サッカー観戦日記

2026年02月07日(土) 和歌山県新人戦準決勝 初橋−桐蔭 星林ー近大和歌山

和歌山県の高校サッカーは長らく、そう、ホント長らく、初芝橋本、近大和歌山、和歌山北の3強時代が続いている。少し前に全国高校選手権に和歌山工が出場したが、和歌山県ベスト4は基本的に3強が入り、その中から全国行きが決まる。4番手は和歌山南陵か近大新宮だったが、和歌山南陵は経営がだめで学校自体が厳しくなってサッカー部は休部か廃部になってしまった。ここのところ効果が話題だが、経営者は学校経営に浮いた手段を選ぶというのはよくある形だ。で、和歌山県は3強だけでなく、ベスト8クラスもかなり固定されている。海南や和歌山工、桐蔭、橋本といった面々だ。和歌山県は数少ない、全国制覇未経験県だ。理由は様々あるが、シンプルにフットボールが盛んではない、野球が盛んな県だということがあるだろう。だからこそ和歌山県は定点観測している。しているうえで変わらないな……と思っている。が今年の新人戦では異常事態が起こった。なんとベスト4に3強以外から桐蔭と星林が勝ち上がったのだ。これは観に行かねば、と思った。会場はサッカーの街・新宮のやたがらすサッカー場だ。やたがらすとは神話の3本足のカラスで日本サッカー協会のエンブレムにもなっている日本サッカーの象徴だ。新宮はあまりにも遠く、前泊する必要がある。かつて和歌山県の総体予選は新宮セントラル開催だったので事情は分かっている。ちなみに新宮駅最寄りではなく、鈍行しか止まらない駅最寄りなので、アクセスできる列車は限られている。県だか市の医療センターが近くにある人工芝、スタンド付きのサッカー場だ。新翔高校(かつての和歌山県ナンバー2の新宮商業)が隣にある。

第1試合は初橋対桐蔭。桐蔭は昨年度から好調だ。リーグ戦で3強を食って3位に入っている。

和歌山県新人戦準決勝
初芝橋本高校−桐蔭高校
2月7日 10時半 やたがらすサッカー場 人工芝 くもり


初橋
六番
十一十五七番十番
八番二番三番十二四番
一番

桐蔭
九番七番
十一六番十二八番
四番二番三番二十
誰々

初芝橋本のほうがもちろん上手いのだが、前進ルートはなく、センターフォワード6番も体格を買われて入っているが、機能していない。キーパーは良い。声が出て、支持がしっかりできるだけでなく、味方を活気づける声や、具体的かつ論理的な指示ができて、頭の良さ、リーダーシップを感じられる。右アウトサイド4番はフリーキック担当。2番は高い。8番は左足セットプレー担当。なんというか、新チームのこの時期ということもあり、個人能力頼りで、もちろん初橋にはBチームもあるのだが、チームが機能しておらず、うまくいかないのは仕方ないのだが、個人能力でも輝けず。6番に当てるか、サイドのスペースに走らせるかしか選択肢がなさそうで、それすらロングキックの精度のなさでできていない。

対する桐蔭だが、まず大人しい。気迫で負けている。エンジョイ勢なのではないが、デュエルではっきり劣勢で、体格差はあまりないので怪我のリスクは少なそうだが、全体的に守勢になる。とはいえ身体の使い方を指導されていて中盤で圧倒されているとまでは言えない。キャプテンのボランチ6番を中心によく耐えて俊足の両サイドハーフを走らせたい。9番がポスト役。長身の部類に入るのは9番と2番か。左サイドバック4番は左足セットプレー担当。12番は案外運べる。チームとして連携では初橋を上回る。組織を構築できるあたり、指導がしっかりしている印象を受ける。

前半は0−0。

初橋のほうが強いながらも得点の形がなく、相手がつかれるまでは厳しいと思っていたら、後半5分、馬力のある3番がロングシュートを叩き込み先制。さらに後半8分にもミドルが決まり、初橋は崩すことなく2−0とした。耐えるしかない桐蔭に対し、リードして初橋は落ち着いて、相変わらず前進できないながらも支配する。そして後半半ば、左のショートクロスにダイビングヘッドで3−0とする。がミソがついてしまった。けがで一人少ない隙に桐蔭が左クロスに大外で一人余って受けて決める。今後に希望をつなぐ追撃ゴール。3−1。結局3−1で終了した。

桐蔭は要するに守備組織の構築とそのための身体の使い方を指導されているチームだった。和歌山県以外ではベスト4はなかなか厳しいだろうが、大崩れしない、県内ならばどこが相手でも戦える、そういうチームだ。

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続いて星林の登場だ。むろん近大和歌山優位という偏見はある。

和歌山県新人戦準決勝
星林高校−近大和歌山高校
2月7日 12時半 やたがらすサッカー場 人工芝 くもり

星林
十一九番
十番
六番七番
十三二番三番四番五番
一番

近大和歌山
九番十番
十一七番十四十三
六番三番二二二番
一番

星林についてまず思ったのはベンチというか監督さんが元気ということ。前向きな声かけをずっとしている。選手はおとなしく、ベンチの声ばかり響いていたが、とにかく前向きな雰囲気がある。フォメは5−3−2だが撤退守備などではなく、前に出ていく闘志十分。基本的には前線に能力の高い選手を置く。トップ下10番はタッチは固いながらも止める蹴るができて運んでスルーパスを狙うという、昔でいう中田英寿的な選手。9番はいいタイミングで開く。11番は快速。チームとしては守勢でカウンターだが、全体的に上がる意識は強い。トラップは決まらないしパススピードは遅いし、技術はない。

対する近大和歌山だが、ここは昔から和歌山県で最も戦術的なチーム。前進ルートがはっきりしていて、サイドハーフに預けたと思ったらサイドバックがすでにスタートを切って追い越そうとして詰まれば逆サイドに振り、ボールを動かし続ける。サイドハーフは俊足で9番はポスト役。レフティはどうやらいないが、シンプルな技術で全体的に判断が良い。そんな中、14番はどうやら不調でミスが多く判断が遅れ、インサイドで詰まり気味になってしまった。14番を与えられているのだから実力者とは思うのだが。

試合は開始0分、近大和歌山がファーストプレーで獲得した左コーナー、11番の右足に無警戒のニアを取った10番がヘッドで逸らし先制。前半は0−1。

後半19分と21分に近大和歌山が右に回り込んでのパスを決めて0−3とする。星林も決して落ち込まず、前向きな姿勢を保ち続けて戦ったが、追撃はできず、0−3で終了。

星林は和歌山県8強クラスとして恥ずかしくない内容だった。和歌山県準々決勝がこのレベルなら、3強も楽できず、より磨かれる。



今回の遠征で観た桐蔭と星林は3強を脅かす、とまでは言えないが、ある程度手こずらせる力はあると思った。


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T.K. [MAIL]