凪の日々
■引きこもり専業主婦の子育て愚痴日記■
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雨の中、アユムをベビーカーに乗せ、レインカバーをかぶせ、雨傘を差したアイを連れ買い物へ。 別にそこまでして雨の中連れ出す事もないのだが、夫の凄い食欲で食料がすぐ底をつくのだ。 毎日牛乳二リットルは確実に消費するので、それだけでも毎日買いに行かなければならない。 雨で退屈している子供二人を仕方なく連れ、これまた仕方なく買い物へと出たわけで。
「あらー奥さん大変ねぇ!」と見知らぬ老婦人が声をかけてくる。 このベビーカーにレインカバーをかけたアユムをつれているとほぼ100%こうして声をかけられてしまう。 そこまでして雨の中連れ出さざるを得ない理由があるのか?…と他人から見ても思うんだろうな。
適当に「はぁそうですねぇ」と愛想笑いでかわす。 「でも子供は宝よ。大変でも頑張って育てるのよ」 はぁ。そうですねぇ。 「貯金なんかしないで子供育てなさい。子供を育てるのが貯金よ」 貯金ねぇ。まぁ先の分からない投資だとは思うけどね。 己の一生を賭けた博打とか。 育てた甲斐があったと思うか、産むんじゃなかったと悲しむか、自分の一生が終わる時、しみじみ実感する賭け。
「私なんかお陰で子供達がお金を出してくれるから生活保護とかも受けないで生活していけるのよ」 そうですか。って事は、同居じゃないって事なのかな。 「失礼ですけどおいくつですか?」 「私?90よ90!」 はぁぁぁ!90才ですか! 雨の中元気に傘差してしゃきしゃき歩いてらっしゃるお姿はとても90には!
「頑張ってね奥さん!」 私に励ましの言葉をかけて、交差点で老婦人は元気に去っていった。 いやはや、なんか色んな意味で気が遠くなりましたよ。
「だれ?」とアイが私に尋ねる。 そうねぇ。通りすがりの仙人みたいなものかもね。 あれ?仙人って女性もいるんだっけ? まぁいいか。 要はあの域に達するにはまだまだ先は長いぞって事だ。
暁
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