 谷中のお寺にて
 フウラン(ラン科)Neofinetia falcata
関東南部以西〜沖縄にかけて自生する着生蘭で、シイ類の樹上を好むそうです。常緑広葉樹の森が極端に消滅した現在、野生の姿は殆ど消えてしまいました。 一昨日庭に植えたスダジイの実生苗が大きくなったらこの株を着生させたい、そんな気の長い目標をもっています。
 マンリョウの花
 フウチソウ、ツワブキ、オオバギボウシの寄せ植え
ヤブカンゾウ
(画像削除)
咲き進むと花弁が少なくなって、印象がずいぶん変わります。
 風蘭
■ 覚書 (緑環境と植生学 鎮守の森を地球の森に 宮脇 昭 著 より)
第五章 緑の二十一世紀は可能か
四 生き延びるためのアジェンダ
現在をより豊かに、便利で享楽的に生きるだけなら、今までの経済中心主義で十分であろう。明日を生きのびるために、限られた国土、限られた地球号の上で、誰を舞台監督にし、何を主役として生きるのか、真剣に選択する時代である。 文明の歴史が語る事実は、人は進歩し発展することを目指しながら、いずれの文明もいったん頂点を極めるとすぐに下降線を辿りはじめ、結局、滅亡、興亡を繰り返してきた。生物は個体でも集団でも、成長曲線はS字カーブを描く。世界文明も、個人生活も、長い自然との対決の歴史を終えて、今、最も恵まれた状態、生物の成長曲線S字の頂点に達した。多くの個人も集団も、S字の頂点から下降する曲がり角に立っている。 そこでは三つの可能性しか残されていない。昔はよかったといって、回顧すること。夢よもう一度という態度である。しかし、個人も集団も、あと戻り、もう一度過去の歴史を繰り返すことは不可能である。 第二は保守的な態度である。よくいわれることだが、今のままでよいではないか、と考えることである。現状維持といってもよい。しかし、この選択は、われわれ自らに自転車をこぎつづけることを強いることになる。こぐのを止めればすぐに倒れてしまう。われわれは何としても、明日に向かってさらに発展を続ける必要がある。 それには人類文明の興亡の歴史に学び、先人の失敗の轍を踏まないことである。これは総論では正しい。しかし、現実には個人も社会も政治も経済も、どれほど失敗しても懲りずに、結局、先人の轍を踏んで再び破滅の歴史を辿ってきたのが、人類の歴史というものではなかったか。 われわれはもはや批評家、評論家の立場だけにとどまることは許されまい。いくら話を繰り返し、どのような決議をし、何を紙上に記し、どんなテレビドラマを放映し、どんな情報を流しても、それだけではゼロに等しい。緊急かつ確実に実行すべきことは、この瞬間から明日に向けて、一人ひとりがその立場、力に応じて、それぞれの場所で、舞台監督、主役になりきり、積極的に自ら額に汗し、大地に鍬を入れて、おのれの生存の基盤を築き、未来を切り拓く努力を惜しまないことである。 こうして第三の道は、おのずと定まってくる。幸いにも、日本列島の明日を拓く脚本は基本的に完成している。緑豊かな環境創造のために、脚本となる間違いのない生態学的な植生図は、すでに手許にある。これを科学的な脚本として、すぐにも実現に移すことが、求められている。 二〇〇〇年このかた、日本人が新しく町や村を築く場合に必ず行ってきた鎮守の森に象徴される「ふるさとの森づくり」の手法がある。このノウハウを基礎に、まず足元から地域に広げ、素手で大地に触れ、緑の日本列島の創造に取りかかるべきである。 今、日本国内、また国際状況も厳しい。厳しければ厳しいほど、われわれが生き延びるための基本戦略とするべき最も確実な方法は、命と環境と文化を守る、人間生存環境課題の克服にある。環境問題が後追い対策や保全のみの時代は終わりを告げた。現状からよりよい環境を積極的に回復し、修復し、創造する。そういう時代が到来している。 日本人は、長い文明発展の歴史の中でも、土地本来の緑の自然環境と意識的か、否か、結果的には共生して現在に至った稀な民族である。われわれの祖先は、長い時間をかけて、鎮守の森に象徴されるふるさとの森をつくり、遺し、守ってきた。そうした面からみれば、日本の戦後の発展は、祖先が創造したふるさとの森を母胎に、潜在的なエネルギーの貯蔵庫として劇的な発展を遂げることができたことになる。 しかし、そのふるさとの森が危機に瀕している現在、日本人の長い間の生き方をもう一度見直してみよう。そこに先達たちが、一方で自然を開発し、集落、村、町、都市、水田をつくってきた歴史が見えてくる。しかし同時に、日本人が必ず「ふるさとの木によるふるさとの森」、世界に誇る鎮守の森をつくり、育ててきた歴史が重なってくる。 日本人の歴史とは、この伝統的な文化と地域固有の緑の自然とが共生した歴史であった。最近国際的にも提唱されているこの共生の歴史を基礎に、生命集団と環境との総合科学であるエコロジー、植生生態学の知見を総合し、未来を創造するために、本物の地球環境を足もとから回復し、修復し、さらに新しく創造する。 幸い、北は北海道から、南は熱帯のボルネオのビンツル、アマゾンのベレン、チリのコンセプションに至る各所で、「ふるさとの木によるふるさとの森」づくりに成功している。その数は世界各地、六百数十ヵ所に上っている。この生態学的な知見とノウハウを生かして行えば、生きた実績を日本各地から地球全体へ広げていくことが可能となる。
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