「硝子の月」
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2005年11月30日(水) <輝石> 瀬生曲

「知ってるか?」
 酒気を帯びた上機嫌な声で、帰ってきたばかりの大男は言う。
「俺達、『輝石の英雄ジェム・オブ・ヒーローズ』って呼ばれてるんだってよ」
 寝る時ですら外さないという重厚な鎧を揺すり、彼は快活に笑う。物々しい装備に似合わぬ優しさで黒瑪瑙ブラック・オニキスの瞳が細められる。
「知ってる。結構気分いいよ」
 細身の青年が細める瞳は黄玉トパーズ
「あたしも」
 同意する少女の瞳は鮮やかな紅玉ルビーで。
「地元じゃこの眼も、嫌われてたから」


紗月 護 |MAILHomePage

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