サッカー観戦日記

2021年04月24日(土) プリンスリーグ北信越  金沢−松本山雅

プリンスリーグ北信越
ツエーゲン金沢U−18−松本山雅U−18
4月24日 金沢市民サッカー場 10時30分 晴 ピッチ並

金沢           松本
−−−十九−−九番−−− −−−九番−−十番−−−
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七番−十番−−十三−十八 十八−十五−−十三−十四
六番−四番−−五番−二番 七番−三番−−五番−二番
−−−−−二一−−−−− −−−−−二一−−−−−


プリンスリーグ北信越は同地域から現在プレミアリーグ参加チームがない現状では北信越最強の高校生10チームが集まっているという体裁のリーグである。その中には高校選手権全国制覇経験のある富山第一や星稜、そして高校選手権2年連続全国ベスト4中でフットサルで全国制覇経験がある帝京長岡といった高体連の全国制覇クラスの強豪や、北信越の雄でA代表選手を複数輩出している新潟ユース、近年台頭著しい富山ユース、金沢ユース、松本ユースが含まれる。北信越のJユースで参加していないのは長野ユースだけだ。で、金沢対松本山雅の好カードを選んで足を運ぶことにした。一応。新型コロナ禍で会場の金沢市民サッカー場はスタンドに入れるのは保護者のみ。ネット外観戦は認められているが、なかなかの観戦難という環境だ。金沢市民サッカー場は四辺のうち一辺がスタンド、残り3辺に気が生えており、その隙間から観戦ということになる。なお福井県知事は県外から来訪しないように、というメッセージを出していたが、石川県知事は来訪に制限を加えない旨を発表していたので、訪ねても迷惑ではないだろう、と踏んで訪れた。

金沢市民サッカー場へはバスルート、徒歩ルートとも試したことがあるが、今回は初の北陸鉄道ルートにした。金沢駅地下から北鉄金沢駅で出て3駅目から東へ徒歩。公園内にほかに体育館やスタンド付き野球場がある。ちなみに金沢市には県民の税金で建てたスタンド付きの県立野球場まである。

ツエーゲン金沢ユースは2回目の観戦。そのときはカターレ富山ユース戦だった、線の細いテクニシャンを揃え戦術教育をしました、という感じのフィジカル不足のJユース黎明期あるあるだった。対する松本山雅ユースはそれこそだいぶ前に日本クラブユース選手権で大敗した試合を観たキリだ。その後JユースカップでJクラブの中で全国ベスト4になり、十分な力をつけたと思われるが、なかなかプリンスリーグには上がれず、また注目もされなかった。高校選手権で全国ベスト4に入った同じ長野県の上田西と比べても難易度が高い偉業だと思われるのに。なお以前のJユースカップは一昨年で終わり、昨年はコロナ禍で中止、、今年から主に2年生以下のJユースリーグとなった。Jユースカップは第1回大会から観ているだけに思い入れがあるが、まあ時代の流れだろう。合理性があれば変革を恐れないJリーグで良かった。この改革は若手のJエリートリーグとワンセットである。

会場でプログラムを購入しようとしたが、プログラムが刷り上がるのは来週だ、と教えられ、断念するほかなかった。そういうわけで選手名やデータは分かりません。

さてツエーゲン金沢のサイトのアカデミーのところに育成ポリシーとして「ポゼッション」を強く謳っている。プロビンチア(地方の中小クラブ)としてトップに送り出す人材がポゼッションスタイルではトップの戦力としてどこまで役に立つのか疑問だが、それはそうとして育成の一つのモデルとして純粋に興味があった。対する松本山雅はよく走るカウンタースタイルである。
試合はバックラインでじっくり回し、少しずつ進み、パワーで優る金沢が微速前進といったところである。まずロングフィードはない。一つには松本山雅が前線から必死にプレッシングに行き、金沢のセンターバック陣に自由を与えない、ということもある。それを抜きにしても、やや金沢はロングパスの精度までは高くないが。とは言え、ハッキリ明記しておきたいのは、双方ともJリーグ黎明期のヴェルディ川崎ユースや横浜マリノスユースよりも強いということだ。これが日本フットボール界の発達というものだろう。私はアウェイ側のゴール裏に陣取っていたので、ホーム金沢が攻めてくる方向にいた。金沢のキャプテン9番のポストを活かし、サイドバックが上がってくる。特に左サイドバック6番の左足が活きる。対する松本山雅はフィジカルのあるキャプテン10番が身体を張り、得点感覚に優れた相棒9番が狙う。観戦ノートが取りにくく、読みにくくて分からないが、10分過ぎに松本山雅の左クロスに9番がニアでヘッドはセーブ、ポスト。決定機。更にタメるのが上手い右ハーフから右サイドバック2番がクロス、またしても9番ヘッドがゴールキーパー正面。全体として金沢が若干押し気味だが、松本山雅はタフに戦えるチームを作っているという時点で、すでにJアカデミーとして恥ずかしくないレベルに達していることが分かる。高体連全国制覇クラス相手でも全く問題ない。しかしテクニックとパワーで優る金沢が支配し続ける。これは明らかに松本山雅を走らせ、一方の松本山雅も交代を交えるプランだ。36分、金沢、右クロスにニアで合わせる。1−0。しかし木陰で得点者は分からず。こういうのは実際に現場に足を運ぶ観戦者ならよくあること、と思ってください。前半は1−0でツエーゲン金沢ユースリード。

後半から松本山雅は右ハーフ14番が突破力を見せる。また左サイドバック7番もポジションを変えたのでは?と勘違いするほど攻撃的になった。背番号からして本職のサイドバックとは思えないスタイルだったし。金沢は10番がキープ力があり、13番が簡単に捌き、18番はほぼカットインを狙う。タテは少ない。それでスペースを作り右サイドバック2番の上がりを活かす。松本山雅は選手を入れ替え、また14分、負担の大きかった左サイドバック7番を27番に、金沢も左ハーフを7番から上半身のフェイクで突破できるドリブラー20番に代えた。松本山雅は8番・9番も交代し、フォアチェックから攻め、右コーナーをついにニアで合わせ同点。1−1にする。なお先ほどとほぼ同じ地点、つまり木陰で得点者は分からない。松本山雅には足を攣る選手も出てきたが走りぬき、双方死力を絞ったタフなゲームは1−1で引き分けだった。

双方自信をもってプロに推せる選手はいないが全体のレベルは高かった。高体連全国ベスト4を争えるレベルと言っていいだろう。大学サッカーで活躍できる選手は多いのではないか?例えば阪南大は先進的で様々なリクルートに工夫を凝らしている。最近目立つのは新興Jユースからの選手獲得だ。北陸大や松本大といった北信越大学リーグで力のあるチームが無くはないが、大学経由でプロを目指すなら関東や関西が主なルートになる。そういう意味でも全国的に強い大学の目に留まれば、と思う。

なお、試合後に北陸鉄道を完乗し、近江町市場で海鮮丼を食べ、兼六園と金沢城を訪問した。


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T.K. [MAIL]