この日の会場の橿原公苑陸はピッチが荒れていると聞いていたが思ったほど悪くはなかった。「良芝」とも表記できないが……。
高校選手権奈良大会準決勝
11月10日 11時 橿原公苑 ピッチ並 晴
五條高校−生駒高校
五條 生駒
−−和田谷�◆歐�田−−− −−−中町−−西田−−−
−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−
小西−瀬羅−−池田−井澤 加来�∪仞遏歟翆�−市来崎��
米川−和田−−吉田−井本 丸山��藤巻�◆歡電帖蘖紺�
−−−−−中尾−−−−− −−−−−巽−−−−−−
五條 監督:吉岡一也
GK 1 中尾優貴 3年 180/72 ディアブロッサ高田FC U 15(ママ)
DF 5 米川優希 3年 170/61 高市中
3 和田拓海 3年 173/63 五條フットボールクラブ
15 吉田真都 3年 182/68 御所中
2 井本郁弥 3年 170/62 白鳳中
MF 7 池田達哉 3年 180/65 ディアブロッサ高田FC U 15(ママ)
18 小西拓海 3年 175/68 桜井西中
11 瀬羅威吹 3年 167/56 ディアブロッサ高田FC U 15(ママ)
24 和田谷蓮貴 2年 165/56 五條フットボールクラブ
FW 9 井澤悠 3年 170/63 ディアブロッサ高田FC U 15(ママ)
8 菅田剛平 3年 174/66 ディアブロッサ高田FC大和 U 15(ママ)
生駒 監督:古田泰士
GK 1 巽旭陽 3年 175/73 天理フットボールクラブ
DF 4 丸山琳久 2年 170/57 奈良クラブジュニアユース
5 藤巻祐翔 2年 174/64 奈良クラブジュニアユース
2 津田心平 3年 174/63 緑ヶ丘中
3 浦井たくや 3年 170/60 法隆寺フットボールクラブ U 15(ママ)
MF 9 秋山じゅん 3年 177/65 SOLESTRELLA NARA2002
8 仲谷綾太 3年 170/63 奈良クラブジュニアユース
6 加来優斗 2年 162/56 YF NARATESORO
7 西田瑛達 3年 166/56 SOLESTRELLA NARA2002
14 市来崎裕也 2年 165/56 郡山中
FW 11 中町拓磨 3年 170/63 法隆寺フットボールクラブ U 15(ママ)
生駒のインサイドハーフについて。場内発表では
10 石川陽真 3年 166/58 SOLESTRELLA NARA2002
に聴こえたしピッチ内でも10番に見えるが、場内放送では9番に聴こえたので併記する。たぶん10番が正しい。場内放送があまりよくない。
五條の瀬羅威吹について。百人一首の「かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを」の「えやはいぶきの」と「せらいぶき」と語感が似ている。命名の由来だったりして。「燃ゆる思ひ」というのも命名っぽいし。
両チームの特徴がアップ時から出ている。五條はドリブルからアップ。生駒は対面パスからアップ。つまり五條は徹底的にドリブルするチームで、関西では野洲や久御山、興國などが同系統のチームである。そもそも吉岡先生はドリブルで知られるディアブロッサ高田の故中瀬古先生の片腕だった。夏の全国高校総体奈良県代表。対する生駒は耳成高校時代時代にゴールキーパーとして全国に出た元Jリーガーの古田先生のチーム。正統派として後方で大きく回し丁寧に繋ぎ、相手る選手を使いピッチの幅をフルに活用するパスサッカーだ。更に香芝を都会的でスタイリッシュなショートパスサッカーで全国に導いた米原先生も昨年からコーチにいる。(注:情報をいただき米原先生が今年度より大阪の金光大阪高校へ転任されたとのこと。奈良の県立高校から大阪の私学ということは教師としての身分は不確実になりそうだが、それだけサッカーに賭けていらっしゃるのだろう)イマイチ壁を越えられなかった生駒がこれからどうなっていくか。得てして壁を超える時が一番きつい。力で無理やり超えるか、勢いに乗ってポンと超えるか。逆に名門校・強豪校というものはたとえ劣勢でも粘って勝機を見出すものである。双方中体連が多いのも特徴だ。つまり高校に入ってからきっちり育成している証左だろう。
さて試合はやはり予想通りの展開となった。五條��井澤は昨年の観戦記でも本山雅志に例えたが、技術と一瞬の加速、相手を見て逆を取るドリブルで密集を突破していく。身体はないがプロで見たい選手。�┸�田もポストをこなしつつ本質的にはドリブラーで前を向けば仕掛けていく。��池田は失わない選手で相手を潰しつつタメを作り、小さくなりがちな五條にあって大きく展開し、空いたサイドを使う。��瀬羅は判断が素早く正確でしかも大胆だ。��吉田は詰める一歩目が早く、対人マークが得意だ。身長はあるがむしろ地上戦がいい。�|翦�は後方から声で統率。五條のイメージから来る繋ぐタイプではなくて割と蹴ることが多いがキックが伸びる。
対する生駒でまず目を引くのが左サイドバック�ご飮海埜渟雖�井澤に対峙するから守備の意識が高いのだが守→攻に切り替わった途端素早い判断で上がりタッチライン際を駆け上がる。この頭の回転の速さ、運動量は素晴らしい。対人守備では井澤に苦戦するがこれから良くなっていくだろう。他の選手と連動して守る戦術眼も素晴らしい。しかもまだ2年生だ。ゴールキーパー�|Г聾電沈萓犬了愼海發△辰討�ほぼ完ぺきに見える。声出し、ハイボールの処理、ビルドアップ、ロングキック。上背がないのが惜しいが大学レベルまでなら十分やれそうに見える。�テ4�、��津田のセンターバックコンビの連動とビルドアップもいい。大きく開きゴールキーパー�|Г箸箸發妨緤�から丁寧に組み立てる。一方で前線は細かく鋭いパスに欠け、対人守備の得意な五條に止められてしまう。
さてゲームだが双方ロングキックがほぼなく、したがってオフサイドもまるでない丁寧なゲームである。ロングスローもなく、タッチから丁寧に繋ぐ。8分、五條左コーナーキックに対し生駒は元Jリーガー監督らしくゾーンで守り、これに対し五條は枠をとらえたキックを生駒キーパー�|Г�このゲーム唯一のミス、パンチミスが五條に正面に、至近距離ヘッドは正面に飛びキャッチ。決定機。14分、五條��井澤、右から3人抜きドリブルからスルーパス、㉔和田谷が倒れるが明らかにPKではない。18分、��瀬羅の右シュートは上に外れる。20分、五條��池田タメて��井澤がタテに仕掛けクロスは中にカット。井澤はサイドアタッカータイプではないがそのようなプレーもできる。更に�┸�田ドリブルから㉔和田谷潰れ�仮�西へ、しかし生駒センターバック��津田がきっちり止める。いい形。22分、五條、左フリーキック、��瀬羅のキックに�ナ得逎椒譟次�当たり損ね。生駒はゴールキーパー�|Г�いきなりロングキック、��中町が頭で後方に逸らし�Σ値茲�左足ボレー、左を襲う。決定機。よくデザインされたプレー。25分、五條��井澤の右クロスにこぼれを��池田がはたくが奪った生駒がカウンター、�ご飮海�素早い切り替えで上がるロングカウンター��中町がタメて�Ю湘弔�右クロスにニアに中町詰めるが合わず。しかし生駒右コーナーキック、五條もゾーンで守る。もうすっかり高校サッカーでもコーナーキックの守備がゾーンなのはトレンドだ。日本代表でトルシエ監督が採用したときは心無い評論家にボロクソに言われたものだが。しかもその評論家連中は責任も取らず相変わらず放言しているが。34分、五條��井澤から��池田、�仮�西に繋ぎ生駒がゴールラインに逃げ、左コーナーキック。��井澤のキックは実らず。36分、五條��池田が中盤で奪い50メートルをドリブル、からパスもオフサイド。38分にも五條右コーナーキックだが、生駒のゾーンを崩せる気配がない。前半終了。0−0。五條ペースながらも生駒も守備がいいチームらしくきっちり守った。
前半シュート数6対2、ゴールキック数4対1、コーナーキック数4対5、オフサイド数1対1、クロス数3対2、ファウル数2対3。極めてフェアなゲームだった。当然危険な位置でのフリーキックもなし。フェアというか、双方守り方がいいからファウルをする必要性がない。
筆が乗って字数オーバーペースなので後半は比較的簡単に。44分(後半4分)、五條、左コーナーキック、��瀬羅のキックに��井本競って㉔和田谷左ミドルが右隅を襲うがゴールキーパー�|Д侫.ぅ鵐察璽屐7萃蟲 �53分、五條、左からの攻め、�┸�田が密集を細かいドリブル突破左パスに詰めた��井澤が流し込むだけ。1−0。9割がた菅田のゴールだった。こうなったら生駒が更に後方で大きく回しサイドバックの上がりを活かしたいところだが活かせていない。やはり攻撃得意の米原先生の高速パスはまだ浸透していないのか。57分、��瀬羅がドリブルからスルーパス、㉔和田谷シュートはわずかに左。決定機。19分、五條�仮�西→��中山幹太。判断の早い選手でドリブルの決断もはやい。64分、五條��瀬羅が豪快なヘッド、右コーナーキックへ。生駒�1紺罌�?。右センターバック��津田が右サイドバックに。69分、生駒��仲谷の右コーナーキックこぼれを蹴り出すも�ご飮該献�ロス、しかし五條ゴールキーパー�|翦�素晴らしい飛び出しでキャッチ。71分、生駒��市来崎→㉒西岡將瑛。五條�┸�田→�眼憩O �74分、五條��瀬羅が中盤で持ち30メートルを豪快に振りぬき左隅に突き刺す。圧巻のスーパーミドルだった。2−0。これでは生駒のゴールキーパー�|Г發匹Δ靴茲Δ發覆ぁ�75分、五條��井本→��辰巳遼河。井澤が足を攣る。五條は時計を進め、ロスタイム3分、��井澤→��𠮷田歩樹。結局五條が個人能力の高さを見せて勝利した。
やはり五條のドリブルは全国でもトップレベル。守備のいい生駒をドリブルで崩してしまった。生駒はまたしても壁を破れず。一度壁を越えて全国に行けばチームとして見える景色が変わってくると思うのだが。とは言え持ち味は発揮したゲームだったのではないでしょうか。出来れば好サイドバック�ご飮海△燭蠅鬚發�少し活かしたかったが。
高校選手権奈良大会準決勝
香芝高校−市立一条高校
11月10日 13時30分 橿原公苑陸 ピッチ並 晴
香芝 一条
−−−米田−−中山−−− −−−梅景−−佐藤−−−
−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−
福井−田中−−八田−山岡 松山−樋口�∋嚇陳兄嚇直�
山本−中村−−西岡−吉武 片山�◆殕廖檗歛臙��∧唇�
−−−−−田中�◆檗檗檗檗 檗檗檗檗殃唇罅檗檗檗檗�
香芝 監督:御神本真一
GK 1 田中夢玖 2年 178/64 法隆寺フットボールクラブ U 15(ママ)
DF 4 吉武和真 3年 166/57 香芝北中
13 西岡祐弥 3年 163/62 法隆寺フットボールクラブU 15(ママ)
3 中村圭太 3年 170/60 畝傍中
2 山本達也 3年 165/56 法隆寺フットボールクラブU 15
MF 8 山岡杏輔 3年 168/59 東和フットボールクラブジュニアユース
5 八田紘輝 3年 171/55 法隆寺フットボールクラブU 15(ママ)
7 田中翔基 3年 176/62 F.C.Anillo
11 福井翼 3年 163/48 ディアブロッサ高田FC大和U 15(ママ)
FW 9 米田敏也 3年 173/57 香芝東中
10 中山草太 3年 170/54 奈良クラブジュニアユース
一条 監督:澤井匡生 部長:前田久
GK 1 平井遥希 3年 173/67 法隆寺フットボールクラブU 15
DF 13 西岡祐弥 3年 163/62 法隆寺フットボールクラブU 15
3 大谷泰雅 2年 184/68 スクデットフットボールクラブ
4 要隆太 3年 180/73 F.C.Anillo
22 片山裕人 2年 170/62 奈良YMCAサッカークラブジュニアユース
MF 9 山田将也 3年 168/58 富雄南中
6 山田跳馬 3年 181/68 法隆寺フットボールクラブU 15(ママ)
8 樋口翔大 2年 168/60 ディアブロッサ高田FCU 15(ママ)
11 松山知樹 3年 173/63 名張FCテコス
FW 10 佐藤力丸 3年 169/60 ディアブロッサ高田FCU 15
2 梅景俊輔 2年 176/65 奈良YMCAサッカークラブジュニアユース
このカード、リーグ戦では香芝が3−3、4−2と1勝1分けである。
一条について。部長と監督を併記したのは昨年まで長年監督を務められた前田先生が今年から監督を退かれたからだ。一条は市立校のため転任が少なく、長期政権が可能だ。前田先生といえば、それまで奈良育英の1強が続いた奈良県において一条に当時奈良では斬新なバックラインを押し上げてのプレッシングからのショートカウンターを完成させ2強体制を作り上げた。当時は裏を再三とられたが完成度が上がり、高校レベルではプレッシングをかわせる高校はほぼなくなった。他方、プランBを用意できず、一時4−3−3にして繋ぐスタイルを模索した時期もあったが、前田先生はそちらの戦術指導は不得手だったのか上手くいかなかった。そして今の奈良県ではプレッシングからのショートカウンターといってもむしろ対戦相手は一条相手に繋がないことが多いし、そもそもしっかり繋ぐサッカーでなければ全国上位には勝ち進めない。そういう事情で、そういう指導に適した先生を監督にしたのではないか?澤井先生もA級ライセンスを持っている。だから今年の一条は全くのニューモデルだ。
対する香芝は米原前監督のショートパスサッカーの精度が落ちてはいるが、今のところ力を維持しており、相変わらず奈良県上位の力を持つ。2強時代の奈良を崩したのは香芝だった。2010年、奈良育英をPK戦で破って県代表になった。ただしその年は平城遷都1300年祭を優先して高校選手権奈良大会には行かなかったのだが、まさにその日に香芝が勝ったのだった。
一条において2番は守備のエースナンバー。いい左センターバックがつけることが多いが、今年はレフティーのフォワード��梅景がつけている。エースナンバーは各校異なるが2番は珍しい。ゲーム前の紹介で放送設備が悪いこともあり、「2番がいない?」と驚いたがフォワードだった。
さて立ち上がり、一条がバックライン、時にはゴールキーパー平井も加わり後方で大きく回す。これに対し香芝は何とか前から追うが守備が連動してなくて奪いどころがない。また観る限り攻撃時にボールが集まり仕掛けられる��米田やスペースに走れる��中山は中心選手で「走れるだけ走って交代」という作戦を採りにくい。そのため一条はじっくり回し空いた中盤を使い丁寧にビルドアップ。香芝を振り回す。しかし香芝も中盤インサイドとサイドをバランスよく使い、立ち上がり互角である。一条は左サイドバック㉒片山が鋭く上がり変化をつける。これに対し香芝は�┿害�が気を取られ、徐々に右から押し込まれる。14分、一条、左で細かくつないで��樋口の左クロスに��佐藤が5メートルのスタンディングヘッド、丁寧に逸らすが右に外れる。そして18分、一条ゴールキーパー�(唇罎離蹈鵐哀侫�ードに香芝バックラインとゴールキーパーが互いに躊躇、バックラインはついていかず、ゴールキーパーは出ない裏に一条��佐藤が飛び出し難なくループを決めて先制。0−1。これは香芝痛恨のミスである。動揺が走るのが手に取るように分かった。非常に痛い。直後に一条��梅景が引いて左足ロングフィード、またしてもバックラインとゴールキーパーの間に落ち、走り込んだ��佐藤ループ、今度は外す。超決定機。完全にまずい。26分、一条��山田の右クロスのファーにフリーで走り込んだ��松山決めて0−2。明らかに香芝は動揺・混乱している。この時点で思ったのは前半何とか耐えてくれ、このままだとショッキングなゲームで高校サッカーを追える選手も出る、ということだった。以降も一条は��樋口の左コーナーキックにファーにフリーで誰か飛び込むなどチャンスを作り、一方的に流れをつかむが、得点ならず前半は0−2で終了した。ハーフタイムが非常に重要になる。特に香芝にとって。
ハーフタイムで香芝はメンタルを立て直したらしく連係ミスはなくなったが、一条の流れは変わらない。いきなり��佐藤が右に現れてクロスにファーで��松山フリーで現れて上に外す。超決定機。一条��佐藤は流れるし自らドリブル突破もあり捕まえにくい選手。おまけにポスト役の��梅景もただ前で張っているだけでなくポジションを入れ替え柔軟なスタイルだから一条のアタッカーはマークしづらい。一条の攻勢が続き、20分、たぶん㉒片山の左クロスにニアに��松山飛び込み浮かせて決める。0−3。これで勝負はほぼ決まった。力では一条だし、流れも一条だ。高校生のメンタルだから分からない、というにはメンタル的にも香芝が苦しい。香芝��田中→�Π属翅臉検�63分、一条��山田→�Т篷槊誕澄�24分、香芝�┿害�→��井手上僚兵。フォワードに入り��中山が右ハーフに。むろん前から追うためだ。一条㉒片山→�街畆菎鷽拭1Ε汽ぅ疋丱奪�に入り、右の��西岡が左サイドバックに回る。71分、一条��樋口→�影I霄�。73分、一条��西岡→�加�口凛太朗。78分、一条��佐藤→��山敷裕也。ロスタイム3分のラストプレー、一条右コーナーキック��梅景の左足に香芝オウンゴール。0−4。結局一条が大勝した。
香芝としては非常にショッキングな負け方だっただろう。僅差の勝負に持ち込める力はあったのに、みすから失点して崩れてしまった。観ている方もショッキングだった。一条はトータルで強いチーム。全国で勝てるスタイルだ。土台を築いた前田先生は偉大だったが、監督職を譲るということはなかなかできない。今年のチームはそれが上手くいっている印象だ。一方的な展開であまり触れられなかったが、�B臙�と�ね廚領哨札鵐拭璽丱奪�はノーミスだった。やはり一条はセンターバックがいい。
決勝について。昨年が五條が回し一条がタテに速いカウンターだったが今年は構図が逆になるだろう。五條はカウンターから単独で局面打開できるチーム。勝負は何とも言えない。