| 2010年08月08日(日) |
豊田国際ユース 日本−アルゼンチン |
豊田国際ユースはU−16の大会で日本代表と地元選抜の他、海外招待チームが参加する。日本代表の場合、隔年でアジアユース直前の大会になり、重要だ。そして今年アジアユースが開催される。そういうわけで、U−16日本代表の顔ぶれを確認しておきたい。それ以上に招待チームに注目だ。今年はアルゼンチンが来日する。Jリーグ以前からのサッカーファンにとって海外強豪国は日本代表以上に憧れだ。そのアルゼンチンと日本が最終日に優勝をかけて戦う。私は日本代表に対する忠誠心が薄い。はっきり言おう。日本の健闘は期待しているが、アルゼンチンにはその強さを見せつけてもらいたい。3−1か4−1が理想のスコアだ。
アルゼンチンの監督はホセ・ブラウン。86年メキシコW杯決勝で先制ヘッドを決めた元代表選手だ。相手の西ドイツは意外な顔だった。サッカーではGKとストライカーが対立軸になってチームが空中分解することがある。西ドイツでは、ハラルト・シューマッハーとカールハインツ・ルムメニゲがそうだった。しかし絶不調だったルムメニゲに対し、シューマッハーは絶好調で、そのシューマッハーを軸にチームが団結し、勝ちあがってきた。そして決勝、シューマッハーの中途半端な飛び出しを突き、ホセ・ブラウンのロングヘッドが決まる。中心選手のミス……。しかし西ドイツはここで崩れず、団結の強さを見せる。そしてルムメニゲのゴールなどで猛追し、2−3の大健闘を見せた。マラドーナ・アルゼンチンびいきの私でも西ドイツには感動した。
などと昔話を披露するのがオッサン化の兆候である。じつはU−16アルゼンチン代表監督はオスカル・ガレー氏に変更されていた。こちらは何者かは知らない。コーチはオラルティコエチェア。メキシコW杯決勝のスタメンで、イタリアW杯にも出場している。このクラスがU−16代表を任されるあたり、アルゼンチンの育成にかける情熱が伝わってくる。なんでも週3日も代表活動に割かれているそうだ。アルゼンチンにおいて10番は聖域。公式戦以外では欠番となる。かわりにエース番号となるのが19番。今大会ではパレデスがつける。パレデスはキャプテンでもある。試合前から期待の大きさが伝わってくる。
U−16日本代表を見るのは2回目。7月の大阪合宿以来だ。個人のプレーに注目してみる。
日本 アルゼンチン −−−井上−−鈴木武−− −−−九番−−十九−−− −−−−−−−−−−−− −−−−−十一−−−−− 菅嶋−望月−−野沢−楠美 −十四−−五番−−四番− 早川−鈴木隆−植田−川口 三番−六番−−二番−十六 −−−−−岩脇−−−−− −−−−−一番−−−−−
日本 監督:吉武 博文 GK 1 岩脇力哉 94.03.19 182/71 磐田Y DF 16 川口尚紀 94.05.24 175/67 新潟Y 5 植田直通 94.10.24 185/70 大津高 4 鈴木隆雅 94.02.28 178/63 鹿島Y 11 早川史哉 94.01.12 170/66 新潟Y MF 8 野沢英之 94.08.15 175/61 FC東京U‐18 15 望月嶺臣 95.01.18 172/66 野洲高 10 楠美圭史 94.07.25 170/56 東京V・Y 14 菅嶋弘希 95.05.11 175/62 東京V・JY FW 6 井上丈 94.05.21 156/55 新潟Y 9 鈴木武蔵 94.02.11 183/67 桐生第一高
アルゼンチン 監督:オスカル・ガレー GK 1 ニコラス セケイラ Nicolás SEQUEIRA C.A. Lanus 1994.08.30 DF 16 ホアキン カナルス Joaquín CANALS C.A. Tigre 1994.08.01 2 エドゥアルド バエス Eduardo BÁEZ Racing Club 1994.06.28 6 アリアン プチェタ Arian PUCHETA C.A. Boca Juniors 1995.03.08 3 マルコス ピント Marcos PINTO C.A. Lanus 1994.01.25 MF 5 ガスパル イニイゲス Gaspar IÑIGUEZ A.A. Argentino Juniors 1994.03.26 4 エンゾ ベロソ Enzo BELOSO C.A. New ells Old Boys 1994.02.20 14 ジョナサン シルヴァ Jonathan SILVA C.Estudiantes de la Plata 1994.06.29 11 マティアス モンテロ Matías MONTERO C.A. River Plate 1994.05.07 FW 9 ルカス オカンポス Lucas OCAMPOS C.A. River Plate 1994.07.11 19 レアンドロ パレデス Leandro PAREDES C.A. Boca Juniors 1994.06.29
全クラ初日に前半20分から見た新潟では川口が2トップ、早川と井上は出ていなかった。東京・野沢も前半20分までは出ていなかったし、東京V−鹿島戦を見たが楠美も鈴木隆雅も後半開始から20分間は出ていない。磐田の岩脇は予選敗退のためチェックしていない。高体連では鈴木武蔵は7月のキャンプで鮮烈な印象がある。植田は観ようがない。野洲の望月はもちろん知っている。中学時代を知っている選手はいるが、この試合でポテンシャルを知りたい。まあ1回で全てを知るなど到底無理だが。
日本の2トップの身長差27cm。高校生でここまでの差となると、02年度野洲の中井(154cm登録)と軽墓(181cm登録)くらいしか浮かばない。
アルゼンチンは2トップに徹底的にボールを預け、モンテロがフォローする。パレデスはすぐに「特別な選手」ということが分かる。徹底的にドリブル。オカンポスにリターンの期待を込めたパスを出すくらい。右足であらゆるタッチを見せる。試合中2回のラボーナまで見せた。体格もスピードもある。相棒のオカンポスはクレバー。スペースを突く動きは素晴らしい。日本では楠美が両足の内側で小刻みのボールを動かすドリブルをみせる。立ち上がりは日本もいい。12分、アルゼンチン、左60度25mFK、パレデスが右足で強シュートもGK岩脇セーブ。18分、日本、鈴木武のポストを菅嶋が右よりからシュート、左に外れる。決定機。18分、アルゼンチン・イニイゲスに警告。ラフ。井上のすねに入った。22分、日本、楠美の右クロスに中で鈴木武がつぶれ、菅嶋ファーでフリー、トラップしたのが余計でアルゼンチンGKセケイラが詰めてシュートをブロック。決定機。23分、日本、右CK、楠美のキックにニア菅嶋が飛び込むが、アルゼンチンのマーカーもきっちり寄せてヘッドは右に外れる。26分、アルゼンチン・パレデスの強引な仕掛けからオカンポスへ、右足シュートはGK岩脇セーブ。決定機。27分、アルゼンチン、シルヴァが左から強烈ミドル、左隅に飛ぶがセーブ、左CKに。アルゼンチンが左SBのピントが左足キック力を生かした逆サイドへの展開やフィードを常にねらっている。鈴木武はジャマイカ系の血が混じった強靭な身体能力が武器だが、アルゼンチンDF陣の激しい寄せの前に仕事がなかなかできず、そのうちコントロールが乱れてくる。もともと技術的にも改善の余地がある選手。37分、アルゼンチン、カウンター、パレデスが華麗なラボーナパス、シルヴァ左フリーシュート、右に外れる。決定機。40分、日本、鈴木武へクサビ、反転シュートが右上に飛ぶがGKキャッチ。結局前半は0−0で終了。
シュート数5(2)対7(3)、CK数2対3、GK数9対3、クロス数5対4。日本大健闘といったところだろうか。日本のサッカーは90年代後半以降技術委員会が追及してきた正統派?サッカーだ。バックラインから丁寧にパスを繋ぎ、足を動かし、攻守に数的優位を作る。前回のジュニアユース代表が個人で局面を打開できるアタッカーが揃っていたので、ドリブル色の強いものだったが、今回の代表は等身大の日本サッカーだ。ポテンシャルを120%発揮しているとは言わないが、80%以下とも言えない。要するに、これで通用しなければしょうがない、と諦めがつく程度にはしっかりしている。
ハーフタイム、�Π羮紜��Ь硝楙嗣蕁L鄲瑤�右ハーフに回り、楠美がボランチへ。7分、日本、川口がフィードして鈴木武が右クロス、菅嶋がニアに走り込むボレーも右に外れる。決定機。9分、アルゼンチン・オカンポスがあっさり早川をかわして切れ込み右クロスもカット。鈴木隆はやや足が遅い。11分、アルゼンチン・モンテロの右クロスをオカンポスがワントラップ、ジャンピングボレー、上に外れる。13分、アルゼンチン、�ゥぅ縫ぅ殴喉��Д▲螢�ネ、�哀�ナルス→�┘凜�ジャルバ。ベロソがRBへ。ヴィジャルバがRHに回るフラットな4−4−2。18分、アルゼンチン・モンテロがフリーで右クロス、合わず。21分、日本、誰かの右クロスを菅嶋が裏でワントラップからシュートが決まったかに見えたがハンドで取り消し。パレデスがドリで仕掛け右へ、ヴィジャルバが右クロス、中でつぶれ、シルヴァ、シュートもGK正面。岩脇はキャッチングなど技術的には向上の余地があるが、シュートが簡単に決まらないという安心感がある。前に出る判断もいい。25分になって給水タイム。28分、アルゼンチン、��シルヴァ→�殴▲鵐疋薀澄�アルゼンチン・パレデスのFK、ナナメに突っ込んでプチェタヘッドも上に外れる。決定機。31分アルゼンチン、右で1対1を作るが、早川は冷静に味方の応援を待つ対応。冷静だ。日本のファンブロンクホルスト。32分、日本・��楠美→��秋野央樹。日本は足が止まり、アルゼンチンがいいようにドリブル、引いて守るのみ。メモには2回しかトピックを書いていないが、猛攻だった。35分、アルゼンチン・パレデスが左からドリブルシュート、サイドネット。40分、パレデスが左を突破、シュートはブロック、CKに逃げる。アリオネのキックをアンドラダ、ヘッドもも右に外れる。決定機。結局タイムアップ。優勝はPK戦の結果に委ねられる事になった。
アルゼンチン・パレデスがGKの逆を突き、左上に決める。 日本・早川がGKの逆を突き右に決める。 アルゼンチン・オカンポスがタイミングを外して右に決める。 日本・松本が左上隅に決める。 アルゼンチン・アンドラダが左上隅に決める。 日本・野沢が左に蹴るがコースが甘い。セーブされ失敗。 アルゼンチン・モンテロがGKの逆を突き左に決める。 日本・川口がGKの逆を突き左に決める。 アルゼンチン・ヴィジャルバが右隅に決める。
5−3でアルゼンチン勝利。大げさなまでに喜ぶ。チャントを次々に歌い、ホーム側にスライディング。輪になって回転。これが南米の情熱か。
日本の選手について寸評を。
GK 岩脇力哉:反応の鋭さを発揮。反応はGKの能力の原点だ。ポジショニングもいい。キャッチングはイマイチ。 DF:川口尚紀:前半は良く分からなかった。後半は好フィードを見せた。キックのいい選手。 植田直通:高さはあった。パレデスに振り回されたが、懸命に粘り振り切られなかった。 鈴木隆雅:スピードが足りず、能力の高いアルゼンチン2トップに苦戦。しかし抵抗する術は持っていた。 早川史哉:クレバー。個人能力はそれほどでもないが、グループで守る頭脳を持っている。 MF 野沢英之:この選手もクレバー。バランスを取り、集団で仕掛けるこの選手は今回の代表を象徴する選手。 望月嶺臣:パッサーとして貢献。得意のノールックパスを何度も見せた。守備は弱い。 楠美圭史:足元のテクニックの高さを披露。10番らしい10番。 菅嶋弘希:ダイナミックな動きを見せた。ポジションバランスにこだわらない動きはチームの中では異彩を放つ。 FW 井上丈:小柄だが、スピードが突出しているわけでもファンタジスタでもなく、全体的に能力の高い選手。シュートがなかった。 鈴木武蔵:身体能力もこのレベルでは潰された。素材としては一級品。アルゼンチンはともかく、アジアでは通用する。
リザーブ 松本昌也:動き回って攻撃に絡んだ。しかしスペースがなければあまり仕事は出来ず。 秋野央樹:守備に追われたので特徴分からず。
パレデスはボール離れが悪いという欠点に目をつぶり、ドリブルを磨き上げた傑作だ。一皮向ければ凄い選手になる可能性がある。アルゼンチンの戦術もパレデスを徹底的に前面に押し出したものだった。今大会は暑い中での連戦でドリブラーに厳しい。03年のメッシに対して私はドリブルで相手を切り裂くシーンも見せるがパスは苦手、といった趣旨のことを書いている。パレデスにも同様の指摘が出来る。どこまで成長できるか楽しみだ。オカンポスも才能豊かでチームメイトから一目置かれていることが分かる。アルゼンチンは逸材が多かった。
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