サッカー観戦日記

2004年05月04日(火) 大阪クラブユース(U−15)選手権 2次リーグ C大阪−高槻FC(とりあえず雑感のみ) ロボカップジャパンオープン

大阪クラブユース2次リーグ

C大阪3−1高槻FC

前半は新人戦王者・高槻FCのワンサイドゲーム。29分の時点でシュート数0対7、決定機数0対4、CK数0対3、GK数5対0となっており、前半で勝負を決められる内容だった。しかしフリーを外したりポストに当ててしまった。29分にC大阪がワンチャンスを決めて先制。後半は一方的とまではいかないもののC大阪ペース。シュート数4対2、C大阪の堅い守備が光った。2分に高槻FCが同点に追いついてからはC大阪が決定機を与えず、17分にCKから決勝点。さらに1点追加してグループ1位を事実上決めた。

ゲーム後に南津守から四つ橋線・ニュートラムを乗り継ぎインテックス大阪へ向かう。



人工知能の開発を促進しまた一般にその成果をアピールする手段として有名なのがコンピューター・チェスである。IBMは大規模なプロジェクトチームを組み、ついには史上最高の実力者とされるカスパロフを破る快挙を成し遂げた。もっともIBMのスパコン用プログラム「ディープ・ブルー」は対カスパロフ用のもので、あらゆる人間のライバルを破ったわけではないので、真にカスパロフを超えたとは言い難く、即座にIBMサイドは勝ち逃げといっても過言ではない「引退」宣言をしている。

コンピューター内での限られた仕事から、より実際的なプログラムの開発とロボット工学の融合を目指して提唱されたのがロボカップである。その中で最初に組織され、もっとも活発な部門がロボカップ・サッカー。コンピューター・シミュレーションによる対戦および自律移動ロボット・サッカー部門からなる。海外では企業や国家プロジェクトとして大規模な予算を組んでいるところもあるという。例えば次の世界大会開催国のポルトガルなど。その国内大会がインテックス大阪で行なわれるので最終日を見学した。入場料1000円。

毎年様変わりするNHKのロボコン(アイディア対決ロボットコンテスト)と比べてレギュレーションはほぼ毎年同じ。予算制限もなく、明らかにトップクラスの技術レベルは数段上回る。しかしサッカーという競技がいかに難しいものか改めて良く分かった気がする。

小型部門は20cm程度のロボット、というか全方向走行可能でシュート機能を備えた車で行なう。5対5。ロボット部門は全て1チーム5台以下で行なわれた。ロボットでカベを作ればゴールマウス全てをブロックできるが、そこはゴールエリア内に守備側は2台しか入れないというルールがあった。ロボット搭載のカメラとは別に天井から見下ろすカメラから情報を受け取りロボットが自分で判断して行動する、というもの。ロボットは敏捷性に優れボールに一瞬で寄せるプレスは人間顔負け。しかし典型的な団子サッカーでパスは存在しなかった。現在世界トップクラスはスペースへのパスを習得しつつあるようだが、プレスがきつくグラウンダーパスしか出せないこの部門ではパスサッカーはとてもじゃなかった。決勝では桐蔭横浜大チームが中部大チームを圧倒。両チームは世界大会にも出場する。

大型部門は天井カメラがなく、各ロボット搭載カメラで状況を判断する。この状況判断が小型部門より格段に落ちる。より実際のサッカーに近いルールだが、冴えない印象だった。

4つ足ロボット部門は全チームが同じ犬型ロボットを使用し、プログラムの出来を勝負する。前足でボールを抱え込んでもハンドリングにならない。足を使っての移動なので動きはトロい。ゲーム性・娯楽性は最も低かった。

ヒューマノイド部門は競技としては行なわれず、ラジオ体操や障害物歩行などのパフォーマンスを披露するだけ。将来的にはサッカー競技を目指すようだ。しかし企業のプロジェクト・チームならともかく、大学の研究室チームが自製人間型ロボットでサッカーなんて、当分無理だろう。

一番面白かったのはシミュレーション部門。コンピューター内で11対11でのプログラムの出来を競う。ボールは地面を離れないようで、味方ゴールキックもピンチ。GKの能力が高く1対1でさえも確実に止めてしまうので、シュートの前にペナ内でパスを繋いで左右に揺さぶらなければならない。選手の能力、プレーが限られているのはコンピューターの処理能力上の制約だろう。普通のパソコンを使用していた。選手の能力も色々選べることになっていて、パワフルな選手はスタミナに難があり、徐々に動きが落ちていく。オフサイドもあるが、観た全てのチーム(プログラム)がカバー役を後方に余らせた守備を採用していた。仮想ピッチ内には「championship manager(サカつくの様なクラブ育成型シミュレーション・ゲーム)」の広告看板まである。ロボカップで唯一スポンサーがついていることからも企業の注目度が伺える。現実のサッカーにはまだまだ程遠いが、コンピューターの処理能力が上がり、現実のプレーを再現できるようになれば、チェスみたいに現実にも影響を与える時代が来るかもしれない。

各部門ごとに実況解説がついているが、「ゲームスタート」とか「ゲームセット」というのは如何なものだろう?サッカーをほとんど知らない人が実況しているのは分かるのだが、ロボカップのルールにもおそらく明記されている様な言葉くらいサッカー用語を使うべきだ。サッカーはバレーや野球のようなセット制のスポーツではないし、もちろんロボカップも時間制で行なわれているのだから。

一通り回って帰路につく。プログラムを見るとジュニア部門では「G大阪」(チーム名)を名乗る小学校チーム(所属名)もあった。グランパスまである。帰りのニュートラムはコスモスクエア(「コスモス食えや」に聞こえる)経由。住之江公園経由よりもずっと高い。


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T.K. [MAIL]