抱かれて
どこまでも






それも、いいかもね。












(・・・・・・・・・・・・・・くす)











・・・・・・・・・・・・・・くす?





(くすくすくすくす)





誰か、いるの?





(くすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくす)





何、笑ってるのさ!!?





(くすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくすくす)






あたいがそんなにおかしいの!!??






(くすくすくす・・・・・)






(・・・・・・・)











(くすん)










え?










(くすんくすんくすんくすんくすんくすん・・・・・くすん)










笑っていたんじゃなくて、泣いていた?

どうして?

誰が?









・・・・・・・・『ポトリ』










あたいが?






あたいが泣いてるの?









・・・・・・・・・・『ポトリ、ポトリ・・・』









冷たい雫が頬を伝って、流れ落ちる。

冷たい、冷たい。



『これは、涙っていうんだよ。』



あの時初めて泣いたから、二度目。








白い無音の闇。
ここはあたいの夢?
あたいの心?
あたいの魂?




ここはひどく虚無で。
ここはひどく虚夢で。




あたいのように、からっぽなんだ。




涙が出るわけなんか知らない。
いや、知ってる。
知ってるんだけど、知らない。
知りたくなんて、ないんだ。




キミのせいだ。
キミのせいなんだよ?




いつだって一緒にいて、微笑みかけてくれる。
みんなで一緒にゴハンを食べて、
つまんないことでケンカして、
仲直りして、
また一歩進んでいく。
いつまでも、いつまでも。



そんなちいさな“シアワセ”を感じることも許されぬまま





あたいは還らなければならない。





大きな大きな“約束”の為に。





還らなければいけないんだよ。





全ては、6匹の同胞の為に。




全ては、龍の兄弟達の為に。




全ては、永い永い時を超えた、あたい達の“復讐”という名の、
抑えきれない“想い”の為に。













生まれた。












何を想おう

何を祈ろう

全てが始まって、狂いだして



生まれてくる未来



殺された過去



数多くの時代を経て、キミは死に、生まれた。











『僕は僕だ!!!』











綺麗な瞳

歪むことのない、汚れることのない、どこまでも純粋で無垢な瞳。

あたいの大好きな瞳




大嫌いな瞳






還ろう


還らなきゃ


この想いが大きくなりすぎてしまう前に


還ろう





『キミの腕に抱かれて死にたい』





そんなこと考えてしまう前に


還ろう










目が覚めたら、目の前にどんな世界が広がっているのか。

それを決めるのはキミなんだよね?



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