即席珈琲エディクション/Instant coffee addiction...嶋紗雪

 

 

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 2015年12月25日(金) 

今日という日に思うこと

クリスマスが今年もやってくる。
今年も命日がやってくる。
弟が亡くなってから11年が経過した。

相変わらず世間と自分の気持ちとのギャップに戸惑う。
こんなに悲しい日なのに、世間では明るい音楽が流れ、浮かれた雰囲気の中、男女は寄り添い街を歩く。
今日は平日なので、社会人は会社に行き、仕事をし、クリボッチであることをひけらかす。

最初の命日を迎える前に、父は「家でクリスマスはしない」と言った。
母は毎年(だと思う)「ケーキは買ってないよ」と言う。

ある年の春に入社してきた年上の後輩は、今日が誕生日だという。
いつも穏やかな後輩の今日が良い日でありますように。

ある年の命日には、思い出して悲しくて泣いている私に、彼は電話越しに「親が一番悲しいんだ」と言った。
彼の息子は亡くなっていて、きっと私よりも両親の気持ちが分かるんだろう。
だから何だ。貴方が好きなのは私じゃないのか。私を飛び越して親を見るな。
彼は一人っ子だ。弟を亡くした姉の悲しみを知らない。
与謝野晶子の方が分かるんじゃないだろうか。
君、死にたもうことなかれ。
閑話休題。
彼の息子の命日は弟の誕生日だ。
そのことは今も言えずにいる。言わなくてもいいと思うが知ってほしい気持ちもある。
親になったことのない私と一人っ子の彼の悲しみは、それでも互いに癒し合えたといえるのだろうか?

あの日、クリスマスソングの流れる店内で、母はレジ係のアルバイトに声をかけられた。
弟の大学に通っている、中国からの留学生の女の子だった。
たどたどしい日本語で、
「息子さんは大丈夫。きっと良くなる。だからお母さんも気をしっかり持って看病してあげて」
そんなことを言っていたという。
サッカー台付近で合流した母にその話を聞いて、会釈をする彼女に私も頭を下げた。
店を出てからちょっと泣いた。
ついさっき、息を引き取りました、なんてとても言えなかった。

11年間の今日にまつわる出来事。思い出せるだけ書いた。
今年も私は、12月25日の過ごし方が分からない。





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2009年12月25日(金) いまいち、いまに
2006年12月25日(月) CL通院。
2004年12月25日(土) 弟について
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