サッカー観戦日記

2022年02月19日(土) J2 徳島−金沢

私は長らく観戦においてJリーグは後回しだった。なぜならユース年代や大学サッカーなどで一年中埋まっていたからである。J1J2J3は各くらいだ年1回観ることが目安だったくらいだ。しかしコロナ禍では運営に人が割けない高校生などは観客の管理ができないため、基本的に無観客という状態。オールシーズンスポーツで一年中公式戦のあるフットボールも1月2月の高校生はほぼ観られない。そういうわけで長年後回しにしていたJリーグ以外の選択肢はない。今期からのWEリーグはウィンターブレイク、JFLの開幕もまだ先で全日本フットサル選手権もまだ開幕していない。

そういうわけでJリーグ開幕日、まあ正確には金曜日の多摩川クラシコが先などだが、とにかく土曜日にいまだ行ったことがないJ2に降格したばかりの徳島を観に行こうと思った。大阪からなら四国は一見遠そうだが、実は高速バスで大阪駅から2時間。在来線や高速バスでの岡山よりも近い。徳島での観戦というと高校四国大会や前身の大塚製薬が徳島市球技場でやったのを観た、あるいはプリンスリーグ四国初年度に吉野川の河川敷グラウンドに徳島本線の山に入った部分、もうどこか思い出せない、まで行って以来、鳴門は初めてである。

もう一つ、徳島を選んだのは、この日Jリーグのキックオフが14時で、渦潮(ヴォルティスの語源だ)を観るうえで好都合な鳴門海峡の大潮、つまり太陽と月の方向が一直線で満潮干潮が大きい現象が14時、その前後2時間は渦潮を観るチャンスである。したがって観戦と渦潮と両にらみで行ける、と思った。

大阪梅田から徳島行きの高速バスに座ったのは私を含め2人だけ、早く買ったために安い席で隣り合っていたが、運転士さんは自由に席を選んでいいという。そうでなければせっかくバスがすいているのに隣に座って感染リスクを高めても仕方ないからであろう。難波・湊町バスターミナルでさらに2人乗ってきたが合計4人。これで四国に向かう。阪神高速湾岸5号線から垂水ジャンクションで明石海峡大橋方面に向かい、一気に渡った。何度通っても飽きない橋である。その魅力は高さと前方に迫る淡路島にある。淡路島の先端とは点で結ばれているというより上陸すると左にカーブするので面の広がりがあるのだ。そして淡路島を50分強で縦断すれば鳴門海峡を渡って、鳴門公園口バス停。ここで降りる。鳴門駅への路線バスを確認して引き返し、鳴門大橋の下に設置される予定の鉄道橋の施設に作られた海峡を覗く歩道、「渦の道」に向かう。鳴門の渦潮を観るには渦の道か船である。時間の都合上、渦の道を選択。入り口に見どころは12時から16時とある。350メートルくらい歩き、展望室で下にアクリルガラスを張った場所で待機。人は少ない、徐々に白い波が立ち始め、渦が巻く気配は感じるが、渦潮まではいかない。鳴門駅への路線バスは12時25分発。つまり12時過ぎまでしかいられない。ギリギリまで粘り、激しい白波が立つが、ついに渦潮までは発生しなかった。海峡のほかの場所では発生したかもしれないが、私のいた展望室直下では観られなかった。残念だ。

路線バスに向かい、観光船乗り場や、観戦より先に行くと思っていた大塚国際美術館を通り、「野」(の)という一文字バス停も過ぎ、四国本土に渡ると鳴門駅前。ここからスタジアムに無料シャトルバスが出る。しっかりした観光バスを使っていた。所要10分。徒歩でも25分とのこと。バックスタンド側に着いた。そこからメイン側に回りスタグルを探す。13時20分過ぎに着いたからキックオフまで40分切っている。とりあえず買うと決めていた徳島ラーメン、肉入りで750円。カップは小さかったが肉はたっぷり。「茶系」というものか、スープも濃く、安い作りではない。ラーメングルメでも、そもそもグルメでもないので食べ物を表現・形容する言葉を持たないが、これは是非食べるべきだと思った。ただカップ自体は小さいのでもう一食ということで焼肉弁当、1200円だったかな?を買ってバックスタンドに並んだ。が待機列が長い。ほかの入り口よりも長いので舐めていた。体温や荷物チェックが二か所で、手間取る。入場すると試合前のセレモニーにギリギリ間に合った。県知事のキックインである。バックスタンドは全周屋根が覆っていた。あ、もちろん陸上競技場である。四国にはまともなサッカースタジアムがない。鳴門の陸上競技場が整備されたため、サッカースタジアム建設はいつに日になるやら。血税でスタンド付き野球場や陸上ではスタンドを使わない陸上競技場ばかり建設してサッカースタジアムを建設しない偏向した政治は地方に行くほど顕著である。私は2席に1席販売の席を選択。もちろん間隔を開けたかったからである。その分端っこ。

さて徳島対金沢。J2に落ちた徳島だが、前任のリカルド監督が優秀でJ1に導き浦和に引き抜かれた後任のポヤトスさんも優秀だが、コロナ禍での入国難で指揮をとれず、合流したときには厳しかった。が能力は買われ、降格した今期も指揮を執っている。

徳島            金沢
西谷 藤尾 浜下         豊田  林
  渡井 白井       平松 松本 藤村 嶋田
    櫻井       
新井 安部 内田 藤田   毛利    松本 松田


4−3−3の徳島は繋ぎ倒す意図がある。そしてサイドで1対1を作れば仕掛ける。左の西谷は右利きで積極的にカットイン。チーム1の切れがあった。右の浜下はタフで守備にきっちり戻り、アタッキングサードではタテに仕掛け、西谷が持てば中にも入る。センターフォワードの藤尾はある程度の高さとパワーはあるが中で踏ん張ってくれず、タメを作れず2列目の上がりを引き出せない。相手CBを背負ってくれず、むしろセンターバックから逃げてしまう。リアルストライカーならそれでもいいが、天性のゴールハンターではない。今のところ器用な万能型FWだが1年間でどれだけ成長できるか?2列目の渡井は飛び出す気満々だが切れがなく、むしろ右の白井のほうが効いている。渡井は10番だし期待されているのだろうが、このゲームでは1対1も外すなどイマイチだった。藤尾がタメを作ってくれれば仕掛けられるのだろうが、どういう状況でも力を発揮できる選手にならねば。ボランチ櫻井は気に入った。高卒2年目でパワーはイマイチだが、ミスが少なく攻撃面でビルドアップの第一歩になれている。センターバックもビルドアップ能力が高い。特に右センターバック内田は間違いなく組み立てを買われて入った選手。左の安部は左足ロングフィードがある。しかし金沢のセンターフォワード豊田に100パーセント当たり負けしている。100パーセントといったら嘘大げさ紛らわしいと思うだろう。しかし何とかあたりに耐えたことはあっても、競り勝ったことは1度もないのだ。豊田は言うまでもなく高い身体能力とパワーを誇る選手だ。しかしここまで勝てないと、勝てないことを前提とした起用と戦術というしかない。実際競り負けても裏狙いの林には通ってない。金沢は全体にパワーがあり、テクニカルなスペイン流で理想の高い徳島と違い、激しいデュエルで勝ち、タフに戦うまるで方向性の異なるチームということが分かる。そして双方持ち味を発揮し守備も機能し、シュート数の少ないゲームということが分かる。屋根のないゴール裏の観客は少なく、4000人前後かな?と思ったが3992人だった。断固J1昇格みたいな厳しい雰囲気はなく、良い意味でぬるい雰囲気だ。つまりのんびり見たいファンが入りやすい。コア層の熱さも大事だが、特に地方のチームの場合、緩いファンをどう集めるかが肝要だ。私は基本バックスタンドの観客だからこのあたりの空気感は分かる。岡山が手本となってサッカーもその一部に過ぎないスポーツ興行エンタメをJリーグは作り上げた。その流れを徳島も引き継いでいる。マニアがそのジャンルを廃らせるというが、ヌルさこそが地方クラブ繁栄のカギなのだ。そういう意味では徳島は素晴らしいと思った。

帰りは鳴門駅から歩き、鳴門公園のある島へ渡る橋のたもとにある高速鳴門バス停に向かう。待合室があり、高いところにあるバス停に向かうモノレール?に乗ってバス停に着く。大阪から鳴門は2時間。結構近いですよ。


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T.K. [MAIL]