そろそろ病気でナマけていたツケが回ってきた。つまり仕事の催促だ。時々来る「プログラムが遅い」というやつなのだが今回のは、いや今回のも仕方がないのだ。何しろ他人の作ったプログラムに機能追加で被せて被せて肥大化したという嫌らしい厭らしいモノなのだ。まともに動いているだけで儲け物と言ってもよい。そういうモノを指して遅いって、そりゃ遅いに決まってんでしょ。文句あるなら予算組んで新しく作り直せっての。
久しぶりにバイクのエアフィルターを掃除。しばらく天気が悪そうなので、今のうちに洗ってしまおうという算段。けっこう汚くて少々驚く。これでちょっとは調子が変わるかな。まてよ、って事はプラグもそろそろなのかなあ・・・バイクはただ乗ってるだけでも結構経費がかかる。趣味の乗り物だから仕方がない、のかなあ?
バイクの税金と任意保険の支払いで銀行へ。この位なら歩いても何ともない、という程度には回復したらしい。もっとも、平地を歩いて7〜8分の距離だ。これで息切れしていたら心臓を動かしているだけで過労死する。昼飯用にコーンフレークを買って帰る。情けない、今夜は絶対固形物を食おうと心に決める。
という訳で冷蔵庫をチェックすると、没落以前に買い込んだ食い物がけっこうあった。すでに元食い物と化している奴もおり、これは申し訳ないが廃棄。普段なら食ってしまうところだが、何しろリハビリ中の軟弱男だ。今ダメージを受けると立ち直れん。実に情けない限りである。
結局、牛肉とゴーヤのちゃんぷると柔らかめに炊いたご飯という質素なメニュ。どうせ量は食えないし、と思ったらあっさり全部食って少し足らない。食いすぎて気持ち悪くなるのもイヤなので我慢。復活を確信した。しかし、久しぶりに食べると安い肉でも美味しいもんだね。
熱はもう下がった。軽い頭痛と食後の発汗は仕方がないが、それ以外は完治・・・なんだろうけどなあ。なにしろ体力が落ちきってしまっており、すぐに疲れるしふらつく。食べているのがオカユだのオジヤだのというゲロ状物質、いや根性のないモノばかりなせいかもしれない。いい加減飽きたが固形物を食べる勇気が湧いてこない。実は10日の夜、馬鹿医者の態度に腹を立ててカップラーメンを食ってそのまま破綻のゲロ男と化したという秘話があり、それがトラウマになっているのだ。しかしいつまでもズルズルの物体ばかりすすっているわけにもいかない。何とかしないとな。
滅茶苦茶に値段の高い食品を買って来て食べる、という手がある。勿体ないから気持ち悪くても我慢するだろう、というイジキタナイ作戦だ。ユンケルの類を毎日飲んで体力復元を待ち、一気に勝負に出るというのも手だ。しかしそれでゲロ食生活を何日短縮できるかが疑問だし、コストパフォーマンスが悪そうだ。消化に良いものを食え、という奴もおる。だが消化に良いものは大抵柔らかく、その効果はコンニャク男に格上げになる程度にとどまるであろう。色々と悩みつつ北京ダックと化して餌を喉に流し込む。やれやれ、これで太ったら最悪だぞ。
そも、なぜ藪を承知で来たかというと、ここが一番近いからだ。元気なら少々遠くても評判のいい病院まで行くところだ。もっとも、元気な時に行って何をするのかはわからない。
−どうしました? −くそのようにダルいのですが。 −そりゃそうでしょう。9度1分も熱あるよ。あはは。 −(あははじゃねえ)昨日1日意識不明でした。お腹もちょっと痛いです。 −う〜ん、とりあえず検尿しましょうかね。
問診が進む間に検尿結果が出る。
−蛋白が少し出てますね。 −・・・それはどういう事でしょうか? −さあ、どうなんだろう?血液検査もしましょうかね? −したほうがイイんすか? −君が決めていいよ。 −そういうモンなんですか? −俺はどっちでもいいからね。
出鱈目な医者もいたものである。結局血液検査も頼み、採血。翌11日に結果判定。
−白血球が多いね。 −それは? −熱のせいだね。LDLが少し高いけど、回復期と考えれば許容範囲だし。 −・・・はあ。 −後は異常ないね。 −・・・じゃあ何だったんでしょうか? −何だったんだろうね。ま、熱下がれば大丈夫じゃない?
くそ。何のために弱ってる病人から血ィ抜きやがった。おまけに原因不明かい。もう2度とここには来ないと心に誓う。でも、人はこうして健康に関心を持つようになって行くのかもしれんなあ。(そんな馬鹿な)
8日夜。何かダルいな眠いな、と感じて早寝。寒さに震えながら目が覚めたのが午前4時。ベッドの上がビショ濡れだ。誰かが夜中に水を撒きに来たのでなければ俺の汗だろう。何だなんだと思う暇もなくまた気が遠くなる。かろうじて乾いている場所に移動し、ビデオの予約ボードを見て驚いた。
「え?10日?」
28時間ほど意識不明だったらしい。フリーランサーはこういう時いいね。もっとも、そのまま死んでたらどう思うかわからんが。あ、何も思わんか。そのまま1時間おきくらいに目覚めては気を失う、という事を繰り返す。水が飲みたい。そういえば冷蔵庫にさんぴん茶が入っていたな。起き上がり、歩いて前に進むという事が地獄の苦行に感じる。何とかペットボトル2本を引きずり出してベッドに戻る。あっという間に半分ほどを流し込んでまた気絶。
昼過ぎに初めてトイレに立つ。歩いて5歩の距離が果てしなく遠い。40時間近くトイレに行かなくても何とかなるんだなあ、と変な事に感心。お茶が2本とも空になっていたので水を汲んでおく。飲んだ事すら憶えてないぞ。
夕方、何とか起き上がる。病院へ行こうという目論見だ。嫌いなのだがこうなったら仕方がない。一応、乾いた物に着替えたが汗臭いしどう見ても浮浪者だ。気にせず近所でも評判の藪医者に向かう。
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