皇帝の日記
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他の追随をけして許さないファッションだった。
本人もほぼ忘れかけているが、皇帝はファッション業界のMDだ。 今日はことのほか忙しく、大量の資料に赤ボールペンでチェックを入れていた。 あんまりにもデザイン画が大量だったので、とりあえず右手の中指に指サックをつけて、書きながらも紙を猛スピードでめくれるようにしていた。
ガガガガベラ。ガガガガベラ。 と、テンポ良くやっていると、突然の来客。 あわてて引き出しに入っている名刺入れを掴んで、応接室に走っていく途中、ボールペンと指サックを持ったまま付けたままだったことに気が付いた。
仕方がないので、指サックをボールペンに、蓋の代わりに挿して、それを上にして、ワンピースの胸ポケットに入れて、挨拶をした。 そしてその名刺入れを、そのままさらに胸ポケットに突っ込んだのだ。
ほんで、そのまんま、夕方から市場調査で恵比寿にまで出て行ってしまった。 しかも、胸ポケットから、名刺入れとボールペンと指サックが突き出ていることに気が付かないまま、店でジャケットを試着したりして、家まで帰ってしまった。
いちいち込み入った質問をするたびに、店員さんは思っていただろう。 いったいあんたは、ファッションに興味があるのかないのか、と。
仕事でなければ、ない。
皇帝

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