自分が何を考えているかを知るために他者の考えを知る必要がある。 哲学の仕方を教えてもらうことは不可能である。 それは他者の哲学を通してしか知ることができない。 哲学は学問であり、自分だけが納得したものでは不十分である。 そのためには他者をも納得させなければならない。 自分の考えを他者にも納得させるには、 他者と自分に共通の前提がなければならない。 この前提とは自分の主張の周辺にあるそれまで論じられてきたことである。 それから他者が何を言っているのかを理解しなければならない。 なぜなら他者の意見に対し、焦点のずれた反論をしても、 議論が深まったとは言えないからである。 的確な意見交換をするために他者を理解するには、 他者が主張している事柄の周辺にあるそれまで論じられてきたことを 知っていなければならない。 つまり哲学は独りよがりな妄想ではなく、学問なのであり、 その地位を保つためには他人と意見を交換し、交わらせる必要があり、 それには、そこに付随する多くの関係することを知っていなければならない。 したがって他者の考えを端的に知るということは哲学においても意味がある。 というかそれなくして哲学は成り立たない。
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