サッカー観戦日記

2003年12月28日(日) Jユースカップ決勝 広島−市原

この日は生観戦する予定はなかったが、急遽長居へ足を運ぶ。午前中には大阪トレセンの紅白戦、というか青黄戦が行われたが、京都招待の疲れもあってか、イマイチだった。



Jユースカップ 決勝 サンフレッチェ広島−ジェフ市原
12月25日(木)長居陸 13時 ピッチ並 晴 微風


広島                市原
前田俊−−田村−−−西山 −−−−−菊地−−−−−
−−−−−桑田−−−−− −−−川渕−−伊藤−−−
−−−田坂−−前田和−− −小西−−半田−−八角−
高柳−藤井−−中野−森脇 −林−竹田−−秋葉−小泉
−−−−−佐藤−−−−− −−−−−塚原−−−−−

広島はいつもの4−3−3。安定感十分のGK佐藤(U−18代表)を最後方にRBは攻撃的な森脇、左は磐石の守備の高柳(今夏トップ合流)。CBは長身中野と身体能力の高い藤井が巧みにマークを受け渡す。前田和之が守備重視、田坂は機を見たドリブルあり。桑田はシャドーストライカー。ともに左利きのウインガーはドリブル得意。決勝トーナメント無得点ながら本来は得点力のあるCF田村(トップ昇格)が中で待つ。

市原は広島に合わせて4バックに変更。GK塚原は今大会絶好調でスーパーセーブ連発。秋葉が3ストッパーの後方にはっきり余りカバーに専念。竹田が田村につき、西山・小泉のポジションチェンジには小泉・林がマークを受け渡す。3ボランチも守備意識が高く、バイタルエリアで広島の選手をフリーにさせない。1トップの菊地はもちろん、川渕・伊藤は常にカウンターを意識したポジションをとる。

立ち上がりからパスを繋ぐ広島と、守ってカウンター狙いの市原というゲームプランがはっきりわかる展開である。2分、市原カウンターから林のクロスもファーの川渕に合わず。やや広島は動きが重い。それでも5分、広島が押し込みサイドチェンジを織り交ぜながら市原を振り回す。しかし市原の粘り強いマークの前にクロスやミドルを狙うスキは見出せない。それでも6分、森脇の右クロスを田村ヘッドで落とす。しかしその先に味方はいなかった。8分には前田俊のシュートも小泉ブロック。10分には前田のドリブルを小泉がペナコーナー近くで倒しFKのチャンス。(決定機1)これを田坂が狙う?が塚原を脅かせず上に外れる。市原は狙い通りのサッカーが機能し、文句のつけようのないスタートだ。13分、市原右スローインから小泉のクロスを伊藤ボレー。14分前田俊が右から1対1を外して右からシュート、枠を捉えず、塚原キャッチ。(決定機2)14分市原もロングボールを川渕が落とし半田シュートも佐藤足でセーブ。(決定機1)15分、広島カウンターから西山ドリブルシュート。17分、半田に警告。20分、前田俊がロングループを狙うが外れる。徐々に広島ペースとなり、圧倒的なパススピードで市原を翻弄し、逆サイドに広大なスペースが生じる市原3ボランチの弱点をつくサイドチェンジが次々に決まる。広島がキープしている間に4回サイドチェンジが決まったことも。24分、西山に対するバックチャージで林に警告。しかし西山の右FKはミス。GKから市原カウンターに入りロングパスを川渕が巧みなトラップで反転、しかしシュートならず。25分広島ロングフィードに田村が空中戦に競り勝って後方に流したボールに秋葉と前田俊が競り合い、こぼれたところに桑田が走りこみ、ゴールに押し込んで広島が先制。27分、広島FKのチャンスも西山のシュートは左に外れる。31分、田村のシュートも枠外。広島がボールを支配しながらも市原の守備は乱れず、両ウイングに易々とドリブルを許さない。広島は田坂の後方からのドリブルがアクセントとなり、市原守備の混乱を誘う。36分、またも中野のロングフィードに田村とやや遅れたGK塚原が競り合い、こぼれたところを前田俊がヘッドで決めて2点目。決勝進出の立役者塚原にとっては痛恨のミスだった。38分、市原久しぶりのシュートも西山ブロック。更に39分には久しぶりの右クロスが入るもオフサイド。41分には田坂が左タッチ際ハーフを越えた辺りからドリブル開始、すぐスピードに乗り八角・小泉らを振り切り、ゴールライン際を中に突き進み角度の無い所から豪快に決めて3点目。田坂にとっては生涯最高のゴールかもしれない。42分には左CKから田坂のキックはファーに流れてしまう。前半は3−0で終了。広島は枠内シュート4本で3得点。

シュート9(4)対4(3)決定機の数では5対1。やはり広島はきっちりチャンスを作っている。

両者の力の差を考えると勝負は終わった、と思った。しかも市原は3ボランチが広島のパスワークに振り回されスタミナに不安がある。市原とすれば1点勝負に持ち込むしかなかったはずだ。広島と攻め合いで勝てるチームはまずない。むしろあと何点入るかな、というのがハーフタイムでの率直な展望だった。まあ、完全に外れたのだが・・・・・・。ハーフタイムでの選手交代は無し。

2分、広島ウイングが中に入り、西山→前田俊→田村と繋ぐがシュートならず、カウンターから菊地→川渕と繋ぎ前線に飛び込んだ半田が上手いワンタッチコントロールで藤井、ツータッチ目で中野をかわしてシュート、見事決まり3−1と迫る。後半から市原サポーターがたたき出したタイコパワーか?すぐ広島も反撃に移り3分、田村のドリブルが倒され正面20mFK、すぐにスタートし、桑田に渡るが市原必死に戻りカット。5分、市原カウンター、半田のスルーパスを受けた川渕を同じ千里丘中の全中準優勝メンバー藤井がペナ内での好タックルで止める。やや広島守備陣にバタバタした感じはあったが、攻撃陣は好調である。6分、田村の左足シュートは枠外。7分、高柳のクロスは塚原パンチング。8分、小西のフリーでの左クロスはミス。9分、森脇右クロスが桑田へ、シュートならず。広島は前田和・田坂のボランチが市原反撃の芽を摘み取り正確に捌く。12分、西山の左クロスをGK塚原パンチングミス、桑田ボレーにDFライン上でブロックするが、こぼれに詰めた田村が決勝トーナメント初ゴールで4−1とする。14分には田坂が左から長いドリブル、CKを奪う。17分、中野のフィードが左の前田俊へ、ゴールライン際まで持ち込み、タメにタメてニアへ柔らかいボール、これに西山が走りこみ5mもないシュートを決める。市原はマーカーが全くつかず(振り切られたわけでもない)、完全なマークミスだったが、前田のセンスが光った。さらに中央で田村→西山→前田の電光石火のパスからフリーで前田左足シュート、枠外。(決定機3)18分西山の右クロスもGKキャッチ。西山は必ず左足に持ち帰るため、市原・林に読まれていいクロスは入らない。まるでシャブ・・・・・・ではなくジャブをうたないボクサーのようだ。ただ圧倒的な突破力で補っている。20分、市原・小泉→岩山。もはや完全に勝負は決した。しかし選手交代を機に市原は無謀ともいえる攻勢に出る。すぐ広島カウンター、塚原と秋葉の連携ミスを突いて西山シュートも枠外。22分、広島・田村→馬屋原、西山→吉村。24分、市原が中盤でボールを奪い、やや右に開いた菊地へ、すぐマークにつく高柳の股間を抜く左足シュートが左スミに決まり5−2。広島はペースダウン。また前線の4人は攻め気ばかりで守備意識が低下し、ボランチとのギャップが生じ2ライン状態となってしまった。そのボランチの運動量も落ち、市原が中盤でボールを回すシーンも出てくる。28分、市原右FKで八角のボールを伊藤シュート、これは佐藤が弾いたものの伊藤が押し込んで5−3。30分市原DFのミスが馬屋原に渡り、前田俊に流し右足シュートは上外。(決定機5)広島はポスト得意なはずの馬屋原が基点を作れず、吉村も攻守に絡めない。36分、広島カウンターからDFウラへスルーパスも塚原飛び出してカット。37分、カウンターから前田シュートも塚原セーブ。(決定機6)38分、市原・小西→本田。39分、前田右足シュート、またも枠外。40分には森脇に警告。42分、市原のFKで左60度、30m以上あったが本田が狙うも右上、やや弱い。43分、桑田が左サイドに切れ込み、クロスをペナ少し外で受けた前田俊がGKを見てまさかの右足スーパーループを決めて6−3とする。直後に広島・桑田→田中、GK佐藤→松岡(3年)の温情采配。田坂に警告。しかしロスタイム伊藤のミドルがDFに当たり右スミへ。松岡もどうすることも出来ずゴール。6−4。温情采配は無情にも松岡に失点を味わわせる結果となった。このままタイムアップ。

それにしても凄まじい市原の気迫だった。もともと力の差がある上に、守備にミスが出ての失点を重ねて意気消沈しても仕方のないところだったが、体力の限界までよく走り、壮絶な打ち合いに持ち込んだ。この日のプレーを忘れなければ今後のサッカー人生にもきっと生きてくる。

それにしても今年の広島は強かった。高萩がシーズン中にトップ加入、高柳もトップ合流、田村が来期昇格、西山が川崎F入りで、さらに2年生に好選手が目白押しである。例年夏までは冴えない結果に終わっているが、この分だと新チームも春から飛ばしそうだ。

広島 佐藤昭大(2年)(→松岡宏樹)森脇良太(2年)中野桂介 藤井大輔(2年) 高柳一誠(2年)前田和之 田坂祐介 桑田慎一郎(2年)前田俊介(2年)田村祐基(→馬屋原佳明 西山貴永(→吉村修平) 

市原 塚原晃太郎 小泉孝人(岩山亮太・1年) 秋葉信秀 林裕太(2年) 竹田忠嗣(2年) 八角剛史 半田武嗣 小西雄士(2年)(→本田晋大・1年) 伊藤大介(1年) 菊池匡樹 川渕勇祐(2年)


帰りのJR鶴が丘駅では大久保の「U−18マナー」のポスターが。U−18の皆さんは大久保と同じ程度にマナーを守れということか。いささか危険な社会になりそう。



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T.K. [MAIL]