yofukoの日記

2003年07月07日(月) 村雨誕生日ss


ドサリ、と身体を投げ出す
乾ききった此処の空気は
湿気になれたこの身体には少々堪える

ホテルの23階

もう見慣れた夜景は、今更カーテンを開く気さえ起こさせないが
窓を覗き込めば、
そこには人間の作り出した最大の歓楽街が並んでいるはずだった

階下のカジノの音は、ここまで届くはずもない
それなのに、耳があの騒々しい音を未だに引きずっているようで



「…らしく、ねぇな」



つい、思い出すのは
友人宅のあの静謐

手馴れた様子で出される茶は
他の何処で飲むものより美味く

閑静な雰囲気のそこは
しかし人を呼び集める家でもあった

仲間はそこにしょっちゅう集まっては
買い物をすることも勿論あったが
4人以上集まれば賭け麻雀になることもしばしば

そのときは心地良い喧騒

皆が微笑っていた
皆が

あの人
あの人も
それはそれは綺麗に
綺麗に
微笑っていた


「―本当に、らしくねぇ」


掌で目を隠してみても
浮かんできた記憶は
かき消すには 強くなりすぎていたようで

立ち上がって 見飽きた夜景をみるために
窓に近づく

シャッと開いたカーテン


光の 洪水


遠くには、メルヘンチックな建物
その隣には、妖しげなピラミッドが 天に向かって光を放つ
手前に見えるあの建物の中には
かの有名なライオンの子孫が いまごろいびきをかいて眠っているはずだ


少し先を行けば、すぐに荒涼とした大地が広がる
その先、広大な風景を見せる グランドキャニオン

それは一時の感動をよんでも
喪失感をうめるものではなかった

眼窩に広がる夜景
喧騒
しかしそれも
自分がいた、あそこからは遠く離れた姿

どうやら
どうやら自分は


「情っけねぇなぁ…」



受話器を取る
外線につなぎ
流れてくる声に 少しばかり浮かれた声で答える


「――I'd like to reserve a seat for Tokyo.」


何故だか無償に
あの美味い茶を飲みたくなった

自分に言い訳しつつ。





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Happy Birthday Shikoh Murasame!

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昨年機会があって行くことの出来た
ラスベガスの記憶を辿りつつ書いてみました。

「メルヘンチックな建物」はエクスカリバー?というホテルで
「妖しげなピラミッド」はホテル・ラクソー(ルクソール?)
「かの有名なライオン」は、某映画配給会社の映画が始まる際に
登場するあのライオンさんです。(…って名前わすれちゃっただけなんですが)
その子孫のライオンが、今もそこのホテルで暮らしているそうです。

村雨には、ベラージオあたりに泊まっていてもらう設定でお願います。
ベラージオの噴水のショー、これは圧巻でございました。
もし機会がございましたら、是非これだけはご覧ください!


ラスベガス、華やかな街。

けれども何処か空虚な
乾いた空気なせいだけでなく、
なにか、虚しいような

飛行機から見たラスベガスは
煌びやかな世界から少し離れると
一転して住宅街で

こう言っては悪く聞こえるかもしれませんが
張りぼてのような、寂しい街に感じました
(もちろん観光として行く分には、最高に楽しめますが!)

村雨でもちょっときついんじゃないかと

そんな感じを書いて見ました。
誕生日なのに、こんなのでごめんなさい。ギャーヒー!

(悪徳理事長)


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yofuko