サッカー観戦日記

2003年11月26日(水) WY開幕記念ネタ「日本の誇る驚異の新戦術」

以下の文章は話のネタとして書いたもので極度に誇張した表現を含みます。どうか大目に見てやってください(笑)。




「日本の誇る驚異の新戦術」

えてして素人は勝負事において派手な攻撃にばかり目が奪われるものだ。しかし古来より守備の重要性を説く逸話は数知れない。『孫子』には「戦いに秀でた者は、まず守りを整えてから勝機を待つ」とある。サッカーとは攻撃である、と主張したクライフはサッカーとは守備である、と主張するクレメンテを凌ぐ実績を築けず、成果を出すのに時間が掛かり、その成果にせよ圧倒的な自軍の戦力とレアルの長期低迷とライバルの自滅によるところが大きい。ザッケローニは守備的なスタイルでミランに栄光をもたらしたが、派手好きなベルルスコーニ会長の不興を買い解任され、後任には攻撃的スタイルで知られるテリムが就任した。その際
「ザックとは違うのだよ、ザックとは!」(T.K.訳)という勇ましい攻撃サッカー宣言をしたものの守備的な前任者ほどの結果を出せないままあえなく解任された。

『ヒカルの碁』人気でちょっとしたブームになった囲碁に押され気味?の将棋。海外でサッカーはよくチェスに例えられるが、同種のゲームである将棋もまたサッカーと共通点はそれなりにある。将棋は自分の王を守りつつ相手の王を取るゲームで、様々な守備陣形があるが、もっとも硬い形が「穴熊」と呼ばれる陣形である。

|歩|歩|歩|歩   
|香|銀|金|角 
|王|桂|金|  


王を自陣の隅に置き、その周囲に駒を固める。素人目にも硬い守りであることが薄々わかるだろう。時間をかけてじっくり守り、それから攻撃に移ろうという、いわばカウンター狙いの戦法である。分かりやすいように多少形を変えているが左の例では強力な大駒である角までもが守備に効いている。

さて先頃革新的な穴熊戦法が考案された。仮に「大穴熊戦法」と呼ぶことにしよう。

−−−FW−−FW−−−
−−−−−MF−−−−−
CB−−CB−−CB−−CB
−−角−−CB−−CB−−
−−−−−王−−−−−− 

穴熊戦法は守りが堅い分思い切った攻撃に移れる、という特徴があるが、改良発展型の大穴熊戦法では組織的な攻撃の大半を放棄し、一発のスルーパス、偶発的なクロス、超強力なFWの単独攻撃、といった斬新な発想を取り入れたものである。クライフの超攻撃的サッカーには本人も認めるように圧倒的な戦力が必要であるのと同様、超守備的サッカーにも圧倒的な戦力が必要である、との噂もある。しかし「よく吠える犬は噛まない」というインドの諺もある。考案者は無責任な周囲の声に惑わされず常識を超えた新戦法の更なる追求に邁進してほしい。




上の文章は02年アジアユース(U−19)選手権直後にかいたものに後日手を加えた。



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T.K. [MAIL]