流天日記
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2005年06月27日(月) 部屋の整頓は心を映す

最近、一人暮らしを始めた友人の部屋に遊びに行く。
ドアを開けると、壁いっぱいに敷き詰められた
アニメ作品のポスター。
部屋の中央に大きなクリア・ケース、
その中に整然と陳列されたフィギュアの数々に、
私、手土産を渡すのも忘れ
ははぁあ、とひたすらに見入ったのである。
(完)


2005年06月24日(金) 月光のつつしみ

部室で飲み会をしていると
途中で、一人の少女がふらりと席をはずし
一時間も戻ってこない
心配になったので探しに行くと
暗くなったグラウンドの隅で彼女らしき人影を見つける

彼女は見知らぬ男性と一緒にいた

あ、これはもしや。と思い
私、近づかずに遠くから見守っていると
2人は青白い月光の下
バレエにも似た不思議なダンスを踊り始めたのである。
(完)


2005年06月22日(水) 母を逃がす

家に帰ると、居間でおとうとが
ぐずぐずと泣いている。
わけを尋ねると
「黒いおばけがやってきて、居間の壁紙をはがして
お母さんをつれて行ってしまった」
というのである。
見ると、壁紙の一部がべろりと剥がれ落ちており
内側から様々な色のえのぐが滴っている。
3つ年上の姉は、壁をじっと睨みつけた後で
「悲しいけれど、お母さんはもう帰ってこないわ。
私たちだけで、ちゃんと生活していきましょう」
などと、思いつめたように言うのである。
(完)


2005年06月21日(火) 坂の向こうに

ビリジアンの生い茂るほそい路地を抜けると
カッと照りつける太陽が私を迎えてくれた

南国特有の突き抜けた猛暑である

大通りはゆるやかに傾斜している
右手を見ると、下り坂の向こうに
青白い水平線が見える。
左手を見ると、上り坂の向こうに
発達した町並みが見える。

時計を見ると丁度満ち潮の時刻である
青い水は、車を飲み込み、人をのみこみ
町をゆっくりと侵食してゆく。
この町は海と共にあるのだ
私の今いる足元だって、数分後には水の中になるのだろう。
(完)


2005年06月13日(月) 銀座にて

大学の教授に頼まれて
一時間ほど研究室で電話番をする。
帰ってきた先生は、たいそうありがたがって
「よし、高級うなぎをご馳走してやる」と言い出し
私を白昼のザギンに連れ出したのである。
(完)


2005年06月10日(金) 境界は消えつつある

友人と昼食をとり、大学内を歩いていると
どうも視界がゆらゆらする。
足元もふにゃふにゃして、歩いている実感がない。
友人が話しかけてくるが、言語が理解できない。
あっ、これはもしかして。
私は唐突に悟ったのである。
これは、夢だ。私は今夢の中にいるのだ。

頬に指をやる。感触が無い。
境界は消えつつあるのだ。
(完)


2005年06月04日(土) おふろ

お風呂場に行ったら
排水溝のそばに
トンボが2匹、
アゲハ蝶が2匹、
スズメバチが2匹、
ガマガエルが1匹、
ひっくり返って死んでいた。
(完)


2005年06月03日(金) 日焼け止め

大学の裏口で、先輩の恋人(単体)とすれ違う。
こちらに気がつき、にこやかに話しかけてくる。
見ると、彼女の目の下にべったりと白い粉がついている。
どうやら日焼け止めのようである。
指摘しようか頭の中で一瞬考えてやめる。
(完)


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