サッカー観戦日記

2020年07月25日(土) 関西クラブユースリーグ 奈良クラブ−枚方FC

クラブユースの世界において、新規クラブは優先順位が高い。特にJユース、あるいは将来のJユースは。奈良クラブは現在JFLで百年構想クラブで、J3ライセンスを持っている。つまり成績次第でJ3に昇格できる。そのユースチームが今期から出来た。ところがいきなり新型コロナウィルス禍で活動が止まった。しかも選手が足りないという話も聞いていた。
Jユースの成長過程は大抵似ている。つまり初期は技術と個人戦術を徹底的に叩き込み、チームとしては自陣から丁寧に繋ぐが、ミスが出てカットされたり、フィジカル不足で押し込まれる。弱い街クラブには技術で勝てるが、力のある街クラブにはなかなか歯が立たない。つまり攻撃はビルドアップでミス。守備はコンタクトで敗れる。そんなところである。

さてその奈良クラブユースのデビュー戦、いささか相手が悪かった。昨年の関西街クラブのチャンピオン・名門枚方FCである。勝敗自体は観るまでもない。



奈良クラブ        枚方FC
−−−−−十四−−−−− −−−十三−−六番−−−
十三−五番−−八番−十番 −−−−−−−−−−−−
−−−−−二番−−−−− 二番−八番−−九番−七番
三番−七番−−十八−四番 十四−十一−−十二−十九
−−−−−十二−−−−− −−−−−−−−−−−−

奈良クラブはビルドアップの際、キーマンと思われる2番を避け、つまり中央で奪われるのを恐れ、サイドから組み立てる。が、サイドの二人で枚方FCは囲み、奪いきる。奈良クラブはミドルパスでミスってしまうので、ショートパスだけでは組み立てるのは困難だ。勿論サイドチェンジもない。5番と8番がサイドのフォローに寄り、守備時は2番に寄り、と負担が大きく、しかもテクニックのある10番が開きすぎで、そこまでボールが来ないので、まるで攻守に人数が足りない状態だ。14番は上背があるが身体が出来ていないので潰され、キープ出来ない。まだ中学生らしい。とにかく2番・5番・8番でビルドアップしない限りは枚方FCの守備の餌食だと思った。そして枚方FCのキーマン9番が空いてしまう。中盤の底から組み立てる選手で、システム的にどうしてもフリーになるので、奈良クラブは自在にしてしまう。そしてサイドに出し、クロスが入ると体格差でどうにもならない。というか、もし枚方FCがひたすらサイドからクロスなら大量点、少なくとも二けた得点は間違いない、と思ったが、枚方FCは中から崩す自分たちのスタイルを捨てず、そのためにそこまで大量点とはいかない。クロスの主役はサイドバックである。
3分、13番の右フリーキックをファーでヘッド。0−1。8分、後方からのフィードに13番抜け出し決める。0−2。9分、19番の右クロスを6番決める。0−3。以降ならクラブは耐える。枚方FCはいいところを見せてやろうと、中からの崩しにこだわり、魅せる枚方FCのスタイルだが、奈良クラブの粘りと決定力不足で追加点は奪えない。とは言え奈良クラブの消耗は明らかで、このままでも追加点は間違いなかった。前半は0−3。

後半も奈良クラブはミドルパスがなく、小さく小さく、技術志向のチームである。コンタクトで潰されるからドリブルも出来ない。後半15分、枚方FC追加点。さらに中から崩し13番が1対1を右に決め0−5。さらに終盤、2番が左角度のないところから叩き込み、0−6で枚方FCが大勝した。ロスタイム、奈良クラブは2番がキーパーとの1対1をセーブされる。
まあすべてにおいて枚方FCが上だった。奈良クラブにとってはいいレッスンを受けられたのではないでしょうか?


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T.K. [MAIL]