サッカー観戦日記

2020年07月05日(日) 関西女子リーグ2部 海南FCシャウト−INAC神戸レオネッサU−15

女子サッカーのリーグ戦について説明しよう。関西の場合、男子は大人の関西リーグ、大学の関西学生リーグ、高校生のプリンスリーグなどに分かれる。これに対し女子は大学生の場合、関西学生女子リーグがあり、さらに秋のリーグ戦と春の春季リーグがあるため、関西女子リーグにエントリーする大学チームはほとんどない。関西女子リーグにはクラブユースもエントリーする一方、「高校生」のリーグ戦はなく、高校部活のリーグ戦が関西女子リーグおよび高校女子選手権の府県大会の終わった秋にある。
これに対し関東は関東大学女子リーグに春季リーグがなく、その結果としてシーズンが早い関東女子リーグに多くの大学女子サッカー部がエントリーしている。特に2部はほとんど大学部活だ。ただし現在関東大学女子の盟主・帝京平成大はエントリーしていない。
そしてクラブユースもエントリーし、しかも上位争いを繰り広げている。一方「大人のチーム」は少ない。高校生のリーグ戦として、プリンセスリーグはあるが、クラブユースの大会だ。そして昨年、全国リーグであるチャレンジリーグ参入戦に参加したのは、山梨県リーグのFCふじざくらだ。この時は2位で、入れ替え戦で敗れた。
早い話が関東は女子のリーグ戦がより整備されてない。近いうちに抜本的な外科手術が必要になるだろう。

さて、この日観に行った関西女子リーグに関する顛末を紹介しよう。7月から観戦解禁ということで、リーグ戦再開の関西女子リーグを観に行こうと考えた。目当ては1部リーグ、特にスペランツァFC大阪高槻レディースだ。要するにトップチームのアカデミー。高校生主体のチームだ。会場は鶴見緑地。事前に関西協会に電話を入れた。つまり新型コロナウィルスの関係で観戦可否はどうなっているのかと。回答はは対策を講じた上でスタンドでの観戦可能とのことだった。これがゲームの1週間前。そしてその後関西協会にサイトにもこの旨が記載された。この情報をもとに日曜日10時半キックオフのINAC神戸レオンチーナ、12時半キックオフのスペランツァ高槻レディース目当てに鶴見緑地に向かった。ところが行きの電車内で、急きょ観戦拒否になった、という情報を得る。金曜日の女子委員会の会議で観戦拒否になったらしい。なお土日事務所閉鎖の関西協会のサイトには当然、その情報は載ってない。ここで重要なことだが、このレベルにおいて観戦者はサービス受益者ではない。主催者のご厚意でゲームを観させていただいている身だ。文句などいう立場ではないのだ。堺での開催の2部リーグは観戦可能ということなので、急きょ目的地を変更する。なお堺のキックオフは鶴見緑地より1時間早い。常に早めに会場に到着することを心掛けているとはいえ、この変更は厳しかった。当然第1試合は遅刻である。前半終了間際に着いた。

なお、例年は40分ハーフだが、今年に限り30分ハーフで行われる。


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関西女子リーグ2部
海南FCシャウト−INAC神戸レオネッサU−15
7月5日 11時20分 堺S16 人工芝 晴


海南FCシャウト     INAC神戸U−15
−−−九番−−十番−−− −−−四三−−三二−−−
−−−−−−−−−−−− −−−−−十四−−−−−
十四−八番−−十三−二七 −四六−−三四−−三八−
十九−五番−−七番−誰々 三六−誰々−−三三−四二
−−−−−誰々−−−−− −−−−−三十−−−−−

海南FCシャウトは和歌山県最強チームだ。大人のチーム。体格もしっかりしている。これに対しINACはエリート集団とはいえ中学生チーム。身長も伸び切っておらず、小柄でパワーもない。身体能力自体は高く、スピードがあり、体幹も強い。とは言え、歴然とした体重差や高さに差があり、基本的なアスリート能力の高さがあるとはいえ、大人と子供のゲームだ。テクニックでははるかにINACのほうが上だが、海南FCが大雑把にロングボールを放り込んでも競り負けるし、身体を入れるとINACが奪いようがなく、ポスト当て、ポスト当てで前進されてしまうし、大雑把なロングボールでも体重差でことごとく競り負けるので、後退を余儀なくされる。とは言え、INACも果敢にバックラインの押上げを狙い、オフサイドを取る。大胆とも無謀とも判断しかねる。しかし副審がいささか怪しい。何せゲームがなかったのだ。十分なトレーニングが詰めなかったのは審判員も同じだ。コンディションやゲーム感がなく、その結果、より慎重にならざるを得ないINACが引いてロングカウンター狙いしかなくなる。幸いカウンターの為のスピードとテクニックに支えられたドリブルはある。15分、、そのロングカウンター炸裂!32番が仕掛け、いったん止められるが、こぼれを拾った43番が右ほとんど角度のないところから鉄則通り海南FCキーパーの上を狙い、良く反応し触ってバーに当たって下に落ちるところを46番が蹴り込みINACが先制。0−1。すぐ飲水タイム。30分ハーフだから。しかし基本的には海南FCが押し込む展開は変わらない。特にセットプレーでは大体10cmくらい差があるのでは。しかも体重差があるので競り合いでも圧倒的に海南FCだし。セットプレーのキッカー13番は優れたキッカーとは言えないが、アバウトにハイボールをゴール前に入れ続け、それが脅威になっている。そして前半22分、海南FC,右フリーキックに中で圧倒的高さに合い、ループヘッドが決まる。1−1。以降も海南FCが攻め続け、INACは徐々にロングカウンターが減る。ベンチは主審に対する不満が目立つが、正直、この情勢で主審が不出来なのは仕方ない。選手たちだって不出来なのだろうし。前半終了間際、海南FCの選手が膝を痛める。前半は1−1で終了。

後半、INACベンチが繋げ、と指示を出すが、いくらテクニックがあってもこの体格差では厳しい。相変わらずパワーを前面に押し出した海南FCが押し込む。本来の40分ハーフだったら体力が削られて、INACは前半で力尽きていたかもしれない。しかし勝利への執念は大したものである。INACはただ上手いだけとか、アスリート能力が高いだけのチームではなく、メンタルもある。ただし上手いと言っても関東勢に比べれば落ちるのだが。後半の手前側の副審は明らかにマイナスの右クロスにオフサイドフラッグを上げるなど、ゲーム感が皆無だった。その際は主審がよく見てオフサイドを取らなかったが。後半も飲水タイムの時点で1−1。INACのエリートたちの凄さを心底感じた。普通持たないですよ。しかし後半21分、またも13番の右コーナーキックをアバウトに中にハイボールを入れただけのキックが高さで海南FCが勝ち、ヘッド炸裂。2−1。以降も押し込み続け、時計を進めて、海南FCシャウトが完勝した。40分ハーフだったらもっと点差がついただろう。

海南FCシャウトについて。大人の貫録を見せた。テクニックは荒いが、フットボールがスポーツである以上、身体能力がモノをいうのは当然だ。
INACについて。エリートの凄みやギリギリのボールにスピードで追いつく能力の高さを感じた。特に43番(アンジュ)はプレーの幅も広く、才能豊かだ。守備陣の能力が目立ったゲームで、スピードと執念は見事だ。身体が成長した高校生になると力の差は逆転しているはずだ。現にINACのレオンチーナ(U−18チーム)は1部リーグだ。光り輝く才能は見せた。


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T.K. [MAIL]