そうそう、自分で着付けが出来る人は、仮令レンタル着物でも、自分の小道具は持参した方が良いと思った。 というのも、レンタルの伊達締めが普段使っている奴の2倍ぐらいの長さで、死ぬほどぐるぐる巻きにされたのだ。 襦袢と着物でだから、凄い量になる。ぐるぐるぐるぐる。 そしてレンタル襦袢が何故か夏用の薄物だった。 これなら私も持ってるのに……! 留袖の襦袢は薄桃色じゃなくて白じゃないといけないから、レンタルにしたのに。夏物なら最初からそう言ってくれよ! しかも裄は兎も角、丈がまるで足りなかった。もう! 一応着付けも頼んでしまったので、全部任せようかとも思ったが、腰紐をお腹に締められそうになったので、流石にそれだけは自分で結んだ。 お腹を締め付けちゃったら何も食えなくなるじゃん。 「腰紐」というぐらいだから、腹じゃなくて腰骨のすぐ上に巻くものなんだよ、あれは。 しかも帯締めを左右反対に結ばれてしまったので、自分でこっそり直した。
披露宴が終わり、レンタル留袖を脱ぎ捨てた後は、親戚との2次会へ。 私の親は兄弟が多いが、有難い事に配偶者も含めて皆仲が良く、毎年集まって宴会を開いているほどである。 私とは血の繋がらないおばも、私のおじである夫を亡くしてからも、変わらずに交流してくれている。
主人を連れて行ったのだが、自慢の主人はここでも大人気。 彼の評価は鰻上り、ストップ高かというぐらいに株が上がった。 というのも、 「シオンちゃんみたいな難しい子を、操られているように見せかけて上手に操縦している」 と、おじ達に高く評価されたらしい。 らしい、というのは私が他の席に出張していて不在の所で言われたんだとか。 悔しいけれど全くその通りなので、ただ唇を噛み締める私であった。
おば達の人気も凄かった。 披露宴で最初にテーブル席に着く時に、私の椅子を引いてくれたというのが、おじおば世代には衝撃だったらしい。そらそうよね。 でも主人曰く、本来あれは会場スタッフがやるべきものなのに、誰も付かなかったから自分がやっただけだよ、と。 流石、学生時代に宴会場のバイトをやっていただけの事はある。人生に無駄な経験なんてのは無いのだなあ、と感心した。 酒は飲めないが、コミュ力は高い主人であった。
別れ際に、何故かおばの1人が 「シオンちゃんの旦那さんに握手して貰おうっと♪」 と手を差し伸べたら、他のおば達が、私も私も!と。 元々主人は、不思議に子供と動物とオバサンに好かれるタイプではあるが、ここまでもてるとは。 「凄い人気ね。ヨン様?」 と耳打ちする私に、 「いやあ、中高年のアイドル・きみまろだと思われてるんじゃないか」 と言いつつも破顔する主人であった。
主人の方は親戚付き合いが余り無く、面倒臭がりの嫁としては有難かったりするのだが、主人は嫌な顔ひとつせず付き合ってくれ、 「一度に親戚が増えて可愛がって貰って、大家族に引き取られた孤児みたいな気分」 と喜んでくれた。 本当に、有難い事だなあ。
妹が結婚した。
これまで、式場の手配、プラン、招待客、衣裳、誰に何を頼むか等々、見ていて非常に大変そうであった。 うっわーこんなに面倒臭いんならやらなくていいわーと、端で見ていて思った。 私も結婚式と披露宴はやったけれど、こんなに面倒じゃなかったよな……と思ったら、全部婚約者と両親に丸投げしてたんだったわーテヘペロ☆ だって親戚は多いが友達少ないし、仕事関係者はどうせ辞めるんだからと招待しなかったし、遠方の婚約者の地元で行ったし、スライドとか出し物も一切やらなかったし。まあシンプルと言えばシンプルだったなあ。 料理も飲み物選曲も全部主人がやってくれたし。というか本人がやりたかったんだそうだ。 もしかしたら、妹はそんな私を見ていて、結婚式なんて楽勝と思っていたのに、やってみたら実は大変だったという話じゃないだろうな。
結婚式は良かったが(妹も私も祝詞で寝そうになってたが)、披露宴は不手際が目立った。 あれは式場が悪いのか? 田舎だからか、何だか色々とグダグダだった。 私も最初から全容を聞かされていれば、あれこれ助言が出来ただろうにと思うと悔しい。あんまり口出しするのも悪いかなあと変に遠慮したのが裏目に出た。柄にも無く遠慮なんてするもんじゃないね! という訳で、これから披露宴を考えているあなたに、私からの有難い助言を。
・客を待たせるな。写真撮影が長引きそうなら、写真屋に言って手早くやって貰え。メインは自分達じゃなくてゲストだと思え。 ・乾杯の音頭は「短く一言でお願いします」と。「短め」じゃ駄目。出来れば空気を読んでくれそうな人に頼む事。 ・食事は美味しい物を頼む。2次会もあるし年寄りもいるんだから、量は多くなくていい。 ・あれこれ詰め込み過ぎるな。 ・カメラマンはプロを1人頼めばいい。写真代を浮かせようとして知人に頼むと碌な事にならない。特に集合写真では視線かバラけてしまうので、1箇所に複数のカメラマンがいるという事態は避ける事。
他にも色々あるが、長文になりそうなので以上抜粋で。 あと、無用心だと思ったのは、隣接した中庭に移動してのケーキ入刀。 写真撮りに皆移動してくれるのは、身内としてとても有難いけれど、皆さん荷物置きっ放しですよう。 振り向いたら、式場にはお給仕さん以外誰もいないんだもん。盗り放題じゃないか。 勿論私は自分と母と妹の手提げを持って移動したよ。そしたら親戚のおばちゃんに、アンタその大荷物どうしたのと言われた。 無用心だから!と答えたが、主人には後で、 「駄目だなあシオン、そういう時は『火事場泥棒だよ!』って言わなきゃ」 と駄目出しされたのであった。 失敗は他にもあった。 座席表を見て、後でこの人の所に挨拶に行こうね、と主人と言っていたのに2人ともすっかり忘れていたとか、 妹の幼馴染の顔をすっかり忘れていたとか、 あの席にも挨拶に行けば良かったとか、そんな後悔ばかりである。
妹に頼まれていた事など懸案事項が片付いた後は、私も気分がリラックスしたのか、披露宴の食事に殆ど箸も付けずに挨拶に回る両親を尻目に、ガンガンお酒を飲んで調子が戻った。(それであれこれ忘れちゃってた訳だが) そんな私を見て主人曰く、「シオンは自由人でいいなあ」と。 更に、「フリーダムで羨ましいよ」と。 待て待て。フリーダムつったら田舎の傍若無人な老人と同列か、と主人に詰め寄ったら、そうではないと言われた。 そして思い出した。 妹の大学の卒業式の後の謝恩会でも、妹の友人に似たような事を言われたなあと。 「ドビーちゃんのお姉さん、会場を自由に泳ぎ回っていたよね」 ……。
|